9月19日、江上料理学院(東京・新宿区)にて「『敬老の日』特別クラス『第1回 高齢者のための低栄養予防料理教室』」が開催され、“低栄養の脅威”に関する講義と、“低栄養予防メニュー”が振る舞われた。
低栄養とは、エネルギーとたんぱく質が欠乏した状態、健康な体を維持し活動するのに必要な栄養素が足りない状態のこと。高齢になり食べる力が落ちる、食事の量が減る、体重が減るといった現象が起きたときには注意が必要だ。そして、低栄養に陥ると、免疫力・体力の低下や骨量の減少、認知機能の低下など、さまざまな症状を起こす危険が。日本では、高齢化率が高まる一方、「独居」「夫婦のみ」と、低栄養に陥りやすい居住形態で暮らす高齢者が増えていることも低栄養急増問題の原因になっているようだ。
また、「敬老の日」に発表されたトレンド総研のレポートによると、現在、80歳以上の約4~5人に1人(17.8%)が、低栄養に陥っているという。また、在宅で病気療養している70歳以上の患者の内、50%が低栄養で、残りの40%も低栄養のリスクが高い状態であるということが分かっている(厚生労働省調べ)。
このような背景から、江上料理学院では敬老の日に合わせ、高齢者及びその子供世代が参加できる「高齢者のための低栄養予防料理教室」を開催。講師の吉野愛先生(江上料理学院 管理栄養士)による、「低栄養予防における講義」と、来場者参加型の料理教室が行われ、たんぱく質が豊富な鶏胸肉、カルシウムがたっぷりのホウレンソウを入れた「ホウレンソウとチキンのキッシュ」を一同で作った。カフェメニュー定番のキッシュは、実は牛乳やチーズなどが使用されているため栄養満点。「柔らかく食べやすいので、是非高齢者のみなさまにも取り入れていただきたい1品です」と吉野先生は話す。他にも、低栄養対策メニューとして、具だくさんの汁物や、鶏肉の筑前煮、豚汁、石狩鍋、納豆汁、グラタン、ピザ、ドリアなど、“1度にいろいろな栄養が摂れる”料理が紹介された。
そして、体調不良や衰えなどで十分な栄養を摂ることが難しいときは、栄養調整食品を食事に組み合わせるのがおすすめだという。最近は、明治「メイバランス」、味の素「メディミルスープ」など、味もおいしい栄養調整食品がドラッグストアなどで簡単に手に入る。例えば、病院で広く提供され、市販化もされている明治「メイバランスMiniカップ」のコーンスープ味は、そのまま飲んでもおいしいが、出汁や卵、しょうゆを混ぜて裏ごしし、ラップをかけてレンジで5分(200W 弱)加熱すれば「茶碗蒸し」にするのもおすすめだ(好みであんをかけるのもOK)。その他、プリンやスムージーなど、スイーツにも簡単に変身させられるそうだ。
今回参加した高齢者たちは、低栄養予防メニューと、手軽さのある栄養補助食品をおいしく食べられ大満足の様子。健康寿命への意識が高く、趣味や日々の生活を楽しんでいる高齢者から、将来の不安を考える中高齢層、要介護の親を持つ人まで、メニューを実際に作りながら、楽しく低栄養予防料理を体験できたようだ。【ウォーカープラス編集部】
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