主演ドラマで吉田鋼太郎が“押上”をエスコート

東京ウォーカー

【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.4


漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

第4回は、吉田鋼太郎主演の連続ドラマ「ドラマ24・東京センチメンタル」(テレビ東京系)の舞台をピックアップ。ドラマは、“バツ3、独身、55歳”の恋多き和菓子職人・久留里卓三(吉田)が、毎回代わる代わる登場する美女と下町を巡りながら、募る恋心に右往左往する大人のラブストーリー。柴又、押上、人形町と毎回異なる下町を舞台に、実在の店やスポットが登場するのも本作の見どころだ。

今回取り上げるのは、ゲストマドンナに市川由衣を迎えた1月22日放送回「押上の恋」。劇中で“下町のオススメの場所”として、卓三がキャバクラ嬢・明美(市川)を案内する店やスポットを巡りながら、押上周辺エリアの魅力を紹介する。

美女との恋に突っ走る卓三の姿に“おじさん萌え”する人も(C)テレビ東京


「東向島珈琲店」


“ヒガムコ”の愛称で親しまれる人気カフェ。「墨田区に育てられたので、地元に貢献したい」というオーナーの思いが浸透し、コミュニティスペースとして地元の人からの支持が厚い。

オーナーの師匠がいる神田「高山珈琲」のオリジナルブレンドを使い、一杯ずつ丁寧に抽出するコーヒーはもちろん、劇中で卓三が明美に「墨田区のスイーツベスト3に選ばれたんだよ」と得意げに話す「レアチーズケーキ」など自家製スイーツも評判だ。

「お店とお客さんの距離など、人と人とが近い、親しみやすい街。人とコミュニケーションを取りながら暮らしたいという人には適していると思います。裏路地がたくさんあるので、古い建物を眺めたり、隠れ家的なお店を発見したり、街歩きも楽しいですよ」(墨田区で生まれ育ったオーナー・井奈波康貴さん)

【写真を見る】卓三が「すっごい感じのいいカフェ」として最初に明美を案内したのが「東向島珈琲店」(C)テレビ東京


小さな階段を上がった先にあるソファ席。木やブラウンカラーをベースにした内装が落ち着いた雰囲気を演出(「東向島珈琲店」)


フワッとした食感がたまらない「東向島珈琲店」の「レアチーズケーキ ラズベリーソースがけ」350円。明美が「口の中で優しくとろけますー」と感動するのも納得


「亀戸天神社」


劇中で卓三が「藤まつりで有名な天神様」と紹介するように、毎年4月下旬頃から開催される「藤まつり」には多くの人が訪れ、露店も100以上並ぶなど大にぎわいに。境内に100株以上あるフジの花が一斉に咲く様は圧巻で、まさに“東京一のフジの名所”。

フジのほかにも、境内には季節を彩るウメやキクもあることから“花の天神様”とも呼ばれ、さらに学問の神様として知られる菅原道真公を祀っているため合格祈願スポットとしても人気を集める。

「亀戸天神社」での花の話をきっかけに、明美の知られざる一面を知った卓三は、その健気さに萌える(C)テレビ東京


菅原道真公を祀る「亀戸天神社」の本殿。東京スカイツリーを背景にした歴史と近代のコントラストは写真に収めたい景色(C)テレビ東京


「きそば 長平」


仲のいいご家族で営む、1961(昭和36)年創業のおそば屋さん。北海道・江丹別産のそば粉や鳴門のワカメなど素材にこだわるほか、豊富なメニューも魅力の一つだ。

「新しいものを作るのが楽しい」と店主が言うようにオリジナルメニューも多く、「梅若そば」「玉の井そば」など地域に慣れ親しんだ名前を冠した、地元愛あふれるものも。

劇中で卓三と明美が注文した「寺島せいろ」は、江戸時代からこの地域で栽培され関東大震災の時に消滅するも、09年に地元の尽力で復刻した寺島なすを使っているのが特徴。6月末~10月初め限定で味わうことができる。

「この地域はとにかく人情に厚く、街全体が家族みたい。商店街も残っていて、大型スーパーとも共存しているのでなんでもそろいますよ。物価や家賃も安いので暮らしやすいと思います」(この街を長く見続けてきた2代目店主・大坪康明さん)

「きそば 長平」で寺島なすのうんちくを語る卓三。寺島なすの天ぷらを食べた明美は「甘味と食感が最高」と感嘆の声をあげる(C)テレビ東京


「きそば 長平」は大正通り沿いに位置。看板犬・小五郎くんがお出迎えしてくれるかも?(C)テレビ東京


「スパイスカフェ」


木造アパートを改装した趣のある店構えが特徴の人気店。世界48か国を旅したオーナーシェフが手がける、南インド料理をベースにしたスパイス料理を味わえる。

劇中では、卓三が「南インドカレーが食べられると人気のお店なんです」と明美の母親に紹介。その南インドカレーは、卓三が言うように「さらっとしていて米になじみやすく、豆や野菜をふんだんに使っているので大変胃に優しい」。

毎年2月は丸ひと月お店を閉めてインドへ料理修業に出向き、3月のリオープン時にはその成果となる新メニューを発表するという、尽きぬ探究心・向上心に驚くばかり。

この地で生まれ育ったオーナー・伊藤一城さんが「小さい時から人のつながりが濃い街」と語るように、お店の改装時には地元の人々があらゆる面で助けてくれたそう。

明美の彼氏のふりをした卓三が、上京した明美の母親と対峙する「スパイスカフェ」(C)テレビ東京


大工さん、建具屋さん、左官屋さんなど、地元の職人や友人たちに助けられながら、自分たちの手で改装したという味のある店内(「スパイスカフェ」)


日本を代表する観光スポット、東京スカイツリーを擁する押上エリアは、都心へのアクセスも抜群。外からのイメージは観光地だが、「居心地がいいので、ここで育った人は出ていかない」(「きそば 長平」の大坪さん)というように、住めば住民を引き付けて離さない魅力が詰まっている。

実際、お店を取材しただけでも、「きそば 長平」では親戚の家に来たような気で長居をしてしまい、「東向島珈琲店」「スパイスカフェ」も家の近くにあったらいいな、と思わせてくれる。

まずは観光がてら訪れてみれば、すぐに居心地の良さを実感できるはずだ。【東京ウォーカー】

第5弾は2月中旬配信予定

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