※【その1】の続き
Q:ずっとひとつの劇団に所属してるってすごいですね。
橋本:これはあんまり、ないことやと思いますね、見渡しても。
古田:今んとこ、いのうえさんがおもしろいから、じゃないですかね。まだ完成系が見えないんですよね。ほかのユニット組んだりして、いろいろやってるんだけど、どうしても…。もっと主張のない、歌ったり、踊ったり、闘ったりとかする、バカミュージカルみたいなのがやりたいんですよね。それができるスタッフ、キャストは、新感線が一番近いかなぁ~って思うんですよ。
Q:おバカミュージカルって、今回みたいじゃないですか?
古田:そうなんですけど、1時間半ぐらいにしてほしいですよね。
じゅん:でも今回は、曲も入って来ますからね。
古田:短かったら走れると思うんですよ。3時間超えると蓄積疲労が出てくる。オイラのやった『ロッキー・ホラー・ショー』って、あれだけのファット感がありながら、1時間40分っていう作品。それを、ジャパニーズロックミュージカルでやりたいんですよ。それにはやっぱり、いのうえひでのりという才能がすごく必要だし、高田(聖子)だったり、橋本だったり、古田だったりっていうような、それが可能になるキャストを抱えている劇団もそうない、と思うんですよね。ただ、それを模索し続けて、もう35年も経っちゃったっていう(笑)。
橋本:(笑)。古田くんが、ずうっと言い続けてることですからね。そういうものが現れるといいなぁと思います。ボクはもう新感線では、あり得ないようなことがあってほしいなと思うんですよ。なんか今、チマチマしがちなんですけど、そういうのを舞台で見せてどやねん、て思ってるんですね。だからほんとに、暑いか冷たいか、みたいなことで、バカミュージカルなら、ほんとにバカと。中途半端なことはあんまりやりたくないなとは思いますね。テレビとか映像とは違って、舞台っちゅうのは「なんじゃ、こりゃあ~!」っていうものをお客さんに観ていただけたらなと。
古田:それ、無理やり作らないとね、ないんですよ、よそには。
Q:橋本さんは外部公演で、すごくまじめな、まともな役やってますね?
橋本:まともなことを知らなかったので、それをちょっと知りたいなと思って、やってますね。あのね、ボク新感線しか基本知らなかったんですよ。だから、それ以外のものを見ることで、新感線を俯瞰できるようになっていったというのが、良かったなと思うんです。ハードとソフトって言うか、バランスを取るために、うん。
古田:橋本さんは外で、いろんなまじめなことして勉強してるっておっしゃいますけども、新感線以外にはないです。ウーマンリブぐらいです、あと。
橋本:(笑)。いやいや、もう少しはいろんなところで真面目なことをやっています。
古田:でも、両方出てますから。
橋本:どれだけ新感線というのがおもしろいのかっていうのが、良くわかりますよね。やっぱり違うなって。スタッフも含めて、意識の持ち方というのが違うなぁとは思いますね。
Q:そんな劇団☆新感線を観たことがない人にも、観てもらわないとダメですね。
古田:毎回言ってるんですけど、チケット代高いですけど、若い子たちに観てほしいですね。あんなアホなことしていいんだと。舞台ってまじめにやるもんだと思っている人たちが多いと思うんですよ、今、すごく。で、手ごろな値段で観れる小劇場に行くとかね。でも、おもしろいものっていうのは、やっぱり世界観が狭いんですよ。MONOとか桃園会とか、おもしろいですよ。でも、そういう世界観じゃないものをやってもいいんだっていう。ケツ出していいんだとかっていうようなことを観てほしいですね、高校生や大学生に。何をしとるんだ、この50のオッサンらはっていうね。
橋本:これ、ボクらが若い時にやってるんやったら、そんなん言えないですけど。ちゃんと税金も払って、子どもも育ててる今ね、これを正面切ってやってるっちゅうのはいったいどういうことやねんっていうのは、ちょっと問題提起したいですね。別にせんでもええけど(笑)。とりあえず大きな声出していこうや!みたいな。何をチマチマやっとんねんって。
古田:ちっさい声で「この子が好き」とかなんとか言うてるヤツは、早くいなくなればいいんです!
橋本:ま、年齢的にはボクらの方が圧倒的に早く死ぬんですけど(笑)。でも、オレらが生きてるウチに観とけと。
Q:関西に帰ってきた時に必ず行くところは?
橋本:ボクはラーメン屋さんと出雲そばの店。オリックス劇場の近所の。
古田:オイラは新地か難波へ、飲みに。
橋本:カッパ横丁の外れの高架下で50年やってる焼肉屋さんも必ず行きますね。
古田:そうそう、行くね。
【取材・文=ドルフィン・コミュニケーション】