日研総業株式会社が、元サッカー日本代表・中田英寿氏と取り組む共同プロジェクト「モノづくりニッポン e仕事×ReVALUE NIPPON」。6月に中田氏がミラノ万博のファッションウィークに合わせ期間限定で展開した「SAKENOMY Project supported by e仕事」プロジェクトでは、5名の「塗師」研修生と日本各地の蔵元が日本酒と漆の酒器の魅力を伝えた。
5名の「塗師」研修生は、今回のミラノに向けて、今年1月に倍率約40倍の一般選考から選ばれた5名で、漆芸家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の室瀬和美氏のもとで漆塗りを体験し、その技術や精神を受け継ぐ現代の自動車塗装についてまでを学習。プロジェクトの集大成として、ミラノの地で日本のモノづくりを世界に向けて発信した。
店舗では、5名の研修生が室瀬氏の指導のもと作成した漆の酒器(漆器)で日本酒を振る舞ったり、漆塗りをはじめとした日本の伝統文化や“日本のモノづくりの魅力”をアピール。研修生が作った酒器を試したイタリア人の参加者は「日本酒は温めて小さな器で飲むものだと思っていたけど、冷やして飲んでも美味しいのは発見。いろんなグラスで飲むのもおもしろい。漆の器で飲んでみたけど、口当たりがなめらかでまるでワインのようなフルーティーさと飲み口だった」と感想を口にした。
中田氏は「自ら作ったモノが現地の方々に使われることで、製品として出来上がった瞬間を感じることができたと思います。今回得た経験や課題が、彼らの次の活動につながっていけたらいいですね」と研修生への言葉を述べ、「彼らの活動を通して、ミラノでも“モノづくり”がこれだけ評価されるということが分かってもらえたら僕も嬉しいです」と充実した表情を見せた。
さらに、研修生の土岐絵理さんが「自分の作った酒器でお酒を振る舞ったときにお話しながら、制作に1ヶ月近くかかっていることや、日本のモノづくりの重みや奥深さをお伝えすることができた」と現地でのプロジェクトを振り返ると、ミラノに駆けつけた室瀬氏も「漆が表面の下に何層も下塗りがあるように、表面だけでなく中身や本質をこれからも伝えていってほしい」と語り、研修生の今後への期待を表現した。【東京ウォーカー】