渋谷のベトナム料理店「ハノイのホイさん」は、日本人向けの味に仕立てたベトナム料理が楽しめるお店。スパイスや香草を多用し化学調味料を使うこともあるベトナム料理だが、このお店では、多彩な7種のフォーをはじめすべてのメニューが無化調。クセがあると思われがちなベトナム料理を、ダシの取り方や味付けを工夫することで日本人でも食べやすい味に仕上げている。
もちろん、メニューは本場のレストランらしい品ぞろえ。ベトナム人のお客さんも楽しめるようにと、自家製のヌクチャムや生唐辛子、サテ(ベトナムラー油)などの調味料も充実。数あるメニューのなかでも、押さえておきたい定番人気の3品を紹介しよう。
現地人にもダントツ人気のバインセオ&コムガー
現地に専門店も多くある「バインセオ〜ベトナム風お好み焼き」(1100円)。作り方はシンプルで、米粉やターメリック、ココナッツミルクで作った生地に、エビやモヤシ、豚肉などをはさんで焼き上げる。パリパリの生地をナイフでカットしたら、レバーペーストや辛めの自家製ヌクチャムと一緒にレタスなどの葉ものに包んで食べる。
ご飯ものなら、「コムガー〜鶏のたきこみごはん」(900円)が定番中の定番。ホイアンのレストランの味を再現したという一皿は、12時間以上かけて煮出した鶏ダシと鶏肉、キノコを一緒に炊き込む。優しい味のご飯は、噛むほどに鶏の旨味がじんわり。サテなどで辛味を足すのもおすすめだ。セットのスープは、鶏のフォーに使われているもので、濃厚で香りよく、コムガーともよく合う。
シメは温かいデザート「チェー」で
ベトナムを代表するスイーツといえば、甘く煮た豆や果物、寒天などをさまざまに味わう「チェー」。ホーチミンなどの南部では氷と食べる冷たいチェーが主流だが、ハノイのある北部で多く見られるのが、この店で食べられる「黒ゴマだんごとバナナのチェー」(550円)のような温かいもの。ココナッツミルクに入った具材は、もっちり柔らかな黒ゴマ団子とバナナ。とろんとゴマが香る口溶けのいい団子と甘いミルクのコンビネーションがたまらない。
ベトナム料理と聞くとハードルが高そうだが、ご飯ものからスイーツまで「ハノイのホイさん」の一皿はどれもリピートしたくなるクセのない味わい。渋谷で小腹が空いたら、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
取材・文=金城和子、撮影=三佐和隆士