大阪のアートイベント「おおさかカンヴァス2015ーたたかう芸術祭ー」が10月3日(土)から12日(祝)、一旦休んで16日(金)・17日(土)までの、合計12日間、中之島公園など大阪市内数か所で開催される。
「おおさかカンヴァス」とは、2010年から始まった大阪のまち全体を「カンヴァス」に見立てたアート作品を募集・展示する芸術祭で、アートの力で大阪の新たな魅力を創造・発信しようとするもの。この祭典は、全国知事会の政策コンテストで、先進的な取り組みであるとして、昨年には大賞まで取った評価の高い、アートイベントとして知られている。
今年は初日の朝9時からは、すでにSNSなどで話題になっている作品「ローリングスシー」が道頓堀で”回り”だした。巨大寿司のオブジェを川に流して、回転寿司のチェーンコンベアにしてしまおうとするユニークな作品だ。このパフォーマンスに気づいた歩行者たちは、一同に写真を撮ったり追いかけたり。そして巨大寿司を追うすべての人が笑顔であふれていた。
また、今回多くの作品が展示されているのが中之島公園。その公園内で一番目立つ大きな作品が、大阪芸術大学とおおさかカンヴァスとの連携企画である「フシギオカシナユルグルー」。個性の素晴らしさを大切にするアーティスト・今井杏奈さんが、大阪の個性として感じたライオンをテーマに制作した巨大オブジェだ。
同じく中之島公園にあるのは、日本を代表するアーティスト・保坂俊彦さんの「From the Sea」という、固めた砂を人魚に彫刻した作品。この作品には、淀川の砂を使っており、今回初めて、砂に混じった漂着物を取り除かずに制作された。鱗の形などリアルに彫られており、本当に人魚が眠っているよう!
動く作品もいくつかあり、明和電機賞を受賞した作品「街角の電気スタンド」もその1つだ。作品のテーマは「周りの人を明るく照らしませんか」というもの。作者自らが頭にスタンドをかぶり、週末に道頓堀や中之島に繰り出す。見かけたら声をかけてみよう。”あなたを照らす”ために、スタンドをかぶらせてくれる! また、大阪市中央公会堂の2Fでは、作者が属する団体が手掛ける可愛い照明が展示されいる。どの作品も素敵で、そのあかりに心が癒される。
ほかにも、巨大水槽で本物の潜水士たちが、もくもくとデスクワークをする「水面下で働く人~underwater office」、コスプレイヤーが、自らの勇姿を大阪の魅力ある風景とともにSNSで拡散する「大阪コスプレ観光大使!」、編まれた毛糸で、大阪の風景を包み込み、毛糸の柔かさで、大阪の表情を軽やかにする「ニット・インベーダー in 水都」や、”スイッチを押すと何かが起こる”という演劇「道頓堀スイッチ」など、どれも個性的で面白い作品ばかりだ。作品によって展示場所が異なるので、詳細はHPを確認しよう。
3日(土)の11時過ぎからは、アーティストや関係者によるテープカットが、中之島公園で開催された。審査員長である建畠 晢さん(埼玉県立近代美術館長、多摩美術大学学長)は「通常、制約を守るというのが前提なのだが、ここは(その制約を)破壊するためにあり、(カンヴァス関係者は)それを貫徹されている。このように挑戦していき、これからもいろいろな可能性を広げていくことができれば」と挨拶した。
百聞は一見に如かず。素晴らしくてオモシロイ芸術作品ばかりなので、大阪とアートがコラボしたこの祭典の面白さを体感してみよう!
【取材・文=関西ウォーカー編集部】