「こんぴらさん」の名称で親しまれ、一生に一度は参拝したい社(やしろ)として今も信仰を集めている香川の金刀比羅宮(ことひらぐう)。その金刀比羅宮の宝物を集めた展覧会が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス16階にある、あべのハルカス美術館で5月22日(金)から7月12日(日)まで開催される。
選りすぐりの約120点が並ぶ今回の展示は、あべのハルカス美術館開館1周年を記念した特別展覧会だ。開催日前の21日、メディア向けの内覧会が行われた。
展覧会は「海の神様、こんぴらさん」「憧れのこんぴら参り」「こんぴらさんの宝箱」の3部構成となっている。入口からまず目につくのは青の絨毯。海をイメージしており、海の神様であるこんぴらさんに続くプロローグとなっている。
「海の神様、こんぴらさん」で印象的だったのが「海難図絵馬(かいなんずえま)」。海難しかけたが幸運にも助かり、これは海の神さま「こんぴらさん」のおかげ、と奉納された絵馬である。昔の航海の難しさがひしひしと伝わってくる。そして今回の目玉コーナーは「こんぴらさんの宝箱」。その中でも円山応挙のふすま絵は、表書院そのままの配置のL字方で展示されており、絵画と空間を一体化した構成で見るものを圧巻する。たとえば「稚松丹頂図(ちしょうたんちょうず)・芦丹頂図(あしたんちょうず)」では、鶴が飛び立っていく、静けさから躍動感への動き、そしてまた降り立つという静けさへの描写がこのL字方の配置により生き生きと伝わってくる。空間を見事に使った表現は、さすが「空間の魔術師」円山応挙である。さらに、こんぴらさんではこれらのふすま絵を遠目から見ることになるが、ここでは間近に見ることができる。至近距離でしかと眼に焼き付けてほしい。
ほかにも、平安時代に作られ重要文化財である「木造十一面観音立像」や、百花繚乱図の名に相応しい伊藤若冲の「花丸図」、こんぴらさんと縁が深く、油絵を日本に広げようと尽力した高橋由一の作品など、こんぴらさんのお宝がところ狭しと並んでいる。
また会期内にはイベントも開催され、6月1日(月)の「親子で楽しむ、こんぴらさん。こどもDAY」では臨時開館となり、小学生の観覧料はなんと無料! ほかにも音声ガイド(520円/税込)の声を、2012年大河ドラマ「平清盛」で金刀比羅宮のご祭神でもある崇徳天皇を演じた俳優の井浦新さんが担当するなど、こちらも要チェック!
内覧会後に行われた主催者・関係者が集まった開会式では「選りすぐりの宝物が一同に会し、こんなに至近距離で見ることができる。ぜひかぶりついて見て頂きたい。必ずやご満足頂けると思う」(浅野秀剛氏/あべのハルカス美術館館長)「門外不出の宝物がたくさん展示されている。金刀比羅宮とゆかりの深い大阪の方々にぜひ、こんぴらさんのお宝を見て頂きたい」(琴陵容世氏/金刀比羅宮宮司)と、今回の展覧会への大いなる自信や期待が述べられた。
こんぴらさんで有名な785段の階段。その長い階段を登らなくてもお宝を見に行けるチャンス!? ぜひあべのハルカスに日本の宝物を見に行こう。
【取材・文=関西ウォーカー編集部】