昨年放送されたNHKの朝ドラ、「まれ」。ここしばらくの作品の中では、少し影の薄いドラマだったが、いい若手俳優が育った。清水富美加、門脇 麦、そして渡辺大知。3人とも土屋太鳳が演じたヒロイン希の友人役で光っていた。特に清水富美加は、表面の明るさの裏でコンプレックスを抱え、ヒロインを妬み続ける難しい役を好演した。7月3日放送の「ボクらの時代」(カンテレ系)での、清水、門脇、渡辺の「まれ」トリオの「同窓会」トークも面白かった。
カンテレ制作の全国ネット番組「にじいろジーン」で、清水富美加は4月からレギュラーとなり、見事にハマった。さらなる勢いで、ABC創立65周年記念連続ラジオドラマ、「ナデシコですから」のヒロインに抜擢された。6月27日からスタートしており、全65回。まさにラジオの朝ドラである。
ラジオの魅力を多くの人が讃えるが、取り巻く環境は必ずしも楽観的なものではない。そんな中「攻め」に出たABCラジオの関係者に拍手を送りたい。清水富美加をキャスティングしたセンスの良さも光る。彼女が演じるのはラジオディレクター役。「ラジオって人の心に寄り添っていると思うんです」。ドラマの中のセリフだ。ラジオをよく知る橋本祐子(ABC)が演出・脚本を担当する。かつて、あの三國連太郎を口説き、ラジオドラマにキャスティングした敏腕局長補佐だ。
プロフィール/影山貴彦(かげやまたかひこ)
同志社女子大学 学芸学部情報メディア学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「影山教授の教え子が泣きにくる。~涙が笑顔にかわる京都の女子大研究室」など。