アニメ「実は私は」の舞台“練馬・中村橋”

東京ウォーカー

【連載】聖地巡礼さんぽ~あの作品の街を歩く~Vol.20

漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

今回は、15年の7~9月に放送されていたアニメ「実は私は」の舞台となっている練馬・中村橋周辺を紹介。

隠し事ができないことから“穴の開いたザル”、通称“あなザル”と呼ばれる高校生の黒峰朝陽(くろみねあさひ)。彼はひょんなことから、自身が思いを寄せる白神葉子(しらがみようこ)が吸血鬼だと知ってしまう。葉子は、親との約束で、学校の人に吸血鬼であることがばれると即退学になってしまうため、朝陽は彼女の秘密を隠す決意をする。しかし、彼の周りに宇宙人や、狼男、悪魔といった人たちが集まり、中には朝陽に好意を抱くものも現れる。

そんな朝陽や葉子を中心としたメンバーのドタバタな日常が繰り広げられるラブコメ。作品中で彼らが生活する街として描かれている練馬・中村橋周辺の魅力を、アニメに登場するスポットとともに紹介する。

「実は私は」は、人間の朝陽と、吸血鬼の葉子、宇宙人の渚たちが繰り広げる学園ラブコメディ(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


「中村橋駅」


クラス委員長で宇宙人の藍澤渚は、葉子から3人で遊園地へ遊びに行く誘いを受けるが、朝陽と葉子をくっつけようとして約束を断る。そのお詫びに葉子の家に行こうとするシーンで、渚の家の最寄り駅として描かれていたのが「中村橋駅」。

駅近くの高架下には、Emio中村橋や西友といった商業施設やスーパーが入っているほか、駅の南北には、サンツ中村橋商店街が広がり、買い物にも便利。

また、池袋まで10分程度で出られるほか、西武線が東京メトロ有楽町線や東急東横線とも乗り入れしており、都心だけでなく、埼玉や神奈川方面にも出かけやすい。

【写真を見る】渚は手作りのケーキを持って、葉子の家へ行こうとする(「中村橋駅」)(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


「中村橋駅」を降りたところに、サンツ中村橋商店街がある


「中村橋駅」の南口には駅前広場があり、フリーマーケットなどのイベントの会場にもなる


「サンツ中村橋商店街のどんぐりの木」


日光に当たると真っ黒く日焼けしてしまう葉子に、渚が日焼け対策を教えるシーンで登場した商店街のモチーフ「サンツ中村橋商店街」。飲食店や雑貨店などさまざまなショップが並び、地元の人を中心に多くの人が買い物に訪れる活気あふれる商店街だ。

アニメに登場するのが商店街の中にある「どんぐりの木」。10話で朝陽や葉子たちがケーキバイキングに訪れた店だ。実際にはケーキバイキングは行っていないが、カフェも併設したスイーツショップで、店内では常時20種前後のケーキを中心に、焼き菓子などをラインアップ。野菜を使ったヘルシーなスイーツが魅力で、ニンジンやサツマイモなど、できるだけ練馬産のオーガニック野菜を使っている。

「サンツ中村橋商店街は、各店舗が連携をとりあっているので、人と人のつながりがしっかりできているんです。なので、阿波踊りや仮装パレードといったイベントは、とっても盛り上がるし、アットホームな雰囲気があると思います」(オーナーの佐藤和弘さん)。

葉子は日焼けしないためにアーケードのある商店街を通り登校(「サンツ中村橋商店街」)(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


実際はアニメと異なりアーケードはないが、その分開放的な雰囲気の「サンツ中村橋商店街」


“重ね煮”という調理法を用いて、野菜の甘味や旨味を引き出したスイーツが味わえる「どんぐりの木」


10種の野菜をクリームの中に混ぜ合わせた「奇跡のシュークリーム」700円(「サンツ中村橋商店街のどんぐりの木」)


オーナーの佐藤さん(写真右)と、奥様で店長の亜也子さん(同左)。店に並ぶケーキや焼き菓子はすべてパティシエの亜也子さんが手作りしている


「としまえん」


葉子が、朝陽と一緒にやってきた遊園地“吐夢須園(とむすえん)”は「としまえん」がモチーフ。

今年90周年を迎える、都内でも歴史のある遊園地で、約22万平方メートルの敷地の中には、回転木馬「カルーセルエルドラド」や、ローラーコースター「サイクロン」など33機種のアトラクション、多彩なプール(夏季限定営業)もある。また11月には子供向けのフィールドアスレチック「こどもの森」がリニューアルするほか、立体迷路「トリックメイズ」が新たにオープンする。

「としまえんをはじめとしたエンタメ施設や、商業施設、学校などあらゆるものがそろっていながら、にぎやかすぎないので、ファミリー層が多く住んでいる印象があります。そのため、家族で年間パスポートを使って来園される方など、としまえんも地元の方々に愛されています」(広報の宮内靖代さん)。

葉子は、渚と朝陽の仲を取り持とうと遊園地に誘うも、渚に断られ、結局、朝陽とデートすることに(「としまえん」)(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


池袋駅から電車で約15分程度の距離にある「としまえん」


回転木馬の細かい部分も丁寧に再現して描かれている(「としまえん」)(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


1907年に作られ、ヨーロッパ各地をめぐったのちに、1971年に移設された歴史ある回転木馬「カルーセルエルドラド」(「としまえん」)


キャラクター「カルーセル」(写真左)と、「エル・ドラド」(同中央)。広報の宮内さん(同右)は、「学生の頃から練馬に住んでますが、ほっとできて居心地がいい」と話してくれた


「練馬駅」


葉子と最寄り駅が一緒だと知り、彼女との登下校を夢見る朝陽の妄想シーンで「練馬駅」が登場。

都営大江戸線と西武池袋線の2路線が走り、両路線合わせ1日約20万人もの人が利用している練馬区内でも重要なターミナル駅だ。また、駅の周辺には練馬区役所や練馬文化センター、平成つつじ公園などの施設もある。

「練馬・中村橋エリアは、自然が多く、きれいな施設が多い印象。遊園地やプール、商店街から住宅街にいたるまで東京ではないような体験ができる場所。まさにアニメにしやすい地域なのではないでしょうか」(プロデューサーの野崎康次さん)。

また、10月15日(土)・16日(日)には北口周辺をメイン会場に「練馬アニメカーニバル2016」が開催される。アニメ制作会社も多く、さまざまな作品の舞台に使われる“アニメの街・練馬”ならではの、多彩な企画が楽しめるイベントだ。

「練馬駅」南口の目の前に千川通りがあり、道沿いは飲食店などでにぎわう


朝陽が葉子との登下校を妄想中に、彼女に呼びかけられたシーンでは「練馬駅」の構内が描かれている


「練馬駅」の2階は、大きなペディストリアンデッキとつながっている


「Coconeri」


アニメと直接関係はないが、放送前に先行上映イベントが行われたCoconeriホールがあるのがこの商業施設。

1・2階にはユニクロをはじめとしたショップが、3・4階には練馬区立産業プラザ、そして5~8階には病院という、官民複合のハイブリッドな施設。なかでも3階の練馬区観光案内所では、区内の観光スポットやイベント情報の案内のほかに、練馬区でとれた素材を使った商品や、「実は私は」のなかでも描かれていた練馬区のキャラクター「ねり丸」グッズなどの販売も行っている。

カネボウ紡績工場の跡地の一部を利用して、14年にオープンした「Coconeri」


練馬の名産品の販売も行っている練馬区観光案内所(「Coconeri」)


パーティーや講演会などで利用されるCoconeriホール(「Coconeri」)


「アニメの監督が、17年間練馬区に住んでおり、物語の舞台を決める際にまっ先に思い浮かんだこのエリアを起用しました。遊園地があったり、自然が多い公園があったりと日常系アニメを作る時はかなり重宝する地なのではないでしょうか」とプロデューサーの野崎さんが話すように、商業施設、住宅地、学校、自然豊かな公園、さらには遊園地といった、さまざまなスポットが密集している。ストーリーはハチャメチャながらも、学校の登下校だったり、友達と遊んだりなど高校生の何気ない日常として、練馬・中村橋エリアを描くことで、作品にリアリティがプラスされている。

アニメに登場したスポットを巡って、練馬・中村橋周辺の魅力を体感してみてはいかが。【東京ウォーカー/小松孝裕】

第21弾は10月上旬配信予定

Blu-ray「実は私は第1巻」7020円ほか、全6巻が発売中(C)増田英二(週刊少年チャンピオン)/じつわた製作委員会


小松孝裕

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