【影山貴彦のTVコラム・がんばれ関西ローカル!】   「ダイヤモンドの原石」を関西で見つけなはれ

関西ウォーカー

放送マンは忙しい。なにせテレビを見る暇がないほど忙しいのだから、大いなる矛盾だ。私事ながら、ボクも放送局を辞めて、やっとテレビをフツーに見られるようになった。仕事をこなしてもこなしても、次の仕事が待っている。すぐに成果を求められる。数字だけですべてを判断されてしまう。日々、その繰り返しになりがちだ。あ、これってギョーカイに限ったことではないかもしれない。好ましくないスパイラルだ。

番組の作り手が忙しくなりすぎると、どうなるか?

手っ取り早いものに頼りがちになる。本来なら、番組プロデューサー、ディレクター、構成スタッフたちは、自らが「発掘」した出演者を何人か持っているのが望ましい。ただ、そのためには、ライブ会場に足を運び、本を読み、人に会い、アンテナをしっかり張っておく必要がある。無論、関西のスタッフには優秀な人間が多いので、かなりの人はこうした努力を怠っていないはずだ。ただ、時に安全なところへ逃げる。たとえば情報ワイド番組のコメンテーター起用の際も、手っ取り早く、無難にこなせる芸人を呼ぶ。あるいは東京で名前の売れている文化人を重宝する。でも結局関西のことをよく知らないため、底の浅いことを喋ってしまい視聴者はシラける、ってことになる。もちろん関西に縁の深い人以外の視点も必要だ。バランスは大事。だが、むやみに高いギャラ、交通費、宿泊費を支払って演者を東京から呼び、見た目だけを整えても地元の視聴者には響かない。関西には素晴らしい人材が数多い。そんな人をもっと横着せずに「発掘」し、育ててほしいなあ、と関西ローカルの情報番組を見ながら、日々思っている。

プロフィール/影山貴彦(かげやまたかひこ)

同志社女子大学 学芸学部情報メディア学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「影山教授の教え子が泣きにくる。~涙が笑顔にかわる京都の女子大研究室」など。

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