【WEB連載:はーこのSTAGEプラスVol.28】安田 顕が挑む、ニューヨーク・ロンドンを震撼させた話題の舞台!

関西ウォーカー

映画は今年「俳優 亀岡拓次」から始まり、4月から「映画 クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」、「HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」、「任侠野郎」と、出演作が毎月公開という売れっ子、安田 顕さん。テレビでは「重版出来!」に出てたけど、このドラマで共演した小日向文世さんと、今度は舞台で共演する。コメディーのイメージが強いヤスケンさん、今回はめちゃめちゃシリアス。

2013年にピュリッツアー賞を受賞した、バリ社会派の問題作「ディスグレイスト-恥辱」。“現代アメリカの縮図”ともいえる問題を、異なる背景を持った4人の姿を通し、夫婦間の断絶、民族間の断絶を鋭く描いた意欲作だ。実力派の5人を揃え、演出は栗山民也さん。

ドラマの撮影中、今回主演の小日向さんから「大変そうだから、とりあえずセリフは入れた」と聞き、少々ビビってる感の安田さん。7月、新神戸オリエンタル劇場で小泉今日子さんの初演出作「日の本一の大悪党」に主演、熱い舞台の真っ只中に会見が行われた。

【物語】

舞台はニューヨークの高級アパートメント。優秀な弁護士アミール(小日向)は、パキスタン系アメリカ人。妻のエミリー(秋山菜津子)は、白人の画家。アミールの甥エイブ(平埜生成)から、逮捕された自分たちの指導者を助けてほしいと頼まれ、断るもののエミリーの意見を聞き入れ審問に立ち会ったことから、人生の歯車が狂い出す。

ある日、エミリーの作品がホイットニー美術館に展示されるお祝いのホームパーティで、アミールの同僚の黒人弁護士ジョリー(小島聖)と、夫で美術館のユダヤ人キュレーター、アイザック(安田)が訪れ…。

【キャスティングについて】

舞台では全員が初共演となる安田さん。「秋山さんと同じ釜の飯が食えるなんて、キャスティングに感謝です。演出の栗山さんと出来るのもすごいこと。でも今は、この座組みの環境に追いつくのが精いっぱいで。平埜くんは、いいとこをさらって行く、おいしい役だなと思います(笑)」。

【作品について】

台本の印象は「難しい。賞を取る作品だな、と感じます」。イスラム系アメリカ人と白人の妻。ユダヤ人の知人と、その妻のアフリカ系アメリカ人。非常に異なる背景を持った4人の姿が描かれる。「日本では日本語をしゃべる人がほとんどだけど、世界では当たり前に多言語、多宗教。もう今、日本でも感じ始めていると思いますけどね。この作品では人種間の問題以上に、人間の抱えるどうしようもないところをえぐっていくので、日本人が見ても身近な問題として5人の誰かに置き換えられるのでは、と思います。自分たちがそれぞれに抱えている、一番見せたくないところをさらけ出していくので、物語の後半は人間関係がぐっちゃぐちゃになっていきます」。この芝居を観たあとで「普段は話さないようなことを話し合える時間が得られるんじゃないですかね」。

【今後は】

舞台ではこれまでにない作品や役柄の挑戦が続いている安田さん。「こういう機会を与えてもらえるのは、周りの方のおかげ。ここからもっと頑張らないといけないと思っているので、いただいたものは何でもやりたい。せっかく自分の器を変えてくれる人たちがいるのだから、自分の中の余白を貯めて、これから何をすべきか考えて行かないと」。

【ちょっとひとこと】

公演後のお酒が楽しみな安田さん。神戸でもいい店を見つけてうれしそう。今回の兵庫県立芸術文化センターは初めての劇場だ。「芝居が終わったら、お風呂に入って、柔軟して、徒歩5分のところで1、2杯お酒を飲んで、ホテルへ帰って寝ます(笑)」。で、食べたいものは神戸牛。「値段が高くてなかなか手が出ないから、今回、小日向さんと一緒に行って…(笑)。でもその前に、お稽古頑張ってやらせていただきます(笑)」。

取材・文=演劇ライター・はーこ

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