アニメ「アクセル・ワールド」の舞台“高円寺”

東京ウォーカー

第16回は、12年4月~9月に放送され(東京MXほか)、今年7月23日から新作「アクセル・ワールド -インフィニット・バースト-」が公開中のアニメ「アクセル・ワールド」の舞台となった高円寺周辺を紹介。

黒雪姫と出会い、ハルユキは“シルバー・クロウ”として“ブレイン・バースト”での戦いに挑んでいく(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


2046年、ニューロリンカーと呼ばれる携帯端末を使うことで、生活の多くが仮想ネットワーク上で行われるようになった世界を舞台にしたSFアクション。いじめられっこの中学生・ハルユキが、ある日、校内一の有名人、黒雪姫に声をかけられる。彼女から“ブレイン・バースト”という対戦格闘ゲームのアプリケーションを教えられ、ゲーム内での自分の分身である“デュエルアバター”同士が戦う“加速世界”(アクセル・ワールド)を知ったことで、その世界で巻き起こる争いに身を投じることになる。作品中では、ハルユキたちが住み、彼らの通う学校などがある高円寺が舞台。アニメに登場するスポットとともに、街の魅力を紹介する。

映画「アクセル・ワールド –インフィニット・バースト-」が公開中(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


「清見寺(せいけんじ)」


4話で、ハルユキが黒雪姫と一緒に下校するシーンで登場したのがこのお地蔵さま。ここから路地を少し入ったところにある清見寺が所蔵している地蔵だ。清見寺は、この場所で400年以上続く、由緒正しい歴史のあるお寺で、明治時代には現在の杉並第一小学校の前身である、桃園小学校第一分校が置かれていたことから、杉並区近代教育発祥の地とされ、古くから高円寺の人々と密接に関わっている。

「私は、高円寺で生まれ育ちましたが、この街の人たちは、地元愛にあふれています。毎年夏に行われ、多くの人が訪れるようになったお祭り“高円寺阿波踊り”は、若い人たちも参加し、地元を盛り上げたいという気持ちにあふれたもの。高円寺にはそのような温かい雰囲気があると思います」(住職の土屋光基さん)。

【写真を見る】4話で描かれた、青梅街道沿いにあるお地蔵様(「清見寺」)(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


「清見寺」のお地蔵様が建てられた年代は定かではないが、古くから青梅街道を往来する人々を見守ってきた


禅寺である「清見寺」では、月に1回、誰でも参加できる坐禅体験を行っている


「高円寺陸橋交差点」


ハルユキが幼なじみのチユリとタクムと一緒に歩いた通りの背景として登場する高円寺陸橋交差点(1話)。実際にあるガソリンスタンドや、ミラーのような窓のビルなどは、ほぼそのまま背景に描かれている。ただ、歩道橋の階段がアニメではエスカレーターになっており、アニメが近未来を舞台だということを印象付けている。青梅街道と環状7号線が交わるこの周辺の地名は、ハルユキらが通う「梅郷中学校」の由来となっている“梅里”。かつて“青梅街道沿いの里”と呼ばれたことが地名の由来で、古くからこの街が青梅街道と密接につながっていたことがうかがえる。

「高円寺陸橋交差点」の歩道橋は、アニメの年代に合わせて近未来的なデザインで描かれている(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


幹線道路が交わり、毎日多くの車が行き交う「高円寺陸橋交差点」


ハルユキが幼なじみのタクム、チユリと帰宅するシーンで「高円寺陸橋交差点」の周辺が描かれている(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


「高円寺陸橋交差点」の近くには、都営バスの停留所もある


「高円寺ルック商店街の珈琲亭 七つ森」


4話で黒雪姫が事故に遭うシーンで描かれていたのが高円寺ルック商店街。その後入院した黒雪姫を守るために、ハルユキが“ブレイン・バースト”で戦う決意をするきっかけとなった重要なシーンで登場する。

新高円寺駅から高円寺駅へ向かって続く高円寺ルック商店街は、古着店、雑貨店などを中心に、喫茶店をはじめとした飲食店や八百屋など多彩な店が連なっている。その商店街で40年近く営業を続ける人気の喫茶店、「珈琲亭 七つ森」。タイムスリップしたかのような趣のある内装で、思わず、のんびりとした時間を過ごしたくなる。スイーツや食事メニューはすべて手作りで、コーヒーや紅茶も一杯ごとにドリップしている。

「学生時代は高円寺に住んでいて、いろいろと変わってしまいましたが、今も昔も学生が多いところは変わらないです。都心に近くて、家賃もわりと安い。それに高円寺にいれば食事や遊びに困ることがないので、若い人が集まるんでしょうね」(スタッフの佐藤さん)。

「高円寺ルック商店街」の印象的な看板をはじめ、街並みがほぼそのまま描かれている(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


ハロウィンや寄席などさまざまなイベントを行う「高円寺ルック商店街」


店名は宮澤賢治作品に出てくる、岩手県盛岡市郊外の小岩井農場の先にある場所が由来の「珈琲亭 七つ森」


「珈琲亭 七つ森」の「ガトーショコラ」(セット845円)はしっとりとした食感


昭和レトロの落ち着いた空気が流れる「珈琲亭 七つ森」


「高円寺中央公園」


13話で学校帰りにタクムがチユリに“ブレイン・バースト”のことを教えるために訪れた公園が、高円寺中央公園。作品中では、入口や、チユリが乗ったブランコ、中央のオブジェなど公園の様子がほぼそのまま描かれている。高円寺駅南口から徒歩4分程度の距離ながらも広々とした公園で、住宅地と商店が入り混じった人通りのあるエリアにあり、地元の人々の憩いの場として使われている。公園の周りはケヤキ・スズカケなどの背の高い木で囲まれ、夏でも日射しをよけて休める。取材に行ったこの日は、小さな子供が、元気に遊具などで遊んでいた。

タクムとチユリが学校帰りに“加速世界”の話をしていたシーンで「高円寺中央公園」が登場(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


木陰が多く、夏でも涼しげな雰囲気の「高円寺中央公園」


アニメでチユリが実際に乗っていた「高円寺中央公園」のブランコ


「座・高円寺」


ハルユキ、チユリ、タクムの3人が住むマンションの近くにある建物として描かれているのがこの施設。正式には「杉並区立芸術会館」という名称で、小劇場や区民ホール、ギャラリーなどさまざまな設備を備える公共施設だ。阿波踊りの練習をする団体に優先して貸し出す“阿波おどりホール”があるのも、高円寺ならでは。子供向けのワークショップや、フードマーケットなども行っており、芸術分野だけでなく高円寺の文化発信地として地元の人々から親しまれている。

「高円寺には大きな商業施設はないけれど、その分、個人商店が多く買い物をするのにも会話が生まれるんです。住む人たちの距離感も近く、お互いがお互いを感じられる貴重なエリアだと思います」(広報の森 直子さん)。

世界的にも有名な建築家、伊東豊雄氏が設計を手がけた「座・高円寺」


「座・高円寺」のホール「座・高円寺2」は、区民ホールとして一般の人でも使える


「『座・高円寺』は、子供から年配の方まで、幅広い年代の人に親しまれています」(広報の森さん)


東京三大祭りのひとつで、8月に行われる「高円寺阿波踊り」で全国的にも有名な街、高円寺。新宿から電車で10分という距離で、駅前から商店街が広がり、多彩なショップや飲食店が軒を連ねる。また、青梅街道や環状7号線も近くにあり、にぎやかな雰囲気だ。その一方で幹線道路や商店街から少し路地を入れば閑静な住宅街になり、日常のメリハリが感じられる。

今回取材をした方々が、高円寺の魅力として話してくれた“人と人のつながり”は、近未来やバーチャルな世界を舞台にしながらも、争いが巻き起こる、過酷な“加速世界”で戦う、仲間や友達との絆を描いた「アクセル・ワールド」の世界ともリンクする。そんな、アニメに登場したスポットを巡って、2046年の高円寺を重ねつつ、現代の高円寺の魅力を感じてみてはいかが。【東京ウォーカー】

第17弾は8月上旬配信予定

「アクセル・ワールド Blu-rayBOX」3万8880円が発売中(C) 2015 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/AWIB Project (c)川原礫/アスキー・メディアワークス/AW Project


注目情報