「テレビでおいしそうなグルメが紹介されると、ハンバーグに応用できないかとつい考えてしまいますね(苦笑)」。そう発想の一端を教えてくれたハンバーグ専門店「榎本ハンバーグ研究所」の店主・榎本稔さん。鰹ダシの醤油スープに浸して食べるハンバーグ、しるばーぐ 150g・1080円は、つけめんから着想を得て、同店の看板メニューとして大ブレイク。榎本さんがこれまで考えたハンバーグのアイディアはなんと約400種以上になるという。他店のハンバーグからインスパイアを受けることなく、自らのハンバーグ道を追求する強い意志を込め、独自路線を貫くのもこだわり。「他店のハンバーグをアレンジするよりも、ウチの研究所らしさというか、オリジナルのハンバーグを作ることに力を注いでいます」。
やっぱりハンバーグを食べて!
カルパッチョや唐揚げなどハンバーグ以外の一品メニューも揃えるが、やはり“研究所”ではサイドメニューもあえてハンバーグを食べて欲しい。実は食事のシメの一品として用意されたハンバーグメニューが存在するのだから、これは拍手喝采だろう。ハンバーグ茶漬けは、鰹昆布ダシにゆずを効かせたスープにハンバーグが浸かる、シメの一品だ。ハンバーグの中にはたっぷりご飯が詰まっており、ワインと共にお茶漬け風にさっぱり味わえる。また、店舗スタッフたちにふるまわれていた“まかない飯”を商品化したのが、ハンバーグ屋のにんにく焼きめし。たっぷりのにんにくと、崩したハンバーグを具材に加えた濃いテイストがシメのにぴったりなのだ。
研究所の未来予想図とは?
日夜、ハンバーグ研究を続ける榎本さんの次なる展望は、パティの改革を思い描いている。「これまでは、ソースなど盛り付けのバリエーションでハンバーグの種類を増やしてきました。というのも、自信のあるパティさえあれば、どんなにアレンジしてもおいしいハンバーグになるという確固たるものがあったんです。一方で、今後は神戸牛などを使った高級志向のパティがあっても良いのかなと。その辺りが今後の研究課題でしょうか」。とはいえ、話題になりそうなエンターテイメント性の高い、新作ハンバーグのアイディアも虎視眈々と目論んでいる。「ハンバーグから火がボウッとでるような、燃えよハンバーグ!なんて、どうでしょうか(笑)」。
取材・文=中田宗孝、撮影=奥西淳二