今年でデビュー20周年という大きな節目を迎え、バンド活動を再始動させたTHE BOOM。7月からスタートした『THE BOOM
20th Anniversary Live Tour 2009 My Sweet Home』では音楽性豊かな新旧のナンバーで盛り上がり、10/7にリリースされた5年振りのオリジナルアルバム『四重奏』も話題を集めている。そんな彼らに新作への思いと現在の心境を聞いた。
―デビュー20周年おめでとうございます。これまでもその時々でバンドの節目はあったと思いますが。10周年の時と今回の20周年を比べてどのような心境の違いがありますか?
宮沢「10周年の時はまだ通過点で、振り返るって感じじゃなく前のめりでしたね。ファンの人たちへの感謝の気持ちはこみ上げてきましたけど。でも20周年ってやっぱ、通過点っていう簡単な言葉じゃ表現できないし、振り返って過去のことをもう一回思い直したりすることができるんですよ。10周年の時よりそういう余裕とか、自信ができたのかな。後ろと前が両方見られる地点ですかね。そういうことも(今回のアルバムで)何曲か歌にしてるんですけどね。『My Sweet Home』や『夢から醒めて』、『All of Everything』とかもそうだし」
栃木「20周年っていうのは、50歳になった自分の年齢もあるのかもしれないけど、音楽を始めた時の自分を客観的に見れるようになったというか。この20年間は、その時その時は前を見て、突っ走ってきたんですけど、その時間っていうのがとても自分にとっては大事な時間だったっていう気がすごくします。それはこの20周年のライブをやりながら、ひしひしと思いましたね。ただ、そこで立ち止まっちゃうとダメだなと改めて思いますね。大事だからこそ、振り向いてばかりいたら、20年がんばってきた自分に失礼になっちゃうというか」
山川「10周年の時も感謝の気持ちはあったんですけど。新しくやりたいことに気持ちが行ってたんで。求められてることとやりたいことがちょっとちぐはぐだったように思います。今はライブでも1stアルバムの曲と新作『四重奏』の曲を並べてやってもぜんぜんいけるっていうか、迷いなくできる感じですね」
小林「迷い無く新鮮にできるっていうか、それがなんなのかわからないんですけど。メンバーもお客さんもそういう気持ちにさせてくれるような力がみなぎってきて、今の方が自分の気持ちとやってることがブレてない。昔は気持ちばっか焦ってる時もあったりして。あたふたしてたところがあったんですけど。今はいい感じでできてますね」
―ニューアルバム『四重奏』に入っている楽曲は柔らかさがあり、今までない感触だったんですけど。とりかかる時に意識したことは?
栃木「内容よりもまずみんなの気持ちの出発点としては、ただ単に過去のことを懐かしむんじゃなくて、今のブームのカッコ良さをだそうと。今が一番カッコイイんだよって言えるようなアルバムを作ろうっていうことでしたね。だけど、今までブームとしてやってきた20年を振り返る余裕もあって、それでなおかつ前を向いて21年目を始めるっていうことをちゃんと踏まえた上で作ろうと。自分たちだけのことじゃなくて、一緒に歩んできてくれたみんなへの思いが内包されているから、今までより少しやさしいニュアンスが自然と出てきたんじゃないかな」
―THE BOOMと言えばスカ、沖縄音楽、ブラジルっていうような、20年の活動の中で、その時々に導入された特徴的な音楽要素があると思いますが、今作はあからさまにそういう曲はないですね。意識的にそういうものは入れたくなかったんでしょうか?
宮沢「そうなったんですよね。そういうジャンルとか使わないで作ろう!って意気込んだわけじゃないんですけど。素の自分が何を言いたいかっていう歌にしようと決めましたね。素直にギターを持って。音もたくさん足さず、一番シンプルなやり方を選びましたね」
その2に続く