鹿児島県には、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界遺産に登録された「集成館関連遺産群」がある。幕末から明治に日本最先端の工業施設と技術力を誇っていた薩摩藩が、軍事強化と産業育成を図って行った事業だ。鹿児島ならではの自然を活かし、工夫を凝らした先人の偉業を確かめに出かけてみよう。
寺山炭窯跡
鹿児島では石炭を産出しないため、集成館での大砲やガラス製造に必要な熱エネルギーは木炭を利用していた。幕末には雑木林の中に3基の炭窯が築かれ、うち1基の石積みが残る。
関吉の疎水溝
蒸気機関が本格的に導入されるまで、水車が集成館の工場群の動力をになった。その水車に水を供給するため、約7kmにわたって築かれた疎水溝。関吉にはその取水口が残る。
反射炉跡
島津斉彬が大砲を鋳造するため高温で鉄を溶かした炉の跡。現在は反射炉の下部構造が残り、その石積みはカミソリの刃も通らないほどの緻密さ。隣に1/5サイズに再現した模型もある。
旧集成館機械工場
集成館で使われた機械の整備や、部品製造に必要な加工機械を設置していた。火山由来の疑灰岩で造った日本最古の石造洋式工場で、現在は博物館になっている。
旧鹿児島紡績所技師館(異人館)
鹿児島紡績所で操業の準備や技術指導を行うため、英国から招いた技術者の宿舎。和瓦ぶきの木造洋館で、錦江湾越しに桜島を望めた。現在は歴史などを展示する。
日本の近代化の源となった遺産群を巡るドライブは、暑さが和らぐこの季節にぴったり。現在、九州の高速道路が定額で乗り降り放題になる「九州観光周遊ドライブパス」や、宿泊がお得価格となる「九州ふっこう割」で、いつもよりお得で充実の九州旅が楽しめる。この機会に鹿児島の世界遺産を巡るドライブを楽しもう。【福岡ウォーカー編集部】