テクノロジーと歌舞伎の融合「Wonder Kabuki Theater」京都・南座で開催

関西ウォーカー

10月20日(火)、京都市の南座で、市川染五郎のラスベガス歌舞伎公演凱旋記念イベント、パナソニック・プレゼンツ「Wonder Kabuki Theater」が開催された。

染五郎は今年8月アメリカ・ラスベガスのホテル、べラージオの大噴水前で歌舞伎の人気演目「鯉つかみ」を上演した。男女の恋物語が、若者と鯉の戦いに転換するファンタジックな物語だ。幅300mの噴水へのウォータースクリーンマッピングと歌舞伎が融合した壮大なショーは観客を魅了し、3日間5回公演で10万人を動員する快挙となった。

今回は南座のワイドスクリーンでこの公演のダイジェストを上映。ダイナミックで幻想的な光と歌舞伎のショーに、会場を訪れた歌舞伎ファンからは大きな拍手が沸き起こった。

上映後はいとうせいこうを司会にトークセッションが実施された。市川染五郎と、ウォータースクリーンマッピングを担当したチームラボの猪子寿之、タレントの春香クリスティーン、このショーを企画した松竹の岡崎哲也常務が登壇、ラスベガスのショーや、来年の本公演、そして東京オリンピックが開催される2020年に向け、歌舞伎と最先端テクノロジーの融合などについてトークが繰り広げられた。

染五郎はラスベガスでのショーをオファーされた際のことを振り返り「アメリカ本土に足を踏み入れたことがなかった。これで連れて行ってくれるというところにまず、喜びを感じた」と答え、会場からは笑いが起こった。さらに「古典歌舞伎は海外でも上演されてきたが、海外でやるならば海外でしかできない歌舞伎を見てもらいたいと思っていた。そこでこういうお話をいただいたので受けることにした」と、あえて挑戦的な公演に臨んだことも明かした。

春香クリスティーンは「海外の人や若い人も歌舞伎を見てみたいと思っている。でも、難しいのではないかという不安がある。そうした人に最新のテクノロジーを使って理解のヒントを増やせたら」と、若者の代表として発言。実際にそのような技術は開発されており、この日、舞台で披露された。市川染五郎が提灯の光にスマホをかざしたところ、スマホに舞台の情報が表示され、会場からは感嘆の声が漏れた。

この技術はパナソニックが来年からの実用化に向け開発中の「光ID」と呼ばれるもの。光の信号を読み取って、情報に変換する。この日は映像から演目情報を読み取ったり、隈取を読み込んで情報を見たりする技術も展示され、市川染五郎もこれらの技術を体験、驚きの声を上げていた。

【取材・文=関西ウォーカー編集部 鳴川和代】

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