舞台「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~天晴版」が、ABCホール(大阪市福島区)で、10月20日(木)~25(木)に上演される。
江戸を舞台に、自堕落に生きる武士・磯兵衛が立派な武士を目指す姿を、浮世絵風の画風で描くギャグ漫画「磯部磯兵衛物語」を舞台化したもの。今春に上演された同舞台が好評を博したことから、今回「天晴版」として再演が決定した。
今作でキャストを務めるのは、前作と同じ劇団Patch(パッチ)。「演劇で大阪を元気にしたい!」と関西を拠点に活動している若手男性俳優集団だ。そのキャストの中から今回、主人公・磯部磯兵衛を演じる井上拓哉(いのうえたくや)、母上役を演じる中山義紘(なかやまよしひろ)、そして今作から舞台に立つ中島襄役の納谷健(なやたける)の3人に、この舞台の魅力や、意気込みなどを聞いてみました。
―再演が決まったと聞いたときどうでしたか?
井上「初演の1か月後に聞きました。そしてその再演が10月20日(木)からと聞いて『早い!』って思いました」
中山「4月の初演は、コメディだったりまたミュージカルということで、すごく不安があったのですが、実際の観客の方の反応を肌で感じることができ『またあの世界に飛び込めるんだ』という嬉しさを感じました」
―納谷さんは今作からの舞台ですよね?
納谷「初演は映像で見たのですが、それだけでもすごく楽しいのが伝わってきていたので、出演が決まったと聞いたときは、ワクワクと期待感、そしてやれるだけやってみようという意気込みを感じました。プレッシャーはなかったのですが、初演から出ていないので、稽古に入ってからのほうが苦労が多くて。気持ちだけでは追いつききれないといった感じでした。」
―この舞台はミュージカルなので、歌うシーンが多くなると思うのですが、歌の練習はどうでしたか?また、自分なりの完成度は?
井上「練習した分の自分の最高を出す。でもこれは自分の中で完成ではない、と思っていました。すごく苦労はしたのですが、お客さんに十分満足して頂けるぐらいまで歌うことができたと思っています。」
中山「発声の練習から、ちゃんと勉強させて頂きました。ミュージカル俳優ではないですが、俳優ではあるので、気持ちを乗せて歌を伝えるのは、稽古を積んでちゃんと形にはなったと思っています。」
途中、Patchのスタッフが、昔の彼らの歌と前回の上演のときの歌を比べて「格段に上手くなっていました!」とコメント。インタビュー中、もともと喉が良いのかなと思う“いい声”の彼らでしたが、ちゃんと鍛錬を積んだ上で出来上がった声だった模様。
―納谷さんは、そんな“いい声”が出来上がっている先輩たちと同じ舞台に立つということは、それなりの苦労があったのでは?
納谷「以前ボイストレーニングを受けていたことがあるので、そのこととオーバーラップさせながら、いろんな引き出しを出して考えながら稽古していました。楽しませることはすごく苦労しますが。でも稽古はすごく楽しいです」
―三人とも関西人ですよね?関西人はノリがいいので、楽しみながら稽古されているのでは?
中山 「そういう感じで稽古しています。関西の男ばかりの劇団で、関西特有の『かっこいいといわれるより、オモロイって言われたほうが嬉しい』。そんな雰囲気ですから(笑)」
井上、納谷「わかる~」
Patchのスタッフから「かっこいいほうが良くない?」と突っ込みが入るも…。
中山「かっこいいは嬉しいけど、それにプラス「おもろい」があったら最高(笑)」
納谷「“かっこ悪い”と“おもろない”だったら、かっこ悪いのほうがまだマシみたいな(笑)。おもろないって言われたらめっちゃ傷つきます(笑)」
井上、中山「たしかに(笑)」
―今回は各公演の最後にミニライブがあるのですね。そのなかで全員上半身になる曲があり、そこが一番?の見どころとお聞きしましたが(笑)?
井上「『筋肉ええじゃないか』という筋肉をただたたえる歌、上半身裸になって、バカみたいなダンスをしながら歌う、そんな曲です(笑)でも力を入れて筋肉を見せるので、とても疲れるのですが!」
中山「ぼくは女役なので脱がないんです、でも本当は脱ぎたい(笑)」
納谷「女装したり、脱ぎたいとか、何か卑猥~!(笑)」
―では最後に意気込みをお願いします!
井上「ライブがあったり脚本も半分ぐらい変わっていたりと4月に見に来て頂いた方も、新鮮な気持ちで見ることができると思います。また面白い舞台ですので、日ごろのストレスを発散するために、ぜひ見てほしいです。大阪のみですので、ぜひ来て下さい!」
中山「あっぱれ版はさらにバカバカしい空気感で、ただ笑う時間を過ごせる、近所で開催されているお祭りにふらっとよるような感じで、遊びにきてもらえれば。劇団Patch自体、10~20代の若い男だけでやってるので、男だからこそできるパワーを生で感じて貰えればと思います!」
納谷「劇団Patch一人ひとりのキャラクターが一番出ている舞台だし、これを見たら、Patchのすべてが伝わるんじゃないかなと思います。作品に関しては平成の究極の娯楽だと思いますので、ぜひ楽しんで下さい!」
インタビューの受け答え一つ一つにとても誠実に受け答えてくれた3人。舞台に真摯に向き合う思いをひしひしと感じました。風貌もさることながら、中身まで好青年!また、笑いにも貪欲な“関西男子”という面が伺えた楽しいインタビューでした。そんな彼らが作る舞台はどのように完成していくのでしょうか。今からワクワクします。彼らが作りあげた“天晴”な舞台を目撃しに、みなさんもぜひABCホールに足を運んでみてください。ただただ笑って、彼らと楽しい時間を過ごしましょう♪
チケットは一般シート6,500円。チケットぴあ、イープラスなど、各プレイガイドで好評発売中です。【関西ウォーカー編集部/小笠智子】
小笠智子