女優・高畑充希がときめきを募らせた街“吉祥寺”

東京ウォーカー

【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.6


漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

前回、前々回に続き、連続ドラマ「ドラマ24・東京センチメンタル」(テレビ東京系)をフィーチャーした第6回は、“住みたい街”の王道・吉祥寺が登場。

これまでの下町と街の色が異なるのは、今回取り上げる2月19日放送回「吉祥寺の恋」が、吉田鋼太郎演じる主人公・久留里卓三ではなく、卓三の和菓子店「くるりや」の看板娘・あかね(高畑充希)の恋物語だから。そのお相手は、俳優・歌手・イラストレーターの夢を追う、元モデルの龍介(小柳友)。

いつもは恋にうつつを抜かす卓三を冷たくあしらうあかねだが、龍介の住む吉祥寺の店やスポットを2人で巡るにつれ、彼への恋心をコントロールできなくなっていく。

いつもクールなあかねが見せる、恋する女子の表情がキュート(C)テレビ東京


「Cafe FESTA」


劇中で、歌手を目指す龍介がライブを行ったのが、井の頭恩賜公園内にあるカフェレストラン。テラス席や窓外から、公園の中央に広がる井の頭池と、春にはサクラを眺めながら食事ができる。料理はピザやパスタのほか、お酒のつまみとなるアンティパストをそろえ、ビールは輸入モノなど20種以上をラインナップ。15名以上から貸切にも対応し、公園内という立地から、歓送迎会やパーティなど華やかな席に利用されることが多いという。貸切の際には、劇中のような演奏会や、大型テレビを使ってのDVD鑑賞もできる。

「利便性がよく、緑とおしゃれな繁華街の両方があるのが“住みたい街”と言われる大きな理由だと思います。13年9月にお店を開いたのに合わせ、吉祥寺のほど近くに住み始めましたが、スーパーが多いのが便利です。自転車置き場が充実しているのも特徴ですね」(スタッフのNさん)。

【写真を見る】龍介がライブを行う「Cafe FESTA」へやって来たあかね(C)テレビ東京


「Cafe FESTA」のライブで歌う「涙くんさよなら」がクライマックスで効いてくる(C)テレビ東京


劇中であかねが注文する「ふんわりチーズスフレ」500円(手前)は、名前通りの食感がヤミツキに。ブレンドコーヒー350円(奥) (「Cafe FESTA」)


「武蔵野八幡宮」


あかねと龍介がふらりとお参りに行くのが、五日市街道沿いにある由緒ある神社「武蔵野八幡宮」。789(延暦8)年、坂上田村麿が宇佐八幡宮の御分霊を祀って現在地に創建し、1659(万治2)年、吉祥寺村の開村により氏神となり、現在まで親しまれている。

境内にはケヤキやクスノキといった大木がそびえ、にぎやかな街とは思えない厳かな空間を作り出しており、足を踏み入れると、どこか安らかな気持ちにさせてくれる。

「武蔵野八幡宮」の鳥居を抜け、本殿へと歩くあかねと龍介(C)テレビ東京


お参りの後、あかねは急に「思い出した!」と、かつて思い描いた夢を語り出す(「武蔵野八幡宮」)(C)テレビ東京


きらびやかな金と朱色の装飾が美しい「武蔵野八幡宮」の本殿(C)テレビ東京


「割烹 黒ねこ」


イノシシのしゃぶしゃぶを初めて食べたあかねが、思わず「ボーノ!(イタリア語でおいしい)」と感嘆の声をあげるのが、吉祥寺で50年以上営業を続ける老舗「割烹 黒ねこ」。古民家から移築した年季の入った梁や、個性的な骨董品が装飾された店内は、どこか懐かしい雰囲気。料理には旬の素材を取り入れているため、日によって内容は異なり、「初めての人にはぜひコースを味わってほしい」と店主は言う。趣のある空間で上質な和食が味わえるとあって、接待や大切な記念日などにも利用されている。

「35年以上吉祥寺で働き、暮らしていますが、何でもそろうので徒歩圏内で生活ができるのが魅力だと思います。昔からのお店が変わらず残っているところも気に入っています」(スタッフの高橋洋子さん)。

龍介のバイト先として登場する「割烹 黒ねこ」の1シーン。バイトの後輩で駆け出しの漫画家・モエ(トミタ栞)が、2人の関係に茶々を入れる(C)テレビ東京


独特のムードが印象的な「割烹 黒ねこ」の店内。店中央にサクラなど季節に合わせた花が飾られ、週に一回入れ替えられる(C)テレビ東京


島根の天然イノシシの肉を使った「いのしし鍋 しゃぶしゃぶ」3780円(1人前、注文は2人前~)。イノシシ肉はクセやくさみがまったくなく、柔らかい肉質も◎(「割烹 黒ねこ」)


「Jolly-Pad」


終電を逃したあかねと龍介は、狭い路地に個性的なお店が軒を連ねるハモニカ横丁内の「Jolly-Pad」へ。自慢のジンギスカンや30cmサイズの炭火串焼きを、アメリカの酒場をイメージした店内で気軽に味わうことができる人気店だ。

劇中で、龍介の後輩をお祝いするパーティを開いているように、飲み放題付きの各種パーティコース3000円~(6名~、要予約)があるので、にぎやかな宴にはもってこい。

「渋谷、新宿も近いけど、そこまでゴチャゴチャしていない。ちゃんとしているけど敷居が低くて、いい街だと思います」(吉祥寺はあこがれ、と語るスタッフのダイラさん)。

「30年以上前のハモニカ横丁は、この場所で先代は肉屋をやっていたし、ほかにも魚屋などもあったり今とは違うにぎわいがありました。一時期さみしい時代はありましたが、今は個性的なお店がごちゃごちゃとあるのが面白いし、強みになっていると思います。横丁以外に大型店舗もあって、何でもある程度のものがそろい、井の頭公園があったり環境もよく、落ち着いて生活ができるのがいいですね」(生まれも育ちも吉祥寺の店長・鈴木さん)。

わざと終電をなくしたあかねは、龍介を誘い「Jolly-Pad」へ飲みに行く(C)テレビ東京


小さな店がひしめくハモニカ横丁の中でも、店内が広々としている「Jolly-Pad」。カントリーな装飾を見るのも楽しい


自家製ダレで味わう「ジンギスカン(仔羊と野菜の鉄板焼き)」(2人前)1760円。ラム肉だけでなく、野菜もバランスよく食べられる(「Jolly-Pad」)


劇中では、龍介によって「最近、吉祥寺がさみしい街に思える。あこがれの街だったのに」と語られる吉祥寺。変化する街と、身動きできなくなった自分とを対比した、夢追い人の悲哀が心に刺さるセリフだが、学生時代を吉祥寺で過ごした取材スタッフにとっても、吉祥寺バウスシアターがなくなったのは確かにさみしい…。

ただ、駅を中心に碁盤の目状に広がる路地を散策する楽しさや、緑豊かな井の頭恩賜公園の癒し、日常からよそいきの買い物まで完結できる利便性といった、住み心地のよさは今も変わらない。また、朝、昼、夜、さらに夜~朝まで遊べる、繁華街としての魅力も健在だ。

いいものは残りつつ、より活気あふれる街へと変化する吉祥寺は、これからもきっと“住みたい街”であり続けるはず。【東京ウォーカー】

第7弾は3月上旬配信予定

吉祥寺シアター前の路地での龍介とあかねのラストシーン。龍介は、吉祥寺という街で17年間追い続けた夢について、苦しい胸の内を吐露する(C)テレビ東京


「応援することだけがその人のためじゃない」と助言を受けたあかねは、龍介の思いを聞いてある言葉をかけ、「涙くんさよなら」を歌う(C)テレビ東京

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