ストローがお米を守る?“脱プラ”だけじゃない「米ストロー」をつくる理由

東京ウォーカー(全国版)

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今回取り上げるのは、くず米を活用した完全植物由来の「米ストロー」だ。主原料はくず米(7割)とコーンスターチ(3割)。およそ100日をかけて土壌や海中で完全分解されるため、堆肥や植物の肥料などとして処理できる。福岡市の会社・株式会社UPay(以下、UPay)が、サステナブルな社会の実現を目指し、2019年に開発。2023年2月には、福岡市東区箱崎で国内製造を開始した。なぜお米なのか。米ストロー製造に懸ける思いや、使い心地などについてUPayの担当者に聞いた。

カラーがかわいい、くず米を活用した米ストロー


“脱プラ”だけじゃない、米ストロー製造に懸ける思い

米ストローの主な原料は、精米するときなどに出る一般市場では販売されないくず米や破砕米。UPayはコメ農家からくず米を買い取って、米ストローへとアップサイクルしている。担当者は次のように語る。

「米ストローは、脱プラスチックに取り組むことはもちろんなのですが、日本で唯一とも言える、食料自給率ほぼ100%のお米を守ることにもつながります。日本国内ではパン食が盛んになり、米の消費量は年々減少しています。それに伴い、後継者不足などの要因もあり、コメ農家さんの廃業が続き、生産者が少なくなると、いずれは、お米も輸入に頼る必要が出てきます。私たちは、米ストローの製造を通じて、コメ農家様への貢献をし、お米の生産量を今以上に下げないよう取り組んでいきたいと考えています」

2022年ストロー事業は、福岡市内の中小企業が販売又は提供する優れた新製品・新サービスを認定する「福岡市トライアル優良商品」に

くず米については、大きな会社などで煎餅や焼酎の原材料として使用しているところもあるが、現状、多くの農家では「田んぼにまく」「飼料として使う」など、余っていることが多いのだという。

くず米を活用する取り組みについて、コメ農家からは「新しい取り組みで面白い」「余っているもの(捨てているもの)を有効活用できるのはいい取り組みである」「うちの米も使ってほしい(※送料などの兼ね合いから難しいところもありますが、全国からお問い合わせをいただいています)」といった声が寄せられているそうだ。

アイデアはどのようにして生まれた?なぜお米?

米ストローのアイデアはどのようにして生まれたのだろうか。UPayの担当者によると、

「米ストローを作る前は、紙ストローの製造をしておりました。しかしながら、ご存知のとおり、紙ストローで飲料を飲むと、『紙の味がする』『飲み物がぬるく感じる』『ベタつきが気になる』などさまざまな不満要素があり、導入いただいていたお客様から返品なども相次ぎ良くない反響でした。そこで、ヨーロッパですでにさまざまな飲食店様で使用されていたパスタストローにヒントを得て作ったのが米ストローです」

小麦ではなく米にした理由については、「アジアの主食といえばお米」「パスタだと小麦アレルギーの人がいるが、お米だとアレルギーが非常に少ない」「余っているくず米、古米などを有効活用することで、日本の唯一食料自給率100%のお米を守ることにつながる」といった理由があるのだという。

米ストロー開発の苦労とイチオシポイント

プラスチックを一切使用せず、米とコーンスターチが原材料である米ストロー。そのため、
・耐久性(使用中に崩れたり、溶け出したり、折れているなどにより使えなくなったりしないか)
・まっすぐの形状で作ること
・飲み心地(ベタつきや味の変化など)
を今の状態まで実現することに非常に苦労したのだそう。しかし、この課題については「改良していくなかで、乾燥工程を複雑化(詳細は非公開)させることにより、耐久性・形状・飲み心地の改良を実現した」という。

また、お米だからこそできることも。米ストローのイチオシポイントとして挙げてくれたのが「他のストローでは実現できないカラー」。

「他のエコ系のストローでは、白や茶色といったものばかりですが、米ストローは、もとの色が半透明(お米の色)であるため、カラーを入れたときにパステルカラーのかわいい色合いになります。実際に導入いただいている飲食店様からも、『ストローのカラーがかわいいからドリンクとの相性がいい』『写真映えする』といったお声をいただいております」

米ストローには刻印も可能。かわいらしい見た目も大きな魅力だ。

【写真】米ストローには刻印も可能


炭酸も使用可・2時間以上の耐久性、プラスチックに近いストローを実現

そして、やっぱり気になるのが使い心地。プラスチックが一切含まれないストローには、紙ストローや草ストローなどがあるが、その使用感や耐久性については「飲み物に素材の味がうつる」「数時間ももたず使えなくなる」などネガティブな面も。しかし、米ストローについて担当者は「非常にプラスチックに近い飲み心地を実現している」と話す。

・飲み物に素材の味がうつる→味の変化はほとんどなし
・ぬるく感じる→温度に変化なし
・強いベタつきがある→ベタつきも非常に軽減されている
・炭酸に使用できない→炭酸でも使用可
・数時間ももたず使えなくなる→2時間以上の耐久性を実現

ネガティブな要素すべてにおいて、「プラスチックに近いストローを実現している」としている。

「手に取ってもらうことで考えるきっかけをつくりたい」

飲食店やホテル、結婚式場、イベントなどでの利用はもちろん、さまざまな企業のノベルティとしても利用されている米ストロー。SDGsや食育の授業の一環として米ストローを導入する教育機関も増えているという。

同社では、国内製造を開始したことにより、月間200万本の日本製米ストローの製造が可能に。また、中国杭州市にある既存の生産工場では、月間2000万本の製造を行い、アメリカ、シンガポール、ドイツ、ドバイなどに向けて輸出を行っている。

米ストロー福岡工場の様子


「日本国内で使用されているストローの本数は、理論上、年間で400億本と言われています。私たちは、その2%にあたる8億本を2年以内に米ストローに変えていくことを目標としております」と語るUPayの担当者。最後にユーザーへのメッセージを聞いた。

「私たちは、米ストローを手に取ってもらうことで、脱プラなどの環境問題やお米を含む日本の食料自給率の問題などについて考えるきっかけをつくりたいと考えております。ひとりでも多くの人に手に取ってもらうことができるよう、また、米ストローというものがあることを知ってもらえるよう、導入店舗数を増やしていきます」

SNSで日本国内累計4000万回再生されているという米ストローの関連動画。目にしたときに少し立ち止まって考えてみると、社会の抱える問題がより身近なものに感じられるかもしれない。お米を守ることにつながる米ストローに、今後も注目したい。

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