9月27日(日)まで、上野の森美術館で開催中の「大河原邦男展」。その名を聞いてピンとこなくとも、あのガンダムを生み出したメカニックデザイナーといえばご存知だろう。そこで今回はこの展覧会の見どころを紹介するとともに、偉大なる大河原氏の業績を解説!
大河原氏の代表作と言えば、前述のガンダムシリーズ(機動戦士ガンダム、機動戦士Ζガンダム、機動戦士ガンダムF91、機動戦士ガンダムSEEDなど)の他、「太陽の牙ダグラム」「装甲騎兵ボトムズ」「銀河漂流バイファム」など、80年代を彩った戦闘ロボットアニメが挙げられる。
そのことから、硬派なメカを描くデザイナーに思われがちだが、一方で「タイムボカン」シリーズといった比較的やわらかいデザインのメカも生み出している。
ちなみに“メカニックデザイン”という肩書きも専業のアニメーターとしては大河原氏に初めて使われたもので、いわばアニメ界に新しいジャンルを確立させたパイオニアでもあるのだ。
開催中のその企画展では、1972年のデビューから現在に至るまで、40年以上に渡る仕事の歴史を4つの年代に分けて紹介している。
その内容も、門外不出とされていたアニメ作品の設定資料や、富野喜幸(現・富野由悠季)監督との当時のやりとりが分かる貴重なメモ書き、さらには描き下ろしの新作など500点余りが展示され、ロボットアニメの変遷を楽しむことができる。また、アニメ化に至らなかった幻の作品の資料なども初公開され、大きな話題を集めている。
「グリコのおもちゃ」も手掛ける変幻自在のメカニックデザイナー
ボーダーレスに多彩なアニメを手掛けている大河原氏だが、なかには「え、これも!?」とファンでさえ驚く作品にも携わっている。その一つが1981年に公開された長編映画の第2弾「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」に登場する宇宙戦艦ブルドレインだ。
他にも「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマーV」や「ザ☆ウルトラマン」、アニメ・テレビ作品以外にも「グリコのおもちゃ」など、意外なタイトルのデザインに関わっている。もちろん、これらも展示されているので注目してほしい!
また、現在は東京都稲城市の公式キャラクター、稲城なしのすけや、縦長の形状に変形する超小型電気自動車(通称・マキナ)のデザインなど、さまざまな企業や自治体とのコラボレーション企画を実現させ、異業種でもその才能を発揮している。
アニメからおもちゃ、果ては市販車などのプロダクトデザインまで、あらゆるジャンルで活躍する大河原氏。その作品群の数々をぜひ自分の目で堪能してみてはいかがだろうか。【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】
※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです