※その1の続きhttp://news.walkerplus.com/article/68506/
―先ほど少しお話しましたが、ロケ地が本当にすばらしくて。雪が降っている景色…、あの景色は本当に素敵です。
「“忠臣蔵=雪”というのは毛頭なくて、後からつながったんですよ。映画の神様がいて、その場所に呼ばれていった感じです。撮影したチェコは京都と一緒で、爆撃を受けていない街なんです。あと、よくハリウッド進出と言われていますが、ただ全世界の人種を入れてやりたかっただけなんです。邦画とか洋画とか、そういう線引きはつまらない。全世界という意味では、ひとつでしょ。言葉が違うだけで線引きするなんて、どうでもいいじゃんと思うんです。だから、ニュースで『大リーグに行きました』とかいうニュースを観ても、何も思わない。ふーんという感じ」
―才能があって、チームワークを大切にできる人なら、どこででもできるし、いちいち線引きするのもアホらしいですよね。
「黒沢 明さんとかも、なにも意識してなかったと思いますよ。一番影響を受けている監督ですけど、視点が普遍的でユニバーサルだよね。なんでもジャンルで分けすぎるのはよくないよ」
―今回はご自身による宣伝活動も話題を呼んでいますよね。
「街に出て、一晩でチラシ700枚とか配ってますからね。公開日までにやれる事を全部やりたかったんです。取材も昼食休憩を入れるくらいなら、その分、取材1本入れたい。一人でも多くの人に観てもらうには、どうしたらいいかしか考えてないですから。今回は、今まで以上にアグレッシブです。ふんぞり返っていても仕方ないですから」
―「オリジナルの話だと、客が入らない」とか、よく言われますけど、それだけ言っていても仕方ないですからね。
「漫画原作やドラマ続編ばかりが映画になっているなんて言われるけど、そりゃ漫画やドラマという予備知識があれば安全ですよ。なにも悪くない。ビジネスとしては製作費を回収するのが、当たり前。そんななかで『最近の人は、映画をわかっていない』なんて言っても、なんの意味もない。そうなると、こちらから動くしかない。そのうえで、お金をかけない方法といったら、自分の体を使うしかない。チラシ1日1000枚配って、50人来てくれるだけでも全然違いますよ。最近だと1枚チラシ配ったら、SNSでも拡散してもらえますしね」
―今日お話が聞けてよかったですよ。今まで持っていたイメージと違いました。
「つねに自分をさらけ出しているつもりなんだけどね。本当に偏見って怖い。なんで、こんなにいじめられるんだろう?って、よく思ってたよ(笑)。どれだけ俺がいい人かを書いてね!」
―(笑)。あっ、チラシなんですけど、いわゆるチラシじゃなく、監督のお名前が入った名刺型というのもいいなと思いました。
「チラシだと大きすぎるからもらってくれないんです。名刺だと、とりあえずもらってくれる。名刺って、本人からじゃないともらえないからね。既存の事をやっても仕方ないから。本当は、やりたくないよ、こんな事(笑)。宣伝しなくてもいいくらい、僕に知名度や人気があればいいんだけど。でも、つべこべ言っても仕方ないから毎日毎日配っています。バラエティ番組だって、出させていただけるなら、全部出ます。その出演がきっかけで、映画を知ってもらえるのはありがたいですから。どうしても今まで色眼鏡で見られていた事が多かったから」
―その色眼鏡は監督自身が露出を多くして、本音を語っていく事で、どんどんなくなっていっていると思います。今日はたくさんお話ができて、本当によかったです。ありがとうございました。
【取材・文=鈴木淳史】