九州のロングセラー商品の秘密にせまる「メイド・イン・九州」。今回は、セイカ食品の「ボンタンアメ」をピックアップ!
発売94年「ボンタンアメ 14粒入り」(129円)
昔ながらの伝統的な製法で作り、素朴で懐かしい味わい。原料のボンタン・ミカン・もち米・水飴は発売以来すべて国産で、レシピもパッケージもほぼ当時のまま。おなじみのオブラートは口溶けよく改良されている。
“変わらない”を守り続ける地方菓子
100年近くも世代を越えて親しまれ、変わらぬ姿と味を守り続けているボンタンアメ。その誕生は大正末期の1924年にまで遡る。1903年に菓子問屋として創業し、朝鮮飴などを製造していた同社が経営難に陥り、決死の覚悟で開発に着手したのが“和製キャラメル”。当時はチョコレート、キャラメルなどの洋菓子ブームで、工場職員が朝鮮飴をカットして食べていたのに想を得たのが始まり。原料には鹿児島産のボンタンを用い、柑橘系の爽やかな香りと朝鮮飴を模したもっちりとした食感のお菓子は、水飴・朝鮮飴・ボンタン漬けを主力商品とする同社ならではのアイデア商品であった。
発売当時はチンドン屋で地道に販路を拡げるが、キヨスクでの取り扱いが始まると、その名は一気に全国区へ。「駅で見かけると懐かしさが込み上げてくる」「学生時代、母からの小包にいつも入っていた」と全国の鹿児島出身者の心の支えとなり、女子高生からは「腹持ちがいい」と支持され、今では3代目、4代目のファンへと受け継がれている。これからもずっと変わらないでいてほしい商品だ。
ヒットの裏側
ボンタンアメといえばオブラートの包装。発売当時はよくお菓子に使われていたが、現在では工場も全国3か所のみという。それでも同社が使用するのは、伝統の粘りある食感を守るため。今やオブラートがあってこその商品で、"変わらない"が支持されている。
九州ウォーカー編集部