TBSの『Nスタ』が今年度からリニューアル!新キャスターの日比麻音子さんに聞く、“この時代の”テレビの仕事観
東京ウォーカー(全国版)
TBSで毎週月曜から金曜午後3時49分から放送を行っている、TBSテレビの『Nスタ』。2023年3月27日に全面リニューアルを果たし、「視聴者とのつながりを大切に、ポジティブな"気づき"が得られるような視聴者応援型のニュース番組」というコンセプトを掲げて、新たなスタートを切ることとなった。
なかでも大きく変わったのがキャスター陣。これまでキャスターを務めてきた井上貴博TBSアナウンサーとホラン千秋さんに加え、日比麻音子TBSアナウンサーがメインキャスターに加わることに。多数のジャンルで活躍する3人が組み合わせを変えながらお伝えする、日々変化のあるNスタに進化した。
今回は、Nスタのメインキャスターに新しく加入した日比麻音子アナウンサーに、アナウンサーを目指すこととなったきっかけや、思い描くキャリア像、そしてNスタをはじめとした番組に関わるなかで培われたアナウンサーやキャスターの仕事観について話を聞いた。
もともとはアナウンサーを目指していたわけではなかった
――日比さんは学生のころからアナウンサーを目指されていたのでしょうか?
【日比麻音子】実は、学生時代は就職活動を始めるまで、アナウンサーという選択肢は考えていませんでした。母がずっと教員をしていたので「女性だから家庭に入る」といったことは思わず、生涯働けるような仕事をしたいなというのはありました。ですが、まさか自分がアナウンサーになれるとは思っておらず、当時は考えていませんでした。
――そこからアナウンサーを目指されたのはどのようなきっかけでしたか?
【日比麻音子】もともと英語が好きだったので、英語を使う仕事をしたいという気持ちが軸にありました。大学ではESSに参加して英語のスピーチを披露し、全国大会に出場するなどしていました。それまでも人前で話したり何かを伝えたりすることは好きでしたが、実際にアナウンサーになりたいと思ったのは就職活動を始めてからですね。
【日比麻音子】就職を意識した当初は、英語を使って海外に番組をプロモーションするといった仕事に興味がありました。ただ、自分の得意なことやこれまでやってきたことを考えて自己分析をした結果、「アナウンサーという立場がより会社に貢献できるのでは?」と思ったのが、アナウンサーに方向転換をした理由ですね。
――「アナウンサーになりたい!」と思うようになったきっかけはありましたか?
【日比麻音子】『NHKワールドJAPAN』という、唯一、日本から世界に発信しているNHKのチャンネルがあるのですが、そこに見学に行った際、ある外国人の女性キャスターの方がとても素敵だったことがきっかけでした。まさにドラマとか映画で見るような凛としたキャスターという感じで、彼女がものすごく大きな存在に見えてかっこいいなと思いました。そこで初めてアナウンサーやキャスターの仕事に興味を持ちましたね。
――実際に就職活動でアナウンサーを目指された際、意識されたことや苦労されたことはありましたか?
【日比麻音子】アナウンサーの試験はカメラテストをはじめとした独自のものが多かったのが印象的でした。面接も8回くらいありましたからね。ほかにも面接中に「自己PRを30秒でしてみてください」と突然言われるといった、一般企業ではあり得ないような質疑応答の内容もたくさんあったのでとても大変でした。ですが、もう自分なりにできることをやるしかないと思って、全局のテレビを見比べてみたり、新聞を読み比べてみたりなどをしていましたね。
――特別な試験対策が必要なのですね。他の業種や職種の会社は視野に入れていたのですか?
【日比麻音子】アナウンサー一択ではなかったので、全く違う企業のことも考えていて、商社とかITとか受けられる会社はすべて受けていました。アナウンサーになろうと思って一念発起してからは1カ月くらいしか時間がなかったので、対策や他の会社の試験などに追われて苦労しましたね。
大事なのは、目の前の仕事をこなし続けること
――アナウンサーに合格してから、今回Nスタのキャスターに加入するまでには、どのような仕事をしていましたか?
【日比麻音子】『報道特集』や『あさチャン!』でスポーツキャスターをしたり、『ひるおび!』でコーナープレゼンターを務めたり、他にも音楽番組やバラエティ番組の進行を担当したり、スポーツの実況をしたりと、とにかくさまざまな仕事をこなしてきました。何かあんまりひとつのことを言えないぐらい、いろいろなことをやっていたという感じです。そして、どの仕事にもひとつひとつ丁寧に誠実に向き合うことをモットーに経験を重ねてきただけなので、Nスタキャスターになるために積み上げてきたという意識はありません。
――とにかく仕事をこなし続けた先に、Nスタがあったというイメージでしょうか?
【日比麻音子】そうですね。Nスタのための道筋があったとか、何か特別なことをやってきたからたどり着いたというのでは全くありません。番組はその時々でどうなるかわからないものですし、キャスティングに関してもタイミングみたいなところもあるので、「これをやったからNスタに採用される」という選定基準はなかったかと思います。
――はっきり何か目標があって、それに向かってキャリアを積んでいくという形式とは異なるのですね。
【日比麻音子】違いますね。アナウンサーのなかには入社して2年目に情報番組に抜擢されるというパターンもあれば、ずっといろいろな番組をコツコツやってキャスターになるという私みたいなパターンもあります。アナウンサーの性質やタイミングによって異なるので、どのような活躍の仕方があるかも本当にその人次第という感じですね。
【日比麻音子】私の場合は、私がいろいろやってきたという幅の広さや経験値みたいなものをプロデューサー陣が評価し、Nスタでも生かしてほしいという気持ちで起用してくれたと聞いています。すべては目の前にある一見バラバラな仕事を、一生懸命こなしてきたひとつひとつがつながったことと言えるかと思います。
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