※【その1】の続き
Q:衣装は?
黒柳:私は赤い洋服で、金の刺繍がしてあるんですけど、前ね、4キロ半あったんです、ビーズが付いてて。それであっち走ったり、こっち走ったり、階段上がったり下りたり。あんな重いものが世の中にあるんだと思うぐらい重かったので(笑)、この前、下の方少し取って軽くしていただきました。それでも2キロ半以上ありますので、相当重いですよ。階段はエレベーターにしていただいて助かってますけど、立ちあがる時にちょっと力がいります(笑)。でもま、キレイなお洋服なんでね。
Q:徹子さんにとって「徹子の部屋」と「海外コメディ・シリーズ」はライフワーク?
黒柳:そうですね、そう思ってます。私、テレビドラマに出てませんので、1年に一度芝居をやるっていうのは、ものすごく楽しみなものであり、それが毎年できてるっていうのは、うれしいことです。少なくとも「徹子の部屋」は、あと10年、50周年まではやろうってみんなで言ってるんです。舞台はもうちょっと違う役になれば、もっとできるかもしれないんですけど、あと10年はやっていこうと思ってるんです。だから毎日歩いたりとか、ジャイアント馬場さんの仕込み通り、今でも遺言のようにヒンズー・スクワット50回を寝る前に必ずやったりして。ま、歩ける限りはね。
今アメリカで一番当たってるドラマって、3人の若い女性と1人だけ95歳のおばあさんが出ている番組。そのおばあさんが、時々なんか言うと、みんながわぁって笑うの。あぁいう役、いいなぁと思ってね。95ぐらいになった時にね、若い人たちと一緒にそういうドラマができたらいいなと思ってね。今、研究してます。
Q:徹子さんは前に、「幸せの背くらべ」を92歳の時に再演すると。
黒柳:「幸せの背くらべ」は、92歳の役でね。大阪の方が「92の時、黒柳さん、それ、やれますかね」って、すごいことおっしゃったんですよ。ものすごいセリフの数で、1幕ほとんどしゃべってる。半分認知症入ってるんだけど、お金のことになるとすごいしっかりしてる大金持ちの奥さん。
12年前の2003年にやったんですね。92になるために、顔にすごいシワになるもの貼ったり、ほんとにおばあさんみたいにしてやったんです。92歳の時は、そのままでいいなぁって言ったんですけど、92の時もやっぱりシワ貼るだろうなと思ってね。これ、大阪との約束なんでね、ほんとに92の時にやりたいと思ってます。
Q:お客さんに、元気でいていただきたいから喜劇を続けていらっしゃる?
黒柳:そうです。それでぜひ、終わったら「あぁおもしろかった」っておっしゃって、帰っていただければ、もう、こんなうれしいことはない、と思ってます。私が喜劇をするのは、そういうところにあるんですね。世の中って、不安なこととか悲しいこと、いっぱいありますよね。ですけど、私が芝居をやってる間だけは、ちょっと忘れていただいて「あぁ、おもしろかった」って、お帰りいただければそれでいい。そのためには、何もかも忘れるぐらいおもしろい舞台じゃないとダメなんで、それを願ってやっております。
喜劇をやる人は元気で陽気じゃないとね。エネルギーがあふれてないと、ちょっと難しい。特にこれなんか、のっけからテンション高くなくちゃいけないんで、相当大変だと思いますけど頑張ってやりますので。大阪は、ほんとにみなさん笑ってくださるんで、やりがいがあるし、ほんとに楽しみなんです。
Q:大阪に来た時、必ず行くところはありますか?
黒柳:かとうかずこさんが、「行きましょう」って言って、みんなで行ったミナミの焼肉屋さんが、すっごくおいしかったんですよ。でも、そこへ行ったって言ったら、「え!? あんなとこ行ったんですか?」ってみんなに言われるんです。「なんで?」「いや、いいんです、いいんです」って。普段は、みなさんあまり行かないところみたいですけど、今度も行こうって言ってます。そこがどんなに怖いところでも、みんなで一緒に行けば、別にね(笑)。
それから前、ドラマシティのあるビルの中に“壁の穴”があってね。東京で、昔のNHKの向かいに出来た店が最初だったんです。そこで初めてスパゲッティというものを食べてね。日本風じゃない、パスタというものを食べて、サラダというものを食べたのが“壁の穴”だったんですよ。それがこの前まであって、すごくうれしかったんですけど、なくなっちゃってね。ほんとにガッカリしているんですけど。
あ、“スターバックス”にも行きますよ。自分で行く時もあります。ええ、注文も自分でします。ホテル阪急インターナショナルに泊まった時は、劇場へ入る前に“スターバックス”に寄って、チーズサンドにカプチーノとか買って…。夏の間は、抹茶フラペチーノが大好きでね。東京では「飽きませんか?」って言われるぐらい何年間も毎日食べてて(笑)。さすがにこのところは寒いんで食べてないんですけど、また夏になったら食べたいなと思ってます。ここの“スタ-バックス”では食べた覚えがないから。
【取材・文=高橋晴代】