改正薬事法が施行されて約1週間が経つ。登録販売者がいれば大衆医薬品の販売ができるようになり、コンビニでの薬品販売が話題となっている。
そこで1つ、疑問が残る。“コンビニ、スーパー、ドラッグストアの違いっていったい何?”取り扱い商品が重複し、3者の境界線がなくなってきているように思うのだ。
そんな疑問に答えてくれるかのような、新業態の店が5/20にオープンしている。「グリーンシア・ミニストップサテライト本庄朝日町店」(埼玉県本庄市)がそれだ。
これはコンビニ「ミニストップ」と、関東に約450店舗を展開するドラッグストア「ウエルシア薬局」が手を組み、なんと“ドラッグストアの中にコンビニをオープン”したというもの。約230坪あるドラッグストアにさらに約30坪を増床してミニストップを設置。ファーストフード商品の取り扱いはないが、おにぎりや弁当の販売、イオンPB商品の取り扱い、ATMやコピー機の設置、公共料金の支払いなどが可能になった。ドラッグストアにとっては新たな顧客層の獲得に、コンビニにとっては医薬品の登録販売者の育成とノウハウの習得に役立つ。
一方、客にとっては処方箋の待ち時間にコンビニで公共料金の支払いをしたり、逆にコンビニで弁当を購入した客が薬を買いに立ち寄ったりと、利便性が向上した。実際、オープンしてから「今まで女性や主婦層が多かったドラッグストアにコンビニ利用の男性客が増えました」(ウエルシア薬局広報)とのこと。
ちなみにグリーンシア・ミニストップサテライトは今月2日に埼玉県春日部市に2店舗目をオープン、さらに6〜7月にかけて千葉県佐倉市と東京都練馬区でのオープンが決定している。
さて、医薬品の販売を開始したコンビニの動向はどうだろう。セブン-イレブンでは6/1に合わせて麹町駅前店24時間販売をスタートし、ファミリーマートでは昨年9月から薬剤師を置いて外神田六丁目店と南池袋二丁目店の2店舗ですでに販売している。両者ともまずは登録販売者育成やノウハウの構築、売れ筋商品などのデータを蓄積中だという。取扱店拡大を視野に入れつつ、消費者のニーズを見極めたいようだ。
また、全国112店に薬剤師の下ですでに医薬品を取り扱う大手スーパー、イトーヨーカ堂では6/1〜30(火)に大衆薬等約200品目を10〜20%一斉に値下げした。「現在で3割り増しの売り上げです。今後も品目を変えて値下げを継続していく予定です」(広報)とのこと。さらに登録販売者160名を順次薬品売場に配置し、「お客様のご相談・ご質問にお答えできる、きちんと接客できる店づくりを目指しています」と、サービス面での充実も怠らない。
そして大手ドラッグストア「マツモトキヨシ」では、医薬品の商品知識や接客・コミュニケーション能力など人材育成面でプロとして異業種には負けないと自負する。「永続的な人材育成をすること、そしてお客様が安心して使えるPB商品を充実させることで異業種との差別化を図っていきたい」(広報)とう。
このようにドラッグストアとコンビニが合体したり、コンビニやスーパーでの取扱商品の幅が増えるなど、もうどの業態もいわゆる“スーパーマーケット”に近いところまで来ていると言えるかもしれない。いずれにしても、我々消費者にとっては深夜に薬が買えたり、安く購入できたり、1軒で買い物が済ませられたり、と利点は多い。改正薬事法で変化を見せる3者の今後に注目したい。【東京ウォーカー】