人気不動産漫画にも登場する“雑司が谷”の魅力とは?

東京ウォーカー

【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩いてみる~Vol.1


映画やドラマ、漫画など、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

記念すべき第1回は、ヤングマガジンサードで連載中の「吉祥寺だけが住みたい街ですか?」(講談社)から雑司が谷をフィーチャー。本作は、ドラマ化もされた「いつかティファニーで朝食を」の著者・マキヒロチさんの新連載で、作品が生まれたきっかけは「散歩するのと物件を見るのが好きなので、それを活かして何か女性に提案できることはないかなと考えたときに思いつきました」とのこと。

物語は住みたい街ナンバーワンの吉祥寺に引っ越そうと物件を探しに来た人たちが、ある不動産屋に入るところから始まる。そこで働くぽっちゃり体型&メタルロック好きの個性的な双子姉妹は、オーダーに応えて吉祥寺の物件を案内するものの、客の“本当の条件”を察し違う街の物件を提示する。恋愛や仕事など、それぞれの悩みを抱える客は、次第にその街の魅力にひかれ、新しい地で人生を再スタートするという新感覚の不動産漫画だ。その第1話の舞台になったのが雑司が谷。作中に実際に登場した店やスポットを巡りながら街の魅力を紹介する。

重田不動産で働く双子姉妹。住みたい街として絶大な人気を誇る吉祥寺の変わりゆく街並に思いを馳せる、印象的なシーンから物語が始まる


雑司が谷駅


著者が「雑司が谷の魅力は、都心に近いのに庶民的で昭和っぽいところ」と語る、副都心線の雑司が谷駅。繁華街の池袋駅が隣駅になるが、個人商店が多く、落ち着いた雰囲気の街並が広がる。

【写真を見る】作品に登場する副都心線の雑司が谷駅


駅前の道路は工事中だが、完成すればより快適に


鬼子母神


作中で一番最初に訪れるのが、雑司が谷を語る上で外せない鬼子母神。安産のご利益があり、古来から地元で親しまれている。境内にあるイチョウは約700年前に植えたと言われており、高さ約33m、幹幅が約11mもあり、その大きさに圧倒される。

作中に登場する鬼子母神のほか、法明寺、大鳥神社など、いたるところに寺社がある


鬼子母神前のケヤキ並木。参拝みやげには「すすきみみずく」を


古書 往来座


不動産屋の双子姉妹とイラストレーターの客が思わず本に夢中になるのが、「古書 往来座」。近くにある雑司ヶ谷霊園に眠る、夏目漱石や永井荷風らの本が置いてあるコーナーのほか、映画や美術関連の本が充実している。「雑司ヶ谷霊園と都電と寺がとてもいいと思い、この地に移転しました。雑司ヶ谷霊園へ行くと浮わついた気分がしゅっと落ち着く感じがするから(笑)」(店長の瀬戸雄史さん)。

イラストレーターの登場人物がヘンリー・ダーガーの画集の安さに驚く「古書 往来座」


邦画好きの店員が作るフリーペーパーの映画情報誌「名画座かんぺ」も好評(古書 往来座)


赤丸ベーカリー


その雑司ヶ谷霊園の近くにあるのが、手作りパンが好評の「赤丸ベーカリー」。漫画にも登場する一番人気のクリームパンは、中にぎっしりクリームが入っており、ほどよい甘さでどこか懐かしい味わい。店主の赤丸尋智(ひろのり)さんは「下町特有の深い人付き合いの中にも、いい距離感を保った関係を築けるので、地元の人だけでなく新しい人も住みやすい」と街の魅力を語る。

3人で街を歩き、赤丸ベーカリーを発見


店内にはカフェスペースがあり休憩もできる赤丸ベーカリー


都電荒川線


そして漫画では見開きで描かれるなど、第1話のハイライトとなる重要なシーンで登場するのが都電荒川線で、この懐かしい街並みを演出する一つの要素になっている。早稲田から三ノ輪まで続く都電荒川線は、現在は車両も複数あり、おなじみの「チンチン」と鳴る鐘の音が気持ちをほっこりさせてくれる。

第1話のテーマに雑司が谷を選んだ著者が「見開きで都電荒川線を描きたいなと思ったからです」と語る1シーン


車両の向こうには、サンシャインやタワーマンションが見える


東京メトロの副都心線と都電荒川線が使えて便利な雑司が谷エリア。寺社が点在する街並に下町を感じさせる個人商店が並び、普段の生活に平穏と温もりを与えてくれる雑司が谷に、まずは散歩がてら訪れて、街の空気を感じてみよう。

連載Vol.2は2016年1月上旬配信予定【東京ウォーカー】

「吉祥寺だけが住みたい街ですか? 1」講談社/マキヒロチ/610円

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