夢枕獏の大ベストセラーを完全映画化した「エヴェレスト 神々の山嶺」は、邦画初となる標高5200メートルの高所で撮影された、角川映画40周年記念映画にふさわしい感動のスペクタクル大作だ。その封切りにさきがけ2月18日、大阪市阿倍野区にある日本一高いビル「あべのハルカス」60階屋内回廊で、主演の岡田准一、阿部寛、平山秀幸監督を迎え、記者会見が行われた。
岡田准一は「日本一高いこの場所で、高いところで撮ってきた映画の話を地元の皆さんにお話しできるのがうれしい。昔の角川映画のように熱い、男の映画が出来上がったと思う。ぜひ期待して」、阿部寛は「エベレストの5000m以上のところまでいって撮影できたのがすごく幸せ。熱い熱い映画になっている」とあいさつ。平山監督は公開を控えた今の心境を「いま、やっと下山したような気分でいます」と述べた。
本作は阿部寛演じる孤高のクライマー・羽生丈二と、彼を追いかける山岳カメラマン・深町誠の姿を描く。実際にヒマラヤ・エベレストの5200m地点の厳しい自然の中で撮影された挑戦的な作品だ。監督以下、キャスト、スタッフともほとんどが登山の素人だったが、10日ほどかけて5200mの高地になれる高地順応を行い、厳しい自然環境の中で撮影を敢行した。
阿部は「4500メートルを超えたころから明らかに景色が違ってきた。サイズ感が分からないぐらい大きな場所、巨大な空間。圧倒的な自然の中で小さな点となってみんなが一つになった、過酷な撮影だった」と振り返った。
また、岡田は羽生丈二を追いかける役柄だけあって「ずっと(阿部さんを)追いかけていて『どこ行くんですか?』と聞いたら『トイレだよ』といわれるぐらいついて回った」と役作りでも阿部を追いかけて回った思い出を語った。
実は高所恐怖症という平山監督は「自分の苦手なことがたくさん詰まっている原作だったが、2人と一緒にエベレストに上がって、どこまでが岡田さんで、深町なのか、どこまでが阿部さん本人でどこからが羽生なのかわからなくなるぐらい、二人とも自然の中に溶け込んでやってくれた。二人がどんどん変わっていくのが楽しかった」と回想する。エベレストの圧倒的な自然はもちろん、二人の男の織り成すドラマも見ものだ。
「エヴェレスト神々の山嶺」は3月12日(土)、全国東宝系で公開される。