お金がしっかり貯まる「賢者の節約術」。節約オタクふゆこさん「若い人にこそ知ってほしい、お金に真剣に向き合うことで得られる“楽しさ”」

東京ウォーカー(全国版)

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「失われた30年」という言葉もあるように、今の若い世代は生まれてからずっと景気の悪い時代を生きてきた。日本の経済状況について明るい見通しが報じられることはほとんどなく、お金に対して前向きな気持ちになるのが難しいのも事実だろう。でも、節約・投資系ユーチューバーとしてブレイク中の森ふゆこさんは、「お金に真剣に向き合うことは楽しい」と語る。そんな森さんの考え方はどのように培われたのだろうか。

節約・投資系ユーチューバーとして人気を集める森ふゆこさん


両親から学んだ「お金についての考え方」

――森さんの「お金についての考え方」というものを形づくってくれたのは、どんなものでしたか?
【森ふゆこ】両親の存在が大きかったですね。ただ、「お金とはこういうものだ」とか「お金はこういうふうに使うべきだ」というふうに、直接的にお金にかかわることを教えられたわけではありません。「両親の生き様」というとちょっとかっこよすぎるかもしれませんが、普段の暮らし方やこだわりといったものから、お金についての考え方を学んだように感じています。

――ご両親とのエピソードで具体的なものがあれば教えてください。
【森ふゆこ】父は、よくいえば見栄を張らない人。服にはまったく興味がないので、穴が空いている古いジャンパーも平気で着るようなところがあります(笑)。母は「さすがにそれはもう着ないでよ」と言うのですが、父は「体を温めるという機能は足りているのだから、これでいいんだ」と主張するのです。そのため、外では駄目だけど自宅ではそのジャンパーを着てもいいというところに落ち着きました。

【森ふゆこ】もちろん、例えば企業の営業マンが穴の空いたスーツを着ていたら仕事の成果にも悪影響が出てきますが、父がプライベートで穴の空いたジャンパーを着ていても本人になんの影響もありません。世間の見方などはどうでもよく、「自分自身の価値観」というものを大事にしているように思います。

――お母さんはどんな人ですか?
【森ふゆこ】「世間のふつう」のようなものにはとらわれていないですし、周囲がどう思うかといったことは意識していませんね。やはり、父と同じように自分自身の価値観を大事にしています。

【森ふゆこ】母は料理が大好きな人です。料理好きというと家庭的な人をイメージするかもしれませんが、その域を完全に超えていてもはや「料理オタク」といったレベル……(苦笑)。ですから、世間一般には価値があるといわれるようなものには一切興味がない代わりに、自分が価値を感じる調理器具にはしっかりとお金を使います。自分の価値観に素直に従ってお金の使い方にメリハリがあるというのが、両親のお金に対するスタンスなのだと思います。

【写真】「お金についての考え方を両親から学んだように感じています」という森ふゆこさん。どんな両親なのかを教えてくれた

目を向けるべきは「お金の向こう側にある価値」

――今のお話に通じる部分もあるかもしれませんが、そうしてご両親からお金についての考え方を学んだ森さんは、今「お金の大切さ」というものをどのように捉えていますか?
【森ふゆこ】もちろんお金は大切なものです。当たり前ですが、現代社会のなかで生きていくために必要なものを手に入れるにはお金は欠かせませんからね。それこそ最近の物価高のなかでは、お金の大切さというものもより高まっているはずです。

【森ふゆこ】一方で、「お金とは価値あるものと交換可能な道具に過ぎない」ともいえるのではないでしょうか。つまり、お金そのものに価値はなく、「お金の向こう側にある価値」を自分自身でどう捉えるのかということがより重要なのだと思います。

――それはつまり、お母さんにとっての調理器具の価値のようなことですね?
【森ふゆこ】誰かにとって価値のあるものでも、自分も同じように価値を感じられるとは限りません。大切なお金だからこそ、その向こう側にある価値に目を向けてみる――。そうして価値を感じられないものにお金をかけるような無駄をなくし、自分にとって大切なものにしっかりとお金をかけられるようにすることが、「節約の本質」なのだと思います。

――そういう考え方を持てるようになって、何か変化がありましたか?
【森ふゆこ】単純に、お金を貯められるようになりました。節約に目覚める前の浪費家だったときには、それこそ「お金そのものに価値がある」というふうに、お金をステータスとして捉えていたところがありました。お金を稼いでキラキラしたOLにならないといけないし、そのためにはいいバッグを買って美容にもお金をかけて……と、まさに浪費を重ねていたのです。もちろん、それではお金が手元に残るはずもありません。

【森ふゆこ】でも、お金ではなく、「自分にとって大切なものってなんだろう?」というところに目が向かうようになると、それまでのお金の使い方がいかに無駄なものだったかということがよくわかりましたし、それこそ自分にとって大切なものにだけお金を使うようになったので、結果的に以前よりずっとお金を貯められるようになりました。

価値を感じられないものにお金をかけるような無駄をなくし、自分にとって大切なものにしっかりとお金をかけられるようにすることが、「節約の本質」

お金に向き合えば、自分自身を知ることができる

――今の若い世代は、生まれてからずっと不景気の時代を生きてきました。さらに若さゆえの低収入も手伝って、お金について前向きに考えることが難しいという人もいるかもしれません。そのあたりをどう見ていますか?
【森ふゆこ】私自身も20代ですし、その気持ちは理解できます。そして、浪費を重ねていた当時は、まさにそういうひとりでした。自分の未来に対してまったく期待を持てていませんでしたし、「お金に対して真剣に向き合ってもどうせお先真っ暗だということがわかるだけだろうし、会社から帰宅したら気楽な趣味でもしていたい」なんてことを思っていました。ひとことでいえば、「お金と直面することを避けていた」のです。

【森ふゆこ】でも、お金についてしっかりと考えることはそんなに暗いことでもないというのが、今の私から伝えたいことです。実際にお金について学び、節約や投資などお金を貯めることを始めると、本当に楽しく感じるようになったのです。

――お金を貯めることのどこに楽しさを見出したのでしょう?
【森ふゆこ】「自分のことがよくわかるようになる」ということかもしれません。お金を貯めようとすれば、お金そのものではなく「お金の向こう側にある価値」に目を向けることが重要です。その過程で、自分が本当に好きなものが何かということが見えるようになります。それまで知らなかった自分を知るのですから、これも確かな成長のはずですし、成長を感じられれば楽しくなってくるものです。

【森ふゆこ】そうして見えた自分の価値観は、さらにお金を貯めることに役立ってもくれます。メルカリなどフリマアプリで不用品を売ってお金を増やすにも、「これは自分にとって必要だ」「不要だ」という判断が必要です。そこで本当に好きなものが何かということがわかっていれば、その判断も簡単にできます。また、フリマアプリに出品しようと持ち物をあらためて見返すことで、自分の価値観をより明確なものにすることもできるはずです。

【森ふゆこ】こういった楽しさは、お金に向き合うことを避け続けていては絶対に感じられないものです。物価はどんどん上がるのに給料は上がりにくいですし、そこだけにフォーカスしたら苦しい時代かもしれません。でも、だからこそお金に向き合うことで得られる楽しさがあるはずです。そんなことをみなさんにもぜひ知ってもらいたいと思います。

節約・投資系ユーチューバーとして人気を集める森ふゆこさん


この記事のひときわ #やくにたつ
・自分の価値観に素直に従ってお金の使い方にメリハリを持つ<br />・大切なお金だからこそ、その向こう側にある価値に目を向けてみる<br />・お金に向き合うことで得られる楽しさがある

構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム)、取材・文=清家茂樹

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