コンパクトカーの常識を破る!充電不要の電気自動車「ノート e-POWER」を体験

東京ウォーカー(全国版)

11月2日、日産自動車は同社人気コンパクトカー「ノート」に新型のパワートレインを追加!仕様を向上を果たした。その中で話題なのが、日産自動車としては初となるコンパクトカーのシリーズハイブリッド車「e-POWER」仕様(177万2280円~)のラインアップ群だ。果たしてe-POWERとは一体何なのか? 試乗する機会を得たので、いち早くレポートする。

ノート e-POWER(177万2280円~)


e-POWERとは、同社が開発した新型の電動パワートレイン。いわゆるハイブリッドカーのように、エンジンとモーターの両方を搭載しているのだが、走行はモーターのみ。

e-POWERのパワーユニット。左側にエンジン、右側にモーターとジェネレータを配置する。バッテリーは運転席下部に配置


エンジンは電力発電のみに使用する。つまりエンジンは常に動作しているわけではなく、高速走行など一定の条件下においてのみ稼動する仕組みだ。

e-POWERは従来のハイブリッド車とは異なり、エンジンと駆動輪はつながっておらず、エンジンはバッテリーの充電用として用いる


エンジンとモーターによるハイブリッド走行ではなく、モーターに拘ったのは、20万台を超えるという世界一の販売台数を誇る同社の電気自動車「リーフ」の存在が大きいことは想像に難しくない。すでにリーフで実績のあるモーター駆動のよさ、つまり「静粛性」と「レスポンスがよく力強い加速」を「電池切れ」を気にせずに多くの人に味わってほしいと日産自動車は考えたのであろう。気になる燃費だが、モーターに発電する電気量を距離に換算すると37.2km/リットルと、ハイブリッド車と比べてもクラストップ。ちなみにガソリンエンジン搭載のノート(139万3200円~)は26.2 km/リットル(いずれもJC08モード時において)であるため、燃費の優位性は明らか。もちろん、エコカー減税対象であることは言うまでもない。

圧倒的な静粛性


【写真を見る】フロントグリルの青いラインが、精悍さを増す


今回試乗したのは、最上位グレードとなる「ノート e-POWER MEDALIST」で、価格は224万4240円。実車を目の前にすると、エクステリアは大きく変わり、近年の日産車でおなじみとなったVモーショングリルとシャープなヘッドランプにより、精悍な印象を受けた。e-POWERを搭載したモデルは、Vモーショングリルにメタリックブルーのラインが入り、さらに精悍さが増す。リヤバンパーやリヤコンビネーションランプなども変更され、ワイド感を強調。全体的に力強さを感じさせるデザインとなっている。そして、自ら発電機を搭載した電気自動車「ノート e-POWER」を間近で見ると、充電プラグがないことに気づく。電気自動車でありながら、本当に充電する必要がないのだ。

広い室内空間を実現!


車内は、コンパクトカーとは思えない落ち着いた雰囲気に満ちたもの。そして驚くのは、大柄の男性が余裕で座ることができる後部座席の広さ。これなら長時間のドライブでも快適だ。快適といえば、運転席の視界も広く高めで、運転がしやすい。一度車内に入れば、コンパクトカーということを忘れ、同社デュークをはじめとするコンパクトSUVかと思ってしまうことだろう。

走行中のノートe-POWER


いざ走り出すと、上級サルーン並の静けさに驚く。モーターによる走行に加え、今回のノートには入念な遮音対策が施されているのだ。さらに最上級グレードにあたる「ノート e-POWER MEDALIST」では、ボディ側面の静粛性を一層向上しているという。足回りも上質。高速道路の段差や荒れた路面を、ショック少なく進む。広く快適な車内空間と相まって、コンパクトカーを運転していることを忘れてしまう。

気になる加速であるが、アクセルを踏むと「ノート e-POWER」は俊敏に反応。水を得た魚のごとく、静かにスムースに車速があがっていく。コンパクトカーで想像するのとは大きく異なる力感、そして静けさと、あまり経験したことのない感覚に、日産がモーターのみの走行にこだわった理由はココなのかと納得した。

このスムースさを一層際立たせるのが、アクセルペダルだけで加速・減速が行える走行モード「e-POWER Drive」だ。シフトレバーの横に配置されているボタンを押すと、アクセル開度と車速が完全連動し、2速ホールド状態で走行するのと似た感覚で運転できる。最初は戸惑いを感じたものの、慣れれば非常にコントローラブル。特に市街地におけるストップ&ゴーに有用と思った。というのも、アクセルとブレーキのペダルに踏みかえる回数が大幅に減る上に、完全停止時におけるブレーキショックがとても少ないのだ。いっぽうで、高速道路走行時は、ペダルを踏み続ける必要があるため、ちょっと足が疲れてしまうかもしれない。その際は、従来モードに切り替えるオススメしたい。

スピードメーターの右側に、駆動状態のイラストを表示する


走行中、何度かエンジンが稼動し充電が行われていたが、メーターパネル上でエンジンが稼動していることを示すインジケーターで動作状態を確認しない限り、判別することは難しかった。車内の静粛性が高いこともその一つだが、振動がハンドルやシートなどに伝わらないので、「え?今本当に動いているの?」と疑ってしまった。

試乗が終わり、車庫にクルマを戻す際、ルームミラーに日産車ではお馴染みの技術で、自動車の位置を俯瞰してみることができる「アラウンドビュー」機能を備えていることに気が付いた。さらに、ボタン操作で、運転席からは見づらい左後方や前方の表示切替ができるので、車庫入れや縦列駐車時にとても便利だ。

使い勝手がよく、静粛性にすぐれ、そして低燃費。電気自動車には興味あるけれど、充電設備とか用意しないと、と思われている方には「ノート e-POWER」はかなり魅力的にうつるハズ。日産自動車初となるシリーズハイブリッドのコンパクトカー「ノート e-POWER」は、横浜のグローバル本社ギャラリーにて、ラインナップ6台が一同に展示中だ。同所では映像を通して「e-POWER」の技術をわかりやすく説明するプレゼンテーションも実施しているので、是非、訪れて、そして「ノート e-POWER」に触れて欲しい。【ウォーカープラス編集部】

クリタタカシ

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