08年7月に、戦後からの歴史に幕を下ろした池袋のレトロな飲み屋街「人世横丁」。1950年代前半に誕生した飲み屋街で、木造家屋を改装した約40件の飲食店が営業していた。
時代の荒波の中、消えてしまったと思われたブクロの“昭和の残り香”が、なんと今年の4月にすぐ隣の“新築ビル”に移転して復活を遂げたという。
ビル1・2階を新たな「人世横丁商店会」として、先行して2店がオープン。「○天」は、ランチの天丼と十割そばに加え、夜は旬の料理がそろう小料理屋。横丁の変遷を40年以上見守ってきた屋号を現店長が引き継いだ。夫婦の温かな接客が常連客をひきつける。
もう一方の「多ちのみ たけ松や」は焼鳥や煮込み、旬の魚介料理など、丁寧に仕込まれた酒の肴が並ぶ。お酒も希少な芋焼酎を中心に、手ごろな値段で充実している。
今後も、1952年ごろから続く老舗「幸ちゃん寿司」や創業約50年のラーメン屋「一番」など、かつての人世横丁で営んでいた飲食店が順次オープンする予定だという。
「横丁のいいところは、こぢんまりとした飲み屋が集まり、お客さんと一緒にみんなで街を盛り上げていけるアットホームなところ。行きつけの店が満席だったら、じゃあ隣の店に入ってみるよ、という気軽な会話や人とのつながりが魅力です。それは横丁からビルになったいまも変わらない」とは○天・店長の西川信さん。
昨年末には恵比寿横丁が誕生するなど、今東京では“立ち飲み”が見直されている。池袋に誕生した懐かしくて新しい“横丁ビル”にも、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう?【東京ウォーカー】