【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.27】大挑戦!劇団鹿殺し活動15周年・怒パンク時代劇「名なしの侍」

関西ウォーカー

ただ今、東京公演がサンシャイン劇場で、絶賛上演中!!この暑いのに、メチャメチャ元気です、劇団鹿殺し。

劇団史上最大キャスト数、最大ミュージシャン数で、東京と大阪で観客総動員数10,000人に挑むのだ!生バンドwith吹奏楽×時代劇。俳優が楽器を演奏し、物語をオリジナル楽曲の音で紡ぐ独自の音楽劇は、鹿殺しならではの音楽形態だ。それを、最大規模でやってやるゼ!な挑戦作が、怒パンク時代劇『名なしの侍』。

劇団を率いる演出の菜月チョビは舞台『曇天に笑う』も外部演出、ぐんぐん腕を上げている。そんな彼女に、劇団鹿殺し活動15周年記念作について直撃取材!

【15周年作について】

「この1年間、何か大きいことをしよう、大きい劇場で過去最大の1万人を目指そうと決めていました。で、自分たちの生バンドが入った音楽劇を確立したいなと。で、日常からポンッと飛んで没頭できる世界なら時代劇、時代劇×生バンドでやろうということになりました」。

鹿殺しは長く音楽劇をやって来たが、昨年、石崎ひゅーいが出演した劇団鹿殺しロックオペラ『彼女の起源』でバージョンアップ。編成されたバンドが劇中ずっと生演奏を続ける。それを物語に組み込んで作り上げた舞台だった。これで手ごたえを得た。

【物語について】

戦国時代。戦の時だけ駆り出される“農民侍”の孤児たちの成長物語だ。名前も家も、何も持たない彼らが、戦国武将を目指して道場で武芸を習っていたが…。

「何にでもなれる。では、何になりたいのか、自分は何者なのか。とにかく生きなきゃいけない命がけの時代のなか、自分が一番大事にするものは何かを見つけていくお話になると思います(笑)」。

合戦の騒乱を生バンドに乗せ、足軽たちが管楽器を吹く。嘆きのギター、進軍のベース、生きる鼓動がドラマに乗り移る。これが“新世代パンク時代劇”だ。

【キャストについて】

チョビ、作家の丸尾丸一郎、入交星士と音楽も担当するオレノグラフィティらに加え、注目の客演4人。どんな人? 

昨年「曇天に笑う」に主演し、チョビの演出を初めて受けた玉城裕規。「イケメンという枠で括れない、すごく土臭い人で、よく鹿殺しを観に来てくれてた」。観ている人しか誘わないのが基本。鳥越裕貴もそう。「丸尾の演出で1回出てもらってて、若いけどメチャクチャ上手で、いいなぁって」。谷山知宏(花組芝居)は「けっこう準レギュラーみたいに出てくれてたけど、ここ3年ぐらい空いてて久しぶり」。堂島孝平は「音楽劇だから歌の上手い人がほしいって探して、ライブ聞きに行って、あ、お芝居似合いそうな人だなって声かけさせてもらって」。

他はオーディションメンバーで、かくして劇団史上最大の総勢26人。バンドは『彼女の起源』のメンバーを中心に構成。

【上演劇場について】

「大きいところでやりたい」と野望を掲げる鹿殺しだが、今回、東京公演はサンシャイン劇場(24日㊐まで)。客席数800超という、いつもの倍のキャパへ打って出た。しかも11公演。「大挑戦です。15周年だし、新橋演舞場に向かって、そろそろサンシャインでやっておかねば、と(笑)」。

が、大阪はナレッジシアター。「きっと、はみ出ちゃいます(笑)。舞台セットはギリギリ入るけど、ドラムセットもあるから、人間がね(笑)。お客さんとの距離がすごく近くなるので、わけわかんないぐらい、メチャクチャ熱いだろうなと思いますね。もう暴れん坊バージョンぐらいの感じで、はみ出まくると思う。2度とやりたくないぐらい盛り盛りで、ワンサカなって、最初で最後のナレッジシアターになると思います(笑)」。この機会しか観られない鹿殺しの舞台、見逃せない!

「大きい劇場でも、作品をちゃんと濃度の濃いまま作って行ける団体でありたい。その道を示すひとつになるかな」。

【ファンのみなさん、昔ファンだったみなさんへ】

「15周年の挑戦ですからね、集結してください。それから、すごい初期に観て、あいつら売れてもいないのに東京行きやがったなって思ってた大阪の人たちも。15年走り続けてどうなってんの?アイツらって、バカにする気でいいから顔見せに来てよっていう気持ちもありますね」。

今、鹿殺しには、ライブから初めて芝居を観た人など、大阪の観客がすごい勢いで増えている。「あ、ホームじゃんって、すごく実感できる」と嬉しそうなチョビ。

「これまでチラッと通り過ぎて行った人も、集結してもらえるとうれしいなって。ここからまた、20周年、30周年に向けて頑張って行く1歩なので、観てほしいです」。

【鹿殺しが初めての人、友達を誘いたい人に】

15周年記念に、今年の12月31日(土)まで過去の15作品をYOU TUBEで無料配信中。鹿殺しの舞台を観たことのない人には絶好の機会だ。「ほとんど全編見れます。鹿殺しって、1人で来られるお客さん、多いんですよ。友達に説明しにくい、誘いづらいってメッチャ言われてて(笑)。そういう時に、これを見せて安心して劇場に連れて来てくれたらいいなと。1人でこっそりの楽しみにしないで(笑)」。

視聴はパソコン・スマホで→ Shika564.com/15

取材・文=演劇ライター・はーこ

はーこ

注目情報