【佐藤隆太インタビュー:その1】大阪公演も間近!舞台「ダブリンの鐘つきカビ人間」が10年ぶりの再演

関西ウォーカー

作・後藤ひろひと、演出・G2のコンビで、2002年に初演し05年に再演された伝説のファンタジーが10年ぶりによみがえる。物語の舞台となるのは、奇妙な病気に冒された村。醜い容姿になった孤独なカビ人間と、思っていることの反対の言葉しか話せなくなった娘・おさえとの、残酷でせつないラブロマンスが繰り広げられる。さらに、奇妙なキャラクターたちの笑いあり、伝説の剣を探す冒険あり、そして心揺さぶられる感動のラストへ。笑いと恐怖と感動が混在する不思議な世界観のダークファンタジーを、豪華キャストで再演。カビ人間を演じる佐藤隆太がキャンペーンのため9月に来阪、作品への思いを語った。

Q:オファーを聞いていかがでしたか?

今まで2回上演されていて、たくさんの方に愛されてる作品だと思います。すごく光栄なことで、うれしくもあり、プレッシャーでもあります。それだけ人気のある作品を自分が参加して作り上げることに、改めてプレッシャーを感じながら稽古に臨んでいます。新作に参加するより緊張しますね。

Q:過去の2作品についての印象は?

2005年の再演のときに観に行こうと思っていたんですけど、スケジュールの関係で観に行けなくて、結局、生では観れず、DVDで拝見しました。そしたら今回、自分がカビ人間をやるということになり、ちょっとビックリしています。DVDは、もうとにかく笑って見てましたね。いたるところに後藤さんとG2さんらしいユーモアが散りばめられていて、すっごく笑えるコメディなのかと思って見ていたら、急にせつない展開になって、まさかこの作品でオレは泣かされるのか、みたいな。そういうすごく振り幅が大きい作品だったので、非常に楽しく拝見しました。

Q:カビ人間の役柄は? どう演じたい?

せつないですよね。病気にかかる前は、カッコよくてモテていて、悪行を重ねていた男が、病気によって内面と外見が変わってしまう。で、一気に村中の人々から、汚い、近寄るなって煙たがられるけど、心はすごく純粋になっているという。初演の大倉(孝二)さんも、再演で(片桐)仁さんが演じられたカビ人間も、セリフを発してなくても舞台上にカビ人間として立ってらっしゃるだけで、すごくせつなさが伝わってきました。ピュアなところを狙いすぎてしまうと、観ていて感情移入ができなくなってしまうから、難しいアプローチかもしれませんが、あざとくならないよう頭で考え過ぎずに、カビ人間として舞台上にいる間は、そういうせつなさをちゃんと背負っていたいなと思っています。

後藤さんの書かれた本がすばらしいんです。2015年版は、物語の大枠は同じなんですけど、いろんなスパイスが加わっていて、改めて読んだ時に、本当におもしろくて。カビ人間のキャラクターが、文字で読んでいても悲しみが伝わってくるんです。そこにどれだけ素直に向き合うかが、キーになってくるかなと思います。

Q:10年ぶりの再演作に参加する気持ちは?

出演が決まって第一報が流れた後に、いろんな方から「カビ人間やるんでしょ」とか「絶対観に行くからね」とか、反応が多い作品でした。大倉さんや仁さんのカビ人間が印象深いので、あまりそのイメージに縛られ過ぎないようにして、解放していきたいなと。忘れようと思ってもインパクトが強かったので、そことの戦いもありますね。

Q:作品を通して伝えたいと思うことはありますか?

どんな作品であれ、誤解された受け取り方をされても、その人の中にその人なりの形で残ればいいと思っています。こちらから、どう感じてほしいと押し付けたくありません。でも確かに、自分が見ても、ただおもしろかったという作品とはまた別な…ちょっと考えさせられたり、いつまでもジーンと印象が残る作品でした。

自分の長所と短所が入れ替わってしまったカビ人間ですけど、この作品を観ていると、長所を人からどう言われようと、自分自身が間違った自信を持ってしまうと怖いことになるぞ、と、ドキっとさせられるシーンもあります。芝居を観終った後に、じゃあ自分はどうだと考えると、より怖くなるという感じはしますね。

いろんな受け取り方ができるようなメッセージが、いたるところに散りばめられているので、観る方の今の状況に、どんな形であれフィットして、考えさせられることが多々あるんじゃないかなと思います。

※【その2】はコチラhttp://news.walkerplus.com/article/66982/

【取材・文=高橋晴代】

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