木村 紺の人気漫画「神戸在住」を基に、20年前に発生した阪神・淡路大震災を知らない女子大生の青春を描いた「劇場版 神戸在住」。開局45周年を迎えるサンテレビジョンが制作し、日本のメディアでは初の試みとなるドラマと映画の同日上映でも話題となっている。震災を知らずに育ち、大学への進学をきっかけに友人や、憧れの人との交流を通して震災のことを深く知っていくヒロインの辰木 桂(たつき かつら)を注目の若手女優、藤本 泉が熱演。本作への思いを語ってもらった。
―このお話をいただいた時の感想をお教えください。
藤本「映画とドラマの同時上映作品の主演を務めることにすごくプレッシャーを感じていました。しかし私自身も震災の記憶が無いので、震災を知らない桂を等身大で演じることができたと思います」
―今回演じられた桂は、どのようなキャラクターでしょうか?
藤本「内気で感情を表現するのが、苦手な女の子です。桂が震災や命の大切さに向き合い大きく成長していく姿がうまく伝わるとうれしいですね。私も美術が好きで、高校時代に油絵を描いていたので、そこは桂との共通点ですね」
―役作りにあたって、何か前もって準備したことはありますか?
藤本「震災が大きなテーマになっているんですが、私は阪神・淡路大震災当時3歳で、関東在住だったこともあり、震災の記憶がありません。なので、関西に住む親戚に震災当時の話を聞いて撮影に挑みました。震災を経験した人にとっては、今も生々しい光景が心に残っていることを痛感しました」
―洋子役の浦浜アリサさんやタカ美役の松永 渚さん、和歌子役の柳田小百合さんら同年代の方々が多く出演していますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
藤本「とてもにぎやかな現場でした。3人とは撮影初日に意気投合して、中華街で一緒にお昼を食べたりして、楽しく撮影することができました。今回、タイトなスケジュールで観光はできなかったんですが、撮影でさまざまな場所に連れて行ってもらいました。桂の憧れの存在でもある日向さん(菅原永二)が、絵を描いていたビーナスブリッジは、とても印象に残っています。神戸の街や港を一望できて、すごくいい景色を見ることができました」
―撮影を通して、ご自身の中で何か変化はありましたか?
藤本「阪神・淡路大震災で神戸が大きな被害を受けたことや、それを乗り越えて今の美しい神戸の街があることなど、私も作品を通して考えさせられることが多かったです。震災の記憶を風化させないためにも、若い世代に伝えていくことの大切さを知りました」
―最後に読者の方々にメッセージをいただけますでしょうか?
藤本「今を生きる女の子たちの視点で、阪神・淡路大震災について描いている作品です。私のように、震災を経験していない若い世代の方々にも共感してもらえると思うので、見てもらえるとうれしいです」
【取材・文=リワークス】