10月28日(金)、大阪市北区のホテル阪急インターナショナルで「チャレンジふくしまフォーラム in 関西~金賞受賞数日本一の酒どころ福島の魅力~」と題したイベントが行われた。
これは福島県の現状を伝え、また、酒どころ福島県の日本酒とその魅力をさらに知ってもらおうと福島県と福島県酒造組合、一般社団法人ふくしまチャレンジはじめっぺが開催したもの。
第1部では「試飲・商談会」が開催され、福島県酒造組合に加盟する11の蔵元が出展。県内に60以上の酒蔵があり、全国新酒鑑評会で4年連続金賞数日本一に輝いた「ふくしまの酒」を大阪の人にアピールする好機となった。
第2部は特別講演とトークセッションを実施。冒頭で福島県の内堀雅雄知事が登壇。福島の現状と課題、未来に向けた取り組みについて語った。福島県では今も東日本大震災と福島第一原発事故の影響が残るが、それでも避難指示等区域面積は県全体の12%から約5%に減少し、県内の放射線量も世界の主要都市とほぼ同レベルにまで下がっている。
課題は環境の回復などに加え、風評と風化をいかに防ぐか。食の安全性のアピールや観光客の回復などにも取り組んでいる。また、内堀知事は「未来に向けた取り組みとして、再生可能エネルギー産業やロボット関連産業など新産業の技術開発も目指す」と語り、福島の新しいチャレンジとそれに向けた支援を訴えて締めくくった。
その後、「日本の食文化 伝統と革新 ~日本酒の可能性について~」と題し、辻調理師専門学校の辻芳樹校長による特別講演が行われた。辻校長は世界における日本の和食文化について分かりやすく解説。「日本とフランス料理では味覚の構造が違う。日本料理の昆布やカツオのうまみをフランス料理に取り込むのは難しい。日本料理には淡くてしなやかな味覚の組み立てがある。この美しさに影響を与えられた料理人たちが現在は世界中にいる。日本料理は世界にじわじわと影響を与えてきた。味覚の土台の構築が日本的になった場合、おのずと日本酒が一番こういった料理に相性がいいのは言うまでもない。伝統的な日本の料理だけではなく、新しいパラダイムとして世界に繰り広げられている、今後、ハイブリッドな料理に、進化し続けている日本酒の組み合わせをさらに強く発信すべきではないか」と日本酒の未来について語った。
第2部の最後は、トークセッション「世界に誇る福島の日本酒」。辻芳樹校長と、「あまから手帖」の中本由美子編集長、福島県のほまれ酒造の唐橋裕幸社長が登壇、福島県の日本酒の質の高さやなぜ4年連続金賞を受賞しているのか、といった内容について語った。辻芳樹校長は「ワインでも食のコンクールでも日本酒でも同じだが、勝ちに行こうとすると審査員が好む味になりがち。しかし、それは一定の所までしか行けない。それを超えないと4年連続金賞は取れない。福島県の酒は若手が力を合わせて、それを超える技術力、研鑽力がある、それ以上のことをやっていると感じる」と福島県の日本酒と酒蔵を高く評価した。
第3部では、福島県のコメや野菜、福島牛を使った料理や、福島産のフルーツを使ったデザート、福島県の酒蔵の日本酒などを味わう交流会が行われ、約200人が参加した。
なお 一般社団法人ふくしまチャレンジはじめっぺでは、毎月6000円(税・送料込み)で福島県の日本酒とおつまみが毎月送られてくるプロジェクト「fukunomo」を実施している。個性豊かな福島の日本酒とフードのマリアージュを楽しめる。
【取材・文=関西ウォーカー編集部 鳴川和代】
鳴川和代