廃業相次ぐゲームセンター業界に光明。リアルとオンラインで進化を続ける、クレーンゲームの“今”

東京ウォーカー(全国版)

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新型コロナウイルスの流行のみならず、設備・建物の老朽化、家庭用ゲーム機の進化やインターネットの普及といったさまざまな要因があり、ゲームセンターの店舗数は年々減少傾向にある一方で、クレーンゲーム市場は活況を見せている。スマホ・タブレットによる遠隔操作で、自宅からクレーンゲームを楽しめるオンラインクレーンゲームの台頭や専門店のオープンといった、新しい波が次々に生まれ続けている昨今。その市況や今後の予測について、ゲームセンター「タイトーステーション」を全国に約160店舗(2023年2月時点)展開する株式会社タイトー アミューズメント統括本部のプロモーション担当に話を聞いた。

需要の高まりを受けて、クレーンゲーム専門店が続々誕生。写真はタイトーステーション ビックカメラ千葉店

専門店が各地に続々オープン。クレーンゲームがアミューズメント施設の売上を支える存在に

日本アミューズメント産業協会が実施した実態調査によれば、ここ10年でゲームセンターの店舗数はほぼ半数に。しかしながら、多くのクレーンゲームを設置する店舗や専門店が増加したこともあって、2020年度のクレーンゲームの売上高は約2230億円とアミューズメント施設における総売上の57.9%を占めており、今や収益を支える柱になっているのだという。

「2014年以降、アミューズメント業界全体のクレーンゲームの売上は右肩上がりに伸びており、依然として好調でしたが、2020年はコロナ禍による外出制限やインバウンド需要の消失によって大きく落ち込みました。現在はコロナ禍の落ち着きにより、お客さまが戻ってきていると感じます」

全国約160店舗を展開するタイトーステーション。写真は池袋西口店

操作の単純さと100円からプレイできる手軽さ、実際に獲得した景品を持ち帰れる点が特徴で、幅広い世代から支持されてきたクレーンゲーム。加えて近年では、人気アニメ・ゲームのキャラクターを起用したぬいぐるみやフィギュア、雑貨類・お菓子といった魅力的な景品が増え、品ぞろえが豊富であること、また、景品自体の品質が向上したことが、追い風となっているのではないかと担当者は話す。

「当社では、店舗・オンラインいずれも、タイトー限定の景品を扱うなど、お客さまのニーズに沿うことが誘客につながっていると考えています。また、実際の店舗で言えば、2016年6月に施行された改正風俗営業適正化法により、保護者同伴の年少者のアミューズメント施設立ち入り時間が延長されたこと、それが利用者全体に浸透したことも背景にあると思います」

需要の高まりを受けて、タイトーでは2019年よりクレーンゲーム専門店を展開(2023年2月時点で4店舗)。2020年8月にオープンした府中くるる店は、550坪の広さに、当時では最多となる454台のクレーンゲーム機を設置しギネス記録(※)に認定されるなど、大きな話題を呼んだ。
※単一会場におけるクレーンゲーム機の最多数。現在は他社が記録を更新。

単一会場におけるクレーンゲーム機の最多数で一時期ギネス記録を保持していた、タイトーステーション 府中くるる店

「クレーンゲームは、幅広い年齢層からプレイされており、プレイする側だけでなく、プレイを見る側も楽しむことができるゲームです。そこで当社では、クレーンゲームをeスポーツのひとつとして考え、2021年より『クレーンゲーム選手権』を開催しています。ゆくゆくはオンラインクレーンゲームも合わせて活用することで、リアルとオンラインのプレイヤーが一同に集結する、最大級のクレーンゲームイベントを実施できればと考えています」

eスポーツ化、グローバル展開…。地理的・時間的制約のないオンラインクレーンゲームがメインストリームへ

実店舗での人気もさることながら、コロナ禍にあって一層の注目を集めているのが、オンラインクレーンゲームだ。スマホアプリやWebブラウザ上で、筐体に設置されたカメラ映像を見ながら遠隔操作を行い、景品の獲得を目指すというもので、実際にゲットした景品は指定した住所へ後日配送される。昨今の外出自粛のあおりを受けて誕生したと思われがちだが、実はコロナ禍以前より存在していたサービスだという。

「タイトーオンラインクレーン」は、2023年1月に新規登録者数300万人を突破。コロナの流行前後で登録者数累計は約2.5倍に増加した

「当社では、2017年11月からサービスを開始しています。当時はスマートフォン普及率の急増をはじめ、お客さまのライフスタイルに変化が生じていたころでした。長年リアル店舗で培ってきた技術を生かし、オンラインという市場で多くの方と新しい接点を作れないかと考えたことが、『タイトーオンラインクレーン』誕生のきっかけです。“いつでもどこでも本物のクレーンゲームが楽しめること”に対するお客さまのニーズは必ずあるだろうという仮説を立ててサービスを開始しましたが、オンラインクレーンゲーム黎明期でサービス自体の認知が低かったこともあり、まずはプロモーション活動に注力しました。リアル店舗と異なり、お客さまの姿が見えず、会話もできないため、「ユーザーが今何を望んでいるのか」をシステム面から素早く察知し、運営スタッフが迅速に対応できるようアップデートを繰り返す日々でした」

「タイトーオンラインクレーン」のプレイ画面

「タイトーオンラインクレーン」では、景品が獲りやすくなるように、スタッフが景品の位置移動を手伝う「アシストサービス」や、オンラインにおける不慣れな操作や不安な気持ちを解消するための「アーム80秒間動かし放題」、獲り方のコツが無料で学べる「クレーン講座」といった追加サービスを次々に導入。サービス開始5年で、新規登録者数は300万人を突破した。

「新型コロナが流行する前後では、売上同時期、新規登録者数累計ともに約2.5倍に増えました。在宅時間が増え、オンラインの利便性を理解いただけたと考えています。ただ、コロナ禍が落ち着いて店舗売上が戻りつつあるなかでも、オンラインクレーンゲームの売上は伸びているので、ライフスタイルに合わせて店舗とオンラインを使い分けいただけているのかもしれません」

景品の数に限りがある実店舗のクレーンゲームと異なり、「タイトーオンラインクレーン」では常時、新旧景品含め3000種類以上が用意されている点もオンラインならではの強みだと担当者は話す。加えて、風営法に従い、実店舗では深夜営業が行われていないのに対して、オンラインだと24時間プレイできるため、深夜帯は最も多くのユーザーが訪れるという。

オンラインクレーンゲームの裏側。筐体1台1台にカメラが設置され、ユーザーは映像を見ながらクレーンを遠隔操作する

「法的整備の課題もありますが、オンラインサービスの最大のメリットは地理的制約を受けない点にあるため、将来的にはグローバルな展開へ進むものと私たちも期待しています。ここ数年でユーザーのオンラインへの抵抗はかなり少なくなってきているので、『タイトーオンラインクレーン』と連携した新サービス「タイくじオンライン」(オンラインで“はずれ”なしのくじが引けるというもの)をはじめ、当社でもオンラインならではのサービスを展開していきたいと考えています」

Z世代をターゲットにした店作りや人気キャラクターとコラボした限定プライズなど、各社さまざまな工夫を行い、継続して盛り上がりを見せるクレーンゲーム市場。そして、その利便性から今後もさらなる成長が見込まれ、今や市場規模は200億円とも言われるオンラインクレーンゲーム市場。次々に新たなサービスやシステムが導入され、リアルとオンラインの両軸で目まぐるしい変化を続けるクレーンゲームが、今後どのように発展していくのかとても楽しみだ。

この記事のひときわ #やくにたつ
・ニーズを先読みし、専門性を高めることでトレンド化させる
・ユーザーから快適に利用してもらうために、小さなサービスを組み合わせる
・リアルとオンラインの両軸からアプローチする

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