サッカー専門誌風に採点すれば「7.5」。採点者によっては、「8」をつけることもあるかもしれない。
サッカーのロシア・ワールドカップ(W杯)出場をかけたアジア最終予選の第5戦が、11月15日(火)に開催。6大会連続6回目の本大会出場を目指す日本代表は、サウジアラビア代表とホームの埼玉スタジアム2002で対戦し、2-1で勝利を収めた。
清武弘嗣選手と原口元気選手のゴールで、グループBの首位チームを撃破。大一番の勝利のカギには、中盤の底から攻守に奮闘した山口蛍選手の下支えがあった。
ポイントになるのは、サウジ代表のサルマン・アルファラジ選手を抑えきったところ。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も警戒していた、相手の中盤のキーマンに仕事をさせなかったことで、試合全体の流れを日本代表に引き寄せた。
圧倒的に出足の早い寄せで危険の芽を摘み、強いプレッシャーをかけて相手からボールを絡め取る。ピンチを迎えたかと思えば、どこへでも駆けつける火消しぶりだった。
山口選手は試合後、「今日は守備のタスクが大きかったので、いっぱいいっぱいなところがあった」と口にした。とは言え、勘所をおさえたプレーは守備面はもちろん、攻撃面ではガソリンを注ぐかのように活性化に大きく寄与していた。
チャンスと見るやゴール前に飛び込み、中盤の底から長駆して相手の注意をひきつけ、おとりにもなる。たとえパスが出てこなくても、何度も前線に顔を出すことで周りにチャンスが生まれる。
山口選手がマーカーを釣り出すことで、フリーとなった本田圭佑選手が決定機を迎えた78分のシーンは、その最たる例と言えるだろう。
「前線の選手はそういう動きを求められていて、スペースを見つけることができていたから、チャンスになると思っていた」と、ここぞの場面での労を惜しまぬ走り込みで攻撃にダイナミズムを生み出していた。
驚くべきは、試合の最終盤にさしかかってもプレーのペースが衰えないところ。点を取るしかないサウジ代表がかさにかかって攻め込んできたことで、守備陣がゴール前に張りつけられた時間帯。「フリーでクロスを上げられるのは嫌だった」と、疲れを感じさせずに相手選手にプレッシャーをかけ続ける姿は頼もしいばかりだった。
攻守に縦横無尽に走り回り、ピッチ上に山口選手が何人もいるのではないかと錯覚するほどで、まさしく八面六臂の活躍ぶり。さぞかし試合後は疲労困憊だったかと思いきや、「まだいける感じではあった」というから恐れ入る。「無尽蔵の体力」とは手垢のついた表現かもしれないが、これほどしっくりくる言葉も見当たらない。
清武選手や原口選手、大迫勇也選手らの躍動が目を引いた日本代表。若きアタッカーらと同世代にあたる26歳のボランチも、動力源として陰のMVPといえる存在感を放っていた。【ウォーカープラス編集部/コタニ】
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