映画「アゲイン 28年目の甲子園」が1/17(土)から公開 共演の中井貴一×柳葉敏郎を直撃!

関西ウォーカー

元高校球児たちが、さまざまな思いを胸に再び夢の甲子園出場を目指す姿を描いた重松 清の原作小説を実写化した映画「アゲイン 28年目の甲子園」。主人公・坂町が震災で亡くなった元チームメイトの娘・美枝から“マスターズ甲子園”への参加をすすめられるところから物語は始まる。28年ぶりに甲子園を目指す坂町と高橋を、真摯な演技で活躍し続ける中井貴一と柳葉敏郎が熱演。2人に本作への思いを聞いた。

―お2人はマスターズ甲子園が開催されていることはご存知でしたか?

中井「僕は今まで野球経験がなかったので、知らなかったです。マスターズ甲子園は、大人になった元高校球児たちの目標や、夢を生かす素晴らしい大会だと本作を通じて思いました。ほかのスポーツをしていてもマスターズ甲子園のような大会はなかなかないと思うので、羨ましく思いますね」

柳葉「僕も知らなかった。ただ僕は、秋田県で開催されている500歳野球(50歳以上でチームを構成し、試合をする大会)に携わっていたので、大人になっても参加できる大会は、他にもあるんだなと思ったね。野球というスポーツを通して、世代の違う人たちが、時間を共する良さを感じられると思うよ」

―最初に脚本を読んだ時、どのような感想を抱かれましたか?

柳葉「大好きな野球を通して、親子の関係や、男同士の情を表現できる喜びはあったね。また、本当に身の回りで起こるような日常的な出来事が、たくさん盛り込まれていている作品だなと思ったね。坂町らキャラクターたちの生活にも焦点があてられているので、人間ドラマとしても楽しんでもらえるんじゃないかなって」

中井「東日本大震災が大きなテーマの1つになっていると感じました。実際にまだ東北は復興半ばという状況にも関わらず、復興に対する意識が薄れてきていると思うんです。なので、僕らのような仕事をしている者が、語り継いでいくことが大事なんだなと改めて思いました」

―お2人が演じた坂町と高橋はどのようなキャラクターだと思いますか?

中井「坂町はどこにでもいる普通のサラリーマンです。バツイチで娘とも疎遠という悩みを抱えています。波瑠ちゃん演じる元チームメイトの娘・美枝と接し、再び野球を始めたことをきっかけに、少しずつ娘とも向き合うようになっていくんです」

柳葉「高橋は高校時代から自分のペースを崩さない上に、自己中心的。でも野球部時代の相棒のためにひと肌脱ぐ粋な部分もあって、そこは自分と重なる部分の1つでもあるね(笑)」

―中井さんは、野球は未経験とお伺いしましたが、挑戦してみていかがでしたか?

中井「すごくおもしろかったですね。学生時代にテニスをしていたんですが、団体競技は経験がなかったので、憧れを持っていました。今回、素晴らしいチームに恵まれ、楽しく試合ができたのでうれしかったです。でも打ったり、投げたりすることはわかっているんだけど、自分のところに転がってきた球を、どこに誰に向かって投げるのかなど、わからないことはたくさんありました。ルールや、わからないことは、ギバちゃんに教えてもらいましたね(笑)」

柳葉「いやいや、俺は何もしてないよ(笑)」

中井「本当に助かりましたよ。団体競技が好きになりましたね」

―実際に甲子園でも撮影をされたそうですが、いかがでしたか?

中井「子供のころから高校野球や、野球ファンにとっての甲子園の聖地さというものは感じていました。約4万人のお客さんの前で試合ができるクラブ活動ってなかなかないと思うので、出場した人、できなかった人それぞれの思いを感じることができました」

柳葉「甲子園の神聖さは1人の日本人として感じていたので、撮影で甲子園のマウンドに立った時、感極まっておもわず込み上げてくるものがあったよ。元々甲子園とは縁があって、始球式をさせてもらったり、甥っ子が春の高校野球で優勝したりしているので、また1つ甲子園にまつわる思い出が増えてうれしかったね」

―撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

中井「わいわいとしていましたよ。みんなで撮影前にランニングや、ストレッチをしていたので、本当にこれから芝居をするの?という感じでしたね(笑)。甲子園のグラウンドに立った時、みんな本当に喜んでいて、その姿は今も覚えていますね」

柳葉「俺も子供のように、喜んじゃったよ(笑)。撮影現場も同年代が多くて、とても居心地が良くて、ものすごく楽しかった」

―印象に残っている台詞はありますか?

中井「坂町の“負けるならちゃんと負けて、ケリをつけたいんです”ですね。僕は、高校野球や、アマチュアは勝つことがすべてじゃないと思うんです。ちゃんと負けて、その悔しさをバネに次へ進む事が大事だと思っているので、この台詞はグッときました。また自分たちの人生においても、新たなスタートを切るために、きっちりと過去にケリをつけることの大切さをこの台詞から教わりました」

―最後に本作の見どころを教えてください。

中井「見てくれた方によって、それぞれの見どころがあると思います。幅広い世代の方々に楽しんでもらえる作品に仕上がったと思います。特に60代、70代の方々に見てもらえるとうれしいです」

柳葉「この作品を通して、同年代の皆さんが新たな一歩を踏み出すキッカケになれば、とてもうれしいね。この年齢になると新しいことを始めたくてもハードルが高く感じてしまうので、そんな方々のエールになればと思う。本当に出演者、スタッフ全員が力を合わせて作り上げた作品なので、楽しんで見ていただきたいね」

【取材・文=リワークス】

注目情報