素晴らしい明日を生きるための睡眠を。売り場で感じた“課題”に挑む、寝返りに特化した「NELL マットレス」

東京ウォーカー(全国版)

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夜中に何度も目が覚める。日中に眠気が襲う。そんな悩みを抱える人は多い。睡眠の質を左右するポイントのひとつが「寝返り」という。D2C寝具ブランド「NELL」は、すべての人に快眠を届けようと、寝返りを軸に、寝心地を追求したマットレスを開発。自社ECのみの販売だが、120日の無料トライアル期間を設けて販売している。こうした方法で販売する背景には、マットレスの選び方に対する、ある問題意識があった。

2020年に「NELL」を立ち上げた、株式会社Morght執行役員 VP of Marketingの宮下大和さんと、Product Planning & Developmentの長谷川美聡さんに、商品の特徴やD2Cにこだわる理由、SNSやオウンドメディアを活用したマーケティングについて話を聞いた。

株式会社MorghtのProduct Planning & Development長谷川美聡さん(左)と執行役員 VP of Marketing宮下大和さん(右)【撮影=藤巻祐介】


五つ星ホテルのマットレスを自宅で

――「NELL マットレス」について教えてください。一般的なマットレスと比較して、どのような特徴がありますか?
【長谷川美聡】ひと言で言うと、五つ星ホテルのマットレスを自宅で毎日味わえるということです。ポケットコイルのマットレスは珍しくはありませんが、一つひとつの直径が小さい「小口径」のコイルを採用し、一般的なマットレスより2から3倍近いコイルを使用しているのがウリです。コイル数が多いと、たくさんの小さな点で体を支えるので、きめ細やかでなめらかな寝心地になります。

【写真】ダブルサイズで1734個のポケットコイルを使用。鉄線の太さが異なる2種類のコイルを組み合わせ、寝返りのしやすさを追求した。価格はシングル7万5000円〜キング15万円


【宮下大和】人は寝ている間に20〜 30回寝返りを打つと言われています。柔らかいマットレスだと寝返りを打ちにくく、長時間同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、肩こりや腰痛の原因になります。また、寝返りを打つのに必要以上に力をかけてしまうと、目が覚めてしまうこともあり、結果として睡眠の質を落としてしまう。2020年の発売当時はあまりなかった、寝返りに特化したマットレスです。

――想定するターゲットは?
【長谷川美聡】「NELL」は「Sleep for Great Tomorrow.(素晴らしい明日を生きるための睡眠)」というコンセプトを掲げ、よりよい睡眠によって、素晴らしい明日を自分らしく生きていただきたいと考えています。だからすべての方がターゲットです。とはいえ、ECのみで販売しているという事業形態などもあって、現状は40歳未満の方に多くお買い求めいただいております。今後はさらに広げていきたいですね。

睡眠市場は拡大も、満足度は低いまま

――1日で1億円を売り上げることもあるそうですが、睡眠市場全体が盛り上がっているのでしょうか?
【長谷川美聡】Googleの検索で睡眠に関するキーワードが増えたり、今年売れたものとして睡眠関係の商品が紹介されたり、盛り上がっていると感じますね。

社員も「NELLマットレス」を愛用。「弊社のマットレスを使ったことがきっかけで入社した社員もいます」と長谷川さん【撮影=藤巻祐介】


――睡眠領域の事業を始めたのはなぜですか?
【宮下大和】以前はアプリや人材紹介など、睡眠とは全く関係のない領域で事業を展開していました。そこからピボット(方向転換)することを決めて、さまざまな業界、商材を検討するなか、あらためて社名に込めた想いに立ち返りました。「Morght」は「Morning to Night」からつくった造語です。朝起きてから夜寝るまでの人々の生活を豊かにしたい。それを実現できる領域が睡眠なのかと思いました。

【宮下大和】睡眠事業について調べるうちに、いろいろな課題が見えてきました。日本の睡眠市場の規模は世界有数と言われていますが、実際にデータを取ってみると、多くの人が睡眠に満足できていないことがわかりました。そもそも睡眠時間が短く、ほとんどの方が何らかの課題意識を持っている。そこで、身体を預ける寝具、特にマットレスに解決の糸口があるのではないかと考えました。調査のために店舗に行って、お客さんがマットレスを選ぶ様子を見ていると、多くの人が売り場でたったの2、3分寝ただけで、マットレスを買っていることに気づきました。

「ホテルでも、ふかふかの寝心地がいい寝心地だと思ってしまう」と宮下さん。柔らかいマットレスは寝返りを打ちにくく、身体に不調が出やすいという【撮影=藤巻祐介】


――店舗だと実際の睡眠時間ほど長い時間は試せないですよね。
【宮下大和】短時間寝るだけなら、ふかふかの柔らかい寝心地が、いい寝心地だと思ってしまうんです。実際に家に帰って、身体を8時間預けてみると、必要以上に沈み込んだり、自分の身体に合わなかったりして、不調につながるということがあります。

【宮下大和】ただ、店舗で販売している限り、柔らかいマットレスを作り続けてしまうという構造があるんですね。柔らかいマットレスって、わかりやすく気持ちいいと感じるので、やはり購入されやすい。現場からの「柔らかいマットレスが売れます」という声が商品企画に伝わり、また柔らかいマットレスを作る。今の構造では、同じような商品ばかりが作られてしまいます。こうした課題があるからこそ、僕たちのようなスタートアップがECだけで販売するというモデルでも、勝ち筋があると考えています。

――ECで販売することは、初めから決めていたのですか?
【宮下大和】そうですね、小売店など中間業者を介さないD2Cモデルで展開していくことは決めていました。本当に身体に合ったものを選んでいただきたいという想いから、ECだけで販売し、120日間の無料トライアルを設けています。

「NELL マットレス」は120日間の無料トライアルに加え、10年保証も付く【撮影=藤巻祐介】


【長谷川美聡】120日あるとワンシーズン使うことができるので、気温や湿度の変化も感じることができます。マットレスは捨てるのも大変だから、買い替えるのが面倒ですよね。となると、やはり数年は使うことになるので、じっくり選んでいただきたいたいですね。

第三者の声が「ユーザーに響きやすい」

――2020年に販売をスタートし、コロナ禍の影響はありましたか?
【宮下大和】コロナをきっかけに、世の中の意識がQOLの向上に向かったという感覚はありますね。生活環境を見直す方が増えました。人生の3分の1の時間をベッドの上で過ごすと言われていてるので、特に寝室に意識を向ける方が多くなったと思います。リモートワークではなくなった企業も多いですが、意識としては残り続けているように感じますね。

――新規参入する上で、苦労した点はありましたか?
【宮下大和】苦労はめちゃくちゃしましたね。反省しているのは、僕たちのメッセージをただ届けようとしていたことです。僕はNELL事業がスタートするタイミングで入社して、コンセプトや商品に触れるなかで「これは選ばれてしかるべきものだ」という確信がありました。すごくいいものができた、これをみんなに使ってほしい、と言い続けていましたが、最初の3カ月はほとんど売れませんでした。

【宮下大和】でもあるタイミングで、ユーザーの方からいただいたレビューや、商品を使用してもらったインフルエンサーの方の声を広告に取り入れると数字が伸び始めたんです。企業が発信するメッセージよりも、僕ら以外の声のほうが、ユーザーの方に響きやすいのだと実感しました。

【宮下大和】公式サイトには、レビューを集めたページをつくりました。レビューは5段階で星を付けてもらうのですが、いいことも悪いことも知ってもらったうえで選んでもらうのがいいと思い、星1のレビューでもすべて載せています。

――EC販売という方法が、いい結果につながったのですね。
【宮下大和】実店舗もそうですが、自社以外のECモールでも販売していないんです。僕らは、自社での商品開発から、ユーザーが購入して体験するまでを含めた「物づくり」を行っています。購入体験のなかで少しでも不満を感じてしまうと、それが返品につながる可能性もあるので、できる限り自分たちで責任を持ちたいと思っています。また、公式サイトだけで販売することによって、ユーザーの方が購入するまでに、どの段階でつまずいているのかを把握することもできます。

「質のいいものを多くの人に届けたい」という思いから、D2Cによってコストを抑えている【撮影=藤巻祐介】


【長谷川美聡】こうした販売方法はコストの部分でもメリットが大きいですね。やはりECモールや代理店を利用すると、マージンが発生します。公式サイトに絞ることで販促費を抑え、圧縮して配送する、スポンサー契約しないなど、コストを削減する施策を行い、価格を抑えて提供できるのは、D2Cブランドだからこそです。

SNS、オウンドメディアはタッチポイント

――インスタグラムやオウンドメディアを積極的に活用している印象を受けました。運用するうえで心がけていることを教えてください。
【宮下大和】インスタはフォロワーが10万人を超えて、オウンドメディアは多いときは月間約60万PVくらい。それぞれ日本の寝具や睡眠メディアのなかでは、一番の数字を取れています。決めているのは、推し売りをしないということです。

【宮下大和】オウンドメディアの記事の多くは、マットレスの紹介をしていません。睡眠の課題に関するコンテンツを多く用意しているので、その文脈でマットレスを紹介されても、押し付けられた感が強いですよね。インスタやオウンドメディアは、あくまでNELLとユーザーのタッチポイントのひとつと捉えています。

タッチポイントをつくり、「マットレスを検討するとき、NELLを選択肢のひとつとして頭に入れてもらっている状態を目指しています」と宮下さん【撮影=藤巻祐介】


――「ユーザーのため」という軸がしっかりしているのですね。
【宮下大和】D2Cは、そもそもそうあるべきものだと思っています。今はD2Cという言葉が、どちらかというといい文脈では使われていません。それは事業者側が、自分たちの都合よく使うことが多いからではないかと思っています。僕らはそうならないように、いいものを作り続けるとか、削減したコストを売価に跳ね返らせるとか、そういうことを忘れないようにしています。

――NELL事業を通して、叶えたいことを教えてください。
【宮下】NELLのブランドコンセプト「Sleep for Great Tomorrow.」の実現です。現在は、マットレス以外の商品企画を進めており、僕たちの想いをより多くの方に知っていただけるような企画も行っていきます。老若男女問わず、すべての方に、素晴らしい明日を生きるための睡眠を届けていきたいです。

この記事のひときわ #やくにたつ
・徹底したD2Cが、よりよい商品開発、コスト削減を実現
・満足度を高めるには、商品開発からユーザー体験まで責任を持つ
・SNS、オウンドメディアは、目的に応じたコンテンツをつくる

取材=浅野祐介、文=伊藤めぐみ、撮影=藤巻祐介

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