“パリの日常”に溶け込む日本人ショコラティエ、吉田守秀

東京ウォーカー(全国版)

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2月15日(日)まで全国6都市で、世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」が開催され、世界トップクラスのショコラティエたちが、日本中をチョコレート一色に染め上げる。その中でも特に注目を集める、気鋭のショコラティエにインタビューを実施!業界を牽引する彼らが胸に抱く、ショコラ作りの流儀を探る。

<吉田守秀(Mori YOSHIDA)>

面白いか、面白くないか。それが1番の判断基準。自分流を本場で、しかもフランス文化が色濃い地区で貫く大胆さ。でも、本人にしてはその方が「 面白いから」 に過ぎない。人として面白みのある人間が、面白いものを作る。それが彼のポリシーだ。吉田の面白さは、彼のチョコレートを見れば一目瞭然だ。

――お店があるエリアは、パリでも瀟洒な住宅街ですが、プレッシャーは感じませんか?

「僕はフランス人の食べ物を作らせてもらっているというスタンス。この辺りは、“まさにフランス人”という感じの保守的な人が多いので、むしろ自分の作ったチョコレートを食べてもらうのは面白いんじゃないかなと思って。ワクワクはするけど、重荷には感じていないです。フランスだとチョコレートを日常的に食べる文化もあるから、その中でどんな提案できるのかという面白さがあると思います」

――今日はマルシェ帰りの人々が、お店に行列を作っていました。

「そうなんです、助かっています(笑)。週2回、僕もマルシェには行くんですが、そこでいろいろな人と話をして。今日も肉屋の主人が、『子どもの誕生日だからケーキを取っておいて』って。そういうのがすごくうれしいんです。自分のお店が街の一部になっていることに喜びを感じますね。僕の心を豊かにしてくれるというか。みんなが僕を知っている、昭和レトロ的なコミュニティがあるんです。かしこまっているチョコレートより、みんなの手に届く日常の一部のチョコレートを作る方が幸せなので。つまり、この辺に住んでいる人達にとっては『あそこんちのチョコ』。みんなの冷蔵庫でいいんです。僕のチョコレートは当たり前に買って、テレビを見ながら食べるとか、ビールやシャンパンを飲みながらでもいいですし。それがチョコレートの本質じゃないかなと思っているんです」

――今回のサロン・デュ・ショコラのテーマは「普遍的な遺産」ですが、吉田さんがチョコレートを通して伝えていきたいことは?

「フランス人の考え方。新しいモノに対する見方ですね。例えば僕のお店は、アジア人がフランス菓子を作っているわけです。この逆は日本ではあり得ないと思うんですよ。でもフランス人は来る。そうしたフランス人の器の大きさというか、オープンな気持ちは絶対学ぶべきところだし、島国の僕らが持ってない考え方だと思うんです。僕が次の世代に発信していきたいと思っています」

――それで今回はシャンパンを使ったショコラなんですね。

「フランスだとシャンパンは手軽に購入できるので、飲む機会も多いんです。飲み比べてみると、グレープフルーツっぽいようなシャンパンもあって。それで、グレープフルーツをショコラに合わせることを思いつきました。ミントの葉っぱもフランスだとごっそり入れたりするんで、シャンパンの飲み方って違うんだ、面白いなと。シャンパンという素材は万能なんです。シャンパーニュの人達が昔から受け継いできたシャンパンは、100年後も変わらないと思うんです」

――「ノワゼット」にはメープルシロップをお使いですが、珍しいですね。

「うちには『M』というスペシャリテがあるんですが、メープルシュガーをキャラメルにしたクリームが入っているんです。このチョコレートは、メープルシュガーをキャラメルにして、ヘーゼルナッツを混ぜています。メープルシュガーをキャラメリゼすると、砂糖のキャラメルとは全く違う味が出るんですよ」

――こうした新しい商品を作られる時は、やはり味のイメージが先ですか?

「僕は味しか考えていないです。味がまず決まってからのフォルムなので、まず味ありきで考えます」

――ボンボン・ショコラは小さな世界で、表現の可能性が限られるような気がするのですが。

「そこが面白いんです。そのストレスの中で何ができるのかっていう。だからこそ、アイデアが出てくると思うんです」

【東京ウォーカー/記事提供=サロン・デュ・ショコラ オフィシャル・ムック2015】

※記事の内容は「サロン・デュ・ショコラ オフィシャル・ムック2015」から一部抜粋、再構成したものです

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