松ケン&北川景子共演映画は下町“谷中”が舞台

東京ウォーカー

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【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.3


漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

第3回は、1月16日(土)から公開の映画「の・ようなもの のようなもの」の舞台となった台東区の谷中に注目。本作は「間宮兄弟」「僕達急行 A列車で行こう」などで知られる故・森田芳光監督の劇場デビュー作「の・ようなもの」の35年後を描いたヒューマンドラマだ。松山ケンイチや北川景子ら森田作品ゆかりの俳優が集結し、過去に演じた役柄を思わせるセリフを話すなど、森田監督へのオマージュが散りばめられているのも楽しい。

物語の主人公は、師匠の自宅で住み込み修行中の真面目すぎる落語家・志ん田(松山)。落語を捨て気楽に生きる兄弟子・志ん魚(伊藤克信)との出会いや、思いを寄せる師匠の娘・夕美(北川)との関係を通し、自分らしく生きる楽しさに気づいていく。そして、作品全体から漂うゆるやかで温かい空気感や、さりげない人情を引き立てているのが、どこか懐かしい谷中の景色。その魅力を、劇中に登場した店やスポットを巡りながら紹介する。

「の・ようなもの のようなもの」(松竹/2016年1月16日全国ロードショー)(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会


「都せんべい」


谷中といえば谷中銀座商店街が有名だが、そのほど近くにあるのが昭和の風情が残るアーケード街、初音小路。劇中で、志ん魚を探す命を受けた志ん田が、「初音小路の『都せんべい』が食べたいな~」という夕美の言葉をヒントに訪れ、鈴木京香演じる女主人に助言をもらうのが初音小路にある「都せんべい」だ。

1952(昭和27)年に創業した老舗で、店の奥で手焼きする香ばしいせんべいが長く愛され続けている。ガラスケースに袋詰めのせんべいが敷き詰められ、その上にばら売り用の丸いガラス瓶が並ぶ店頭の景色は、まさに昭和そのもの。胡麻やザラメ、みそ味などの種類がそろうので、店先に立つかわいいおばあちゃんに声をかけて購入しよう。

【写真を見る】森田監督への“オマージュ”を散りばめた「都せんべい」の女主人の1シーン。森田監督作「39 刑法第三十九条」(99年)で演じた精神鑑定士のようなセリフを話し出す(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会


取材時も観光客らしき外国人が興味を示していた、「都せんべい」が並ぶ初音小路の風景


「手づくりのおかず・おべんとう トーホー」


志ん田が志ん魚を探し歩くスポットの一つとして劇中に登場するのが、宮川一朗太が店主を演じるお弁当屋さん。谷中銀座商店街がよみせ通りに行きつく手前に位置し、ピークの昼時と夕方には列ができるほどの人気店だ。劇中の店の壁に「谷中で1番おいしい」と書かれているように、肉・魚・野菜を使い、和洋中と種類豊富にそろう手作りのおかずは、コシヒカリを使ったホカホカご飯とも相性抜群。価格の安さも相まって、近所に住む人、近辺で働く人たちから重宝されている。

「最近の谷中銀座商店街は観光客が多いですが、常連の方も多く来ていただいています。単身者用のマンションもできたので、夜はお酒のつまみにお惣菜を買っていかれる男性客も多いですよ」(店長の藤田佳延さん)

「手づくりのおかず・お弁当 トーホー」の店主役・宮川一朗太のセリフも、森田作品「家族ゲーム」(83年)での役柄を思わせる(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会


「手づくりのおかず・お弁当 トーホー」は、「日替り弁当」450円、「からあげ弁当」480円など安さも自慢


「初音児童遊園」


劇中で銭湯での寄席を終え、志ん田、志ん魚、夕美がアイスを食べながらまったりとくつろぐ公園。住宅街になじんだ細長い敷地の中央には「みしま地蔵尊」がまつられ、劇中の3人が座る、砂場の隅の水色と赤の腰掛けが目を引く。街歩きの途中のひと休みタイムに、趣ある住宅街をゆっくりと眺めてみたい。

「コンパクトな敷地ながら、すべり台やブランコ、砂場などがあり、幼児を中心に人気の親しみのわく児童遊園です。また、春にはサトザクラのカンザンを楽しむこともできます」(台東区公園課)。

久しぶりに観客を前に落語を披露した志ん魚を、夕美と志ん田がなぐさめる「初音児童遊園」でのワンシーン(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会


すべり台や砂場のあるエリアと、ブランコのあるエリアが道を挟んで分かれている「初音児童遊園」


「三浦坂」


登場人物が商店街や路地などを歩く姿も印象的な本作。前半は下り、後半は上りと、物語のメッセージ性を感じさせるような、効果的な使われ方をしているのが坂のシーンだ。レンガ塀に沿った荒川区に位置する「富士見坂」も印象的だが、なかでも多く出てくるのが、根津駅近くの「三浦坂」。美作国の勝山藩主・三浦氏の下屋敷前にあったことから名づけられ、1856(安政3)年の尾張屋版の切絵図に記載があるなど、歴史が深い。細長くまっすぐに伸び、その道なりが見通せる坂上からの景色は、どこか清々しい気持ちにさせてくれる。

「三浦坂」を上る終盤のシーンの志ん田は、表情もどこか晴れやか(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会


坂上は両サイドが壁に囲まれる。坂下には「三浦坂」を説明する看板が立つ


下町情緒や昔ながらの街のよさが見直されるなかで、根津、千駄木と合わせて“谷根千”と呼ばれ、観光地や街歩きスポットとしても人気を集めている谷中。JRや京成線の日暮里駅、東京メトロの千駄木駅・根津駅が徒歩圏内にあり、都心へのアクセスも文句なし。

「江戸の街を守護するために配置された寺社が多く立地し、歴史ある佇まいが多く残っています。一方で、アーティストの活動の場・ギャラリーや個性的な店舗が増えており、いわゆる“谷根千”エリアの一角として、街歩きを楽しむために多くの人が訪れています。アートやまちづくりに関心のある人々による取り組みも盛んです。街全体が落ち着いた雰囲気で、住環境がとてもいいと思います」と語るのは、台東区にぎわい計画課の方々。

取材スタッフも、はじめのイメージは“谷中=観光地”。事実、外国人など観光客の姿は多いものの、その横ではご近所さんが店員さんとあれやこれや言いながら買い物をする姿があり、そういった商店街のにぎわいの裏では、住宅街の落ち着きもバランスよく保たれ、“谷中に住む”が一気にリアルに。

古きよき街並みを残しつつ、人を引き寄せる活気にあふれた谷中で、新たな生活をスタートさせてみては?【東京ウォーカー】

※第4弾は1月下旬配信予定

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