単価約5円の安価な商材で年商1億3000万円!?「ウケたい、おもしろいやつと思われたい」のマインドが売り上げを生む!

東京ウォーカー(全国版)

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株式会社マツレンの広域営業部長を務める小池浩彰さん

1つ平均5円10銭の商材で、年間1億3000万円の売り上げを作る。単純計算して、1年で約2600万個を売っているということだ。それだけ聞くと、すごい営業マンのように聞こえるが、実際に会ってみると、明るく気のいいおじさん(笑)。小池浩彰さんが勤める株式会社マツレンもよくある町の中小企業という雰囲気で、特段変わった印象は受けない。ただ、じっくり小池さんの話を聞いていくと目からウロコの考え方、工夫の連続!営業マンじゃなくても「なるほど」づくしの小池さんの人間力に迫る。

一流企業を退職した意外な理由

本社は福岡県飯塚(いいづか)市にあるマツレン。福岡市東区に福岡支店がある

インタビュー場所はマツレンの福岡支店。応接室に入ってきた小池さんは見るからに明るい雰囲気で、開口一番「コーヒー飲みませんか?僕が淹れてて、社員からの評判も上々でして」とニッコリ。執行役員で広域営業部長である小池さん自らコーヒーを淹れているとは、アットホームな会社だ。いただいたコーヒーは確かにおいしい!聞くと、小池さんはマツレンに入社する前は、UCC上島珈琲に長年勤めていたそうで、営業職を経て、最終的には社長室付け広報部の役職者として活躍。勤続年数は20年だったというから、社内でもそれなりの地位だったと想像できる。そんな長年勤めた、さらにいわゆる広く名の知れた企業をなぜ辞めたのか。

3人いる台上がりの右端が小池さん【画像提供=小池浩彰】

「山笠のためですよ」

思わず聞き返してしまった。山笠とは正しくは博多祇園山笠の名称で、福岡市に夏の訪れを告げる祭り。1241年(仁治2年)を起源とし、国の重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産にも指定。博多の総鎮守・櫛田神社にまつられる素盞嗚命(祇園神)に対して奉納される神事で、毎年7月1日〜15日の計15日間にわたり行われている。博多には博多祇園山笠に人生の多くをかける人はいるが、小池さんもそのひとりというわけだ。

山笠に魅せられた“山のぼせ”

「山笠のために前職を辞めて、兵庫から地元である福岡に戻ってきました。もちろん、何か仕事はしないといけないわけで、そんなとき、知人の紹介で弊社の代表と知り合ったんです」と小池さん。マツレンは福岡県飯塚市に本社を構え、総菜のパックやレジ袋、弁当の容器、スーパーでよく見かける“半額”、“3割引”のステッカーなどを主に扱う会社。それゆえに、商材は1つ平均5円10銭という低価格になるというわけだ。

小池さんは「弊社の代表と面談し、即答で『ここで働かせてください』という答えにはいたりませんでした。ただ、代表はそのあとも定期的にメールや電話をくれて、そういったやり取りの端々に人としての聡明さを感じられたんです。なんといっても代表は超一流の国立大学出身ですからね!そんな立派な方からお誘いをいただいて…。僕、安直なんです(笑)。それで心を決めて、マツレンでお世話になることを決めました」と入社の経緯を振り返る。

課したルールは、新たな出会い年間200人

「マツレンと聞いても100人中100人がなんの会社かわからない」と小池さん

いざ、マツレンで営業職として働き始めた小池さんは、すぐにあることに気づく。それが「株式会社マツレンの小池です」とあいさつをしても、相手は「なんの会社ですか?」という反応になるということだ。

「今まで僕は、日本全国ほとんどの人が知っているUCC上島珈琲という金看板を背負わせてもらっていただけだったんだと気づかされました。マツレンのことを知っている人はほぼいない中、今までどおりのやり方ではダメなのは一目瞭然。まずはマツレン、ひいては僕という人間に興味を持ってもらわないと、ものを売るどころではなかった」

そこで小池さんが始めたのがとにかく多くの人に会うことだった。営業職が年間何人ぐらいの人に会っているかという何気ない会話の中で出た数字は100人ぐらい。それなら、その倍の200人に必ず会うようにしようと小池さんは決意。“ぐらい”ではなく、はっきり200人だ。このあやふやな感じにしないのも小池さんらしい。

小池さんは「会うのは誰でもいいというルールを決め、とにかく機会があればアポイントを取り、必ず会うようにしました。ぶっちゃけ、今回のインタビューもライターさんに会っているという感覚で、200人のうちの1人にカウントさせていただきますよ」と笑う。

【写真】紙芝居風の会社案内から自己紹介がスタート

さらに、ただ会って会社紹介するだけではなく、スケッチブックを紙芝居に見立て、マツレンのことを同時に紹介するのが小池さん流。その内容がとにかくおもしろい。マツレンの社名の由来に始まり、扱っている商材、独自のサービスなどをユニークなイラストなどを用いながら紹介。もちろん小池さんの話術も随所に光るのは言わずもがなだ。ラストに相手の脳診断まで行うなど、おそらく一度会ってこの体験をしてしまうと小池さんのことはなかなか忘れられないだろう。

小池さんは「もちろん会った人すべてが商売につながるわけはありません。むしろ200人に会って、実際その場で契約につながるのは5人ぐらいでしょうか。打率が悪い、悪い(笑)。それでも、会わないよりは会ったほうがいいに決まっているし、僕はいろいろな人に出会い、話をするのが最高に楽しいんです。また、今までお会いした方々からのご紹介で、決まる契約が年間約30件もあります。本当にありがたい限りです」と話す。

会社そして同僚たちへの感謝

マツレン福岡支店で共に働く社員

マツレンの売り上げの約65%がデパ地下やスーパー。月間およそ700カ所と取引がある。商材がパックや容器、レジ袋といった毎日多量に消費する消耗品だけに「一回窓口を作ることができれば、関係性を続けていただけることが多い」と小池さん。一方で、「その関係性をルート営業や日々の納品などを通して大切に守ってくれているのは、僕以外のほかの社員。当たり前ですが僕ひとりで1億3000万円の売り上げを作っているわけではないんです。むしろ、僕はきっかけを作っているだけで、そのあとをフォローしてくれるフットワークと愛想が抜群の直属の部下、ルート営業、事務や倉庫の社員たちの功績のほうが格段に大きい」と続ける。

もちろん、広域営業部発足とともに責任者としての命を受けた小池さんの功績は多大にある。ゼロから始めた部署の年商が、8年を経た現在1億3000万円になっていることはすごいことで、そんな小池さんからバトンを受けつつ、成長志向で奮闘を続けている社員が年々増えているのもマツレンの強み。さらに堅実な企業体制で、コロナ禍においても業績は好調ということもあり、社内の士気は高い。社員がさまざまなことにチャレンジできる舞台が整っているのも、それだけの売り上げを作ることができている要因の一つだと感じた。

さらに「売り上げに直結しない人たちと年間200人も会ってよしとしてくれている弊社代表のおおらかさもあります。無駄を認めてくれるというんでしょうか。もちろん断っておきますが、僕が好き勝手に人と会って、業績的にマイナスになるのは絶対NGですよ(笑)。ただ、そういった環境でのびのびと働かせていただき、しっかり給与もいただいているという感謝の気持ちは以前よりも格段に増えましたね」と会社への謝意を忘れない小池さん。今、働いている環境や周囲の人たちに対してしっかりと感謝の気持ちを表せる人柄も小池さんの大きな強みかもしれない。

唯一のモットーは、すぐやる・ずっとやる

包装資材がメインの商材

マツレンと同様の商材を扱う会社は福岡県内におよそ1300社もある。ゆえに小池さんは「仕事が早い、商品が安い、よく顔を出すといっただけでは、これからの時代は生き残っていけないと思っていて」と話し、相手に喜んでもらえる付加価値を作らないといけないと考えた。そうやって生まれたサービスが「あったかいが」。“あたたかい絵画”だから「あったかいが」…完全にオヤジギャグである。

小池さんが発案したマツレン独自のサービス「あったかいが」

「『あったかいが』はいわゆるスーパーやデパ地下の売り場などに掲示できるポップです。魚や野菜、果物といった食べ物はもちろん、四季のイベントごとなど、さまざまなイラストをご用意しています。それをご契約いただけた会社様にサービスでお付けして、店頭に飾っていただけるようにしています。定期的に納品の際などにイラストを掲示し直すところまで行っていて、なかなか評判がいいんです。お客様からは『女性客の滞在時間が伸びたような気がする』『イラストを掲示している商品の売り上げがよくなった』というお声をいただくこともしばしばあります」と小池さん。

ただ商品を安く販売して営業成績を上げるのではなく、独自の工夫やオリジナリティで勝負する営業スタイル。まさに、小池さんが日々実践していることで、アイデアをひねり出すことがいかに大切かがよくわかるエピソードだ。

面談した人たちには「あったかいが」のポストカードを必ずプレゼントするようにしている

そんなアイデアマンの一面が光る小池さんだが、「特別なことは一切していない」と話す。強いてモットーとしていることをあげてもらった。それが“すぐやる・ずっとやる”だ。

「ほかの人がしていることを見たり、アドバイスを受けたりして、『よさそうやな』と思ったことにはまずは何にでもチャレンジしてみる。そして、それが自分でもいいと思えたら、ずっと続ける。やっていることと言えば、それだけなんです。僕の場合、営業マンとして日々同じことをやっているのですが、面談させていただく相手は毎回違う人。ですので都度、相手にウケるようなワードを入れたり、話し方を変えたりして、自分が飽きないようにしています。それが基本にあるので、毎年新たな人たち200人との面談を8年間継続できているんだと思います」と小池さん。

さらに、「それを飽きずに続けられる性格は親からもらったいい素質」と続け、あるものを見せてくれた。それが1987年(昭和62年)に書かれたという父親の遺筆だ。そこには現代社会において仕事をしていくうえでも通ずるサラリーマンとしての心構えがびっしりと書かれており、小池さんも折りに触れ、見返すことがあるのだそう。父親が遺したそれらの言葉もまた、営業マンとしての小池さんを形作っているもののひとつだと感じた。

“ウケたい”が営業の原動力

メール、電話、SNSなど多くのツールを用いて、さまざまな人とやり取り

冒頭でも述べたが、小池さんは底抜けに明るく、とにかく人当たりがいい。メールの文面ひとつとっても思わずクスッと笑ってしまうような一文を添えてくる。だから直接会って話をすると、もう笑いしか出てこない。それをナチュラルにやってのける小池さん。どんな思いで初めて会う人と向き合っているのか。

「絶対記事的にはダメな答えだと思いますが、常に“ウケたい”、“おもろいやつ”って思われたいだけですよ(笑)。小学校のときからなんも変わっとらんのです」。ビジネスシーンでもそれを一貫してしまうのは逆にすごいことかもしれない(笑)。

ただ、話を聞いていると“ウケたい”、“おもろいやつ”を体現するためにさまざまなことをやっている。例えば休日にメンタリストの勉強をしたり、漫才をひたすら見たり。さらりとそう話す小池さんだが、オン・オフのスイッチの切り替えはどうしているのか。

「僕の場合、遊働一致で、遊びながら仕事をしている感覚。だから、例えば勤務時間外のメールのやり取りだったりも苦にならないし、それが労働と思ったことがない。多くの人に会わせていただき、私のことを知っていただける貴重な体験を働きながらさせていただけるなんて、最高だと思いませんか?あ、ただ山笠の期間はがっつりお休みをいただいていますよ」と笑う。

ハードルゼロで紹介を受ける術

面談した人に必ず送るハガキ。小池さんは本当にマメな人だ

そして、一度会った相手には翌日の午前中に必ずメールなり、メッセージなりを送るのも小池さんが自身で決めているさりげないルール。「昨日のお礼の連絡を必ずする人は多くて5割ぐらいでしょうか。これで少しですが相手の方に僕の印象が残りやすくなります。さらに、それにプラスして必ず直筆でお礼状を書くようにしています。あくまで僕調べですが、そこまでやっている人は1割にも満たないんじゃないでしょうか。なぜここまでするのかというと、とにかく”マツレンの小池”という存在を少しでも記憶に残していただけたらという思いがあるからです。営業マンにとって忘れられないことが一番大切ですから」

人の記憶に残り続けることで、ふとしたときに「小池さんに相談できるかも。紹介したらおもしろいかも」と思い出してもらえる。そうやって人から人へと、さまざまな縁をつないできた小池さん。人との縁を増やすために何かあれば人を紹介してほしい旨は伝えるが、その際「“尊敬できる人”“頑張っている人”“おもしろい人”の3つのいずれかに当てはまる人がいれば」と、その人の職種や立場といったハードルは取っ払ってお願いするのも小池さんのテクニック。たとえそれがマツレンの商材を使う可能性がゼロの場合でも、紹介を受ければ小池さんはアポイントを取って必ず会いに行くようにしている。

人から人へ、毎年新しい人と出会うこと200人。そしてその中で商機を見出す小池さん流の営業術。一年で200人と面談することは、きっと相当な努力と労力が必要だが「人と会い、自分のことを知ってもらえるチャンス」と捉えることができれば、自分を取り囲む世界を一変させることができるかもしれない。

この記事のひときわ #やくにたつ
・利益に直結しない人との出会いを大切にする
・あやふやな数字を目標にしない
・すぐやる・ずっとやるを習慣化する
・ウケたい、おもしろいやつを意識し続ける
・会った翌日に必ずお礼の連絡を入れる
・さまざまな仕掛けを駆使して人の記憶に残る

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