ポルシェやベンツ、フェラーリといった名うての高級車のレンタル需要が伸びている。旅行先やデートでプレミアムな演出をするためだけでなく、オンタイムで活用するビジネスマンも多いのだとか。セレブならずとも気になる高級レンタカーの実態とは?
まずは国内のクルマ事情から。軽自動車を含む新車販売台数は年間550万台前後と横ばいで推移している(※1)。一方で、2014年3月時点でのレンタカーの車両数は、前年比+3.6%の28万3438台、事業者数は前年比+11.0%の7325社と増加傾向にある(※2)。 また、楽天トラベルにおける2014年度のレンタカーサービスの販売台数実績は、前年比で+26.6%と大きく伸長。これらのデータが示すように、乗用車は“購入”するより“レンタル”する流れが加速している。
その好調なレンタカー業界を支えているのが、20・30代のユーザーだ。この世代のレンタカー利用は前年同期比+56.8%と、全世代の中で最も顕著に伸びている。また、若年層の利用する車両クラスは、軽自動車とコンパクトカーが全体の76%のシェアを占め、低価格な車両を気軽に利用する傾向にあるという。
「最近の若年層は、『わ』ナンバーがレンタカーであることを知らない人も多い」(楽天 トラベル事業部 レンタカーグループ・リーダー 平山達也氏)など、若者はステータスよりも実用性を重視し、デートはレンタカーを利用することが常識となっているようだ。
一方で、ラグジュアリークラス(高級車)のレンタカー予約も+36.7%と高成長を記録している。とくに20~40代での伸びが高く、貸し出しエリアは北海道や沖縄県などの人気観光地の需要が高い。この背景には、「購入はできないが、リゾート地での旅行は憧れの高級車やスポーツカーで楽しみたい」といった非日常体験を楽しむ傾向がありそうだ。つまり、レンタカーを旅行先の移動手段としてではなく、旅行体験の一つとする流れが加速しているのだ。ともすれば、旅客機でファーストクラスを選ぶのと同等以上に、特別なひとときを味わえる可能性もあると言えるだろう。
そんな高級車のレンタルが、実は都心でも需要が伸びているのだ。都内でレンタカー事業を展開するプレミアムレンタカーには、ポルシェやフェラーリ、メルセデスベンツSクラス、日産GT-Rといった100台以上の高級車がズラリ。例えば「ポルシェ911 Carrera type997」のレンタル料は6時間で3万2800円、12時間で3万7500円と長く借りるほどお得な料金設定になっている。いちばん多いのは、金曜日の夜に借りて土曜日の夜に返車したり、土曜日の朝に借りて日曜日の朝に返却するパターンだとか。要するに、週末の“勝負デート”で高級車を利用しているに違いない。モテ効果はさておき、男たるもの一生に一度は高級車を自由に乗り回したいものだ。
さらに高級レンタカーの実態を探るべく現場に突撃!エントランスの自動ドアを入ると、さっそく「ポルシェ911 Carrera type997」がお目見え。敷地にはポルシェやフェラーリが鎮座しており、一般人には近寄りがたい空気を発しているもののご安心を。
事前に公式HPで会員登録(審査あり)が必要なものの、基本的に学生でも利用可能なレベルだとか。レンタル料には事故などの際の保険補償も含まれており、有料オプションで内容を充実させることも可能だ。一度だけでも憧れの車種に乗ってみたい若者から、新車購入を検討するため乗り心地を確認しにやってくる50代の役員クラスまで、ユーザーの世代も目的も多種多様だという。
同店で利用できる車両数は約100台。6時間から利用可能で、価格は1~10万円台まで車種によってピンキリだ。最高峰の馬力を備えたモンスターマシンを乗りこなす自信がない人には「ミニ クーパー コンバーチブル」(6時間1万400円~)がおすすめだとか。「コンパクトで気軽に楽しめるオープンカーながら、BMW製なので性能は折り紙付きです」(営業の久保田俊輔さん)。まっ赤なボディが放つ“ザ・外車”なオーラと、日本の道路環境に合ったサイズ感、そして女子ウケを確実に狙えるオシャレ感も魅力的な一台だ。
プライベートだけでなく、ビジネス向けの車種もそろっている。その最高峰が、「ロールスロイス ファントム」(6時間13万8600円~)だ。どこから見てもプレミアムと呼べる堂々のルックス。取引先の重役相手のゴルフ接待で活用すれば、費用対効果が計り知れないビッグな取引が決まるかも!? 実際に送迎用としてレンタルするビジネスマンが多いという。ちなみに、2600kgものヘビー級ボディながら、時速100kmに到達するまで5.9秒。それでいて、エンジン音がほぼ聞こえないほどの静かさ!後部座席で優雅に過ごすよりも、ドライバー役のほうが非日常的な興奮体験ができそうだ。
最後に、同店の人気車種を拝ませてもらうことに。モデル名は、「BMW 640i Cabriolet」(6時間3万6000円~)。ビギナーのために説明すると、ドイツの超名門メーカーによる高級シリーズで新車価格は1000万円はくだらない、まさに押しも押されもせぬ高級車である。「“憧れの一台”として、記念に並んで写真を撮っていかれる人も。人気車種のため、1カ月前のご予約がおすすめです」(久保田さん)。実際に、並んで立ったり、運転席に座るだけでもドーパミンがドバドバ。たとえレンタルでも、格上の男になった気分を味わえる高級車の魔力を実感できる。「これを12時間借りると約4万円。うん、日帰りで富士山まで突っ走れるぜ!」などと、男なら誰もが強気の妄想をしてしまうハズ。あなたは、どんな車でどんなプレミアム体験を叶えたいだろうか?
※1=日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会発表数値による ※2=一般社団法人 全国レンタカー協会が2015年3月に発表した「レンタカー車種別車両数等の推移」(国土交通省自動車局旅客課公表数値による)を参照
【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】
※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです