創業10周年のBAKE INC.がECを基軸としたブランド「しろいし洋菓子店」を立ち上げ。リアル店舗重視の戦略から方針転換した理由とは?

東京ウォーカー(全国版)

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駅にできる長蛇の列。その先にあるのは焼きたてのチーズタルト、アップルパイ、バターサンド……。それぞれ「BAKE CHEESE TART(ベイクチーズタルト)」「RINGO(リンゴ)」「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)」と異なるスイーツブランドだが、そのすべてがBAKE INC.(株式会社BAKE)によるものだ。

新規ブランドを立ち上げるたび話題を呼び、行列を作ってきたBAKE INC.。これまで工房併設の店舗を展開することで、焼き立てのおいしさに注力してきた。しかし、2023年に創業10周年を迎え、その方針を大きく変えることになったという。その象徴的ブランドとして10月にローンチされたのがECを基軸としたブランド「しろいし洋菓子店」だ。

リアル店舗を重視してきたBAKE INC.が、ECを基軸としたブランドを立ち上げたのにはどんな理由があるのか?今後の展開も踏まえて、株式会社BAKE代表取締役社長CEOの山田純平さんに話を聞いた。

株式会社BAKE代表取締役社長CEOの山田純平さん。2020年4月に社長に就任。コロナ禍によって大幅売り上げ減という苦境の中、新しい未来に向かっての舵取りが求められた 【撮影=三佐和隆士】


コロナ禍によって“早まった未来”。オンラインとオフラインの融合を目指す

創業以来のBAKE INC.の経営戦略では、3つの大きな柱があったという。

「1つ目は“1ブランド1プロダクト戦略”という、BAKE INC.ならではのユニークなビジネスモデルでした。店舗も工房一体型で専門店業態をとることで、お菓子のおいしさを徹底的に追求することができます。2つ目は製造業のこだわりとして“おいしさの三原則”というものを掲げています。原材料にこだわり、手間を惜しまず、最良の状態で提供する。物流効率が悪くなりますが、北海道に自社工場を持っているのもおいしさを担保するためです。そして3つ目がブランディングとクリエイティブ力。スイーツを1つの世界観、ブランドのストーリーを持って提供していくことを大事にし、それを体現すべくインハウスのデザイナーを抱えています」

この3つの大きな柱をベースにBAKE INC.は成長。国内67店舗、海外19店舗(2023年8月時点)を展開する会社になった。しかし、コロナ禍によって経営戦略の見直しを迫られることになる。

「最初の緊急事態宣言時、ほとんどのお店がストップしてしまい、2020年4月から6月は売り上げが9割減という大打撃を受けました。このままではマズイと、大急ぎで6月にECサイトの『BAKE the ONLINE』をオープンさせるに至りました。そして、コロナ禍を経て感じているのは、来るべき未来が早く来たということです。コロナ禍以前より、ECサイトについて検討はしていました。ただ、当時はスイーツメーカーでECサイトの運営がうまくいっているところでもその売り上げ比率が5%くらいという感じでした。我々は“焼きたて”も非常に大きな要素としていたメーカーですから、ECはあまりそぐわないチャネルなのかな、という捉え方だったんですね。しかし、コロナ禍をきっかけに環境が急速に変化しました。消費者の行動を見ても、リアルからバーチャルへのシフトがあり、“ECサイトでスイーツを買う”ということがごく一般的なものになっていきました。この変化を逃してはいけないだろう、我々もしっかりECに入っていかなければならない。しかし、単純にECサイトを作りましたというだけではおもしろくありません。BAKE INC.らしさをどう出していくかを考え、BAKE INC.を再定義していこうとなったんです」

BAKE INC.のECサイト「BAKE the ONLINE」。BAKE INC.のブランド観、世界観を大事にするため専用のショップをオープンさせた。店頭で焼き立てを提供することを前提にしていた商品は、オンラインでの販売で同水準の内容に仕上げる調整が必要だったという


2021年7月には新しいミッションステートメント(企業の行動指針)として「しあわせに、BAKE(バケ)る。」を掲げるように。

「従来の経営戦略である“おいしさの三原則”、“ブランディングとクリエイティブ力”という部分は据え置き、“1ブランド1プロダクト戦略”を見直すことになりました。まずは、多彩なブランドポートフォリオを持つこと。これまでは、各事業ブランドをきちんと立ち上げていくために、運営会社であるBAKE INC.という会社そのものを押し出していくことはありませんでした。そのため、各事業ブランドが独立した形になっていて、BAKE INC.が運営しているものだと認知されていませんでした。BAKE INC.というコーポレートブランドを体感・体現できる場所として、オンラインでは『BAKE the ONLINE』を、オフラインではエディティッドストアとして『BAKE the SHOP』を2021年7月にオープンし、BAKE INC.が手がける複数ブランドをひとところで買えるようにしています」

BAKE INC.が手がけるスイーツブランドを一挙に買えるリアルショップとして展開しているのが「BAKE the SHOP」。2023年9月には4店舗目となる「BAKE the SHOP コトチカ京都店」をオープンさせた 【写真提供=株式会社BAKE】

「BAKE the SHOP」は現在全国4店舗を展開している。今後については店舗数を大きく増やすということよりも、BAKE INC.を体現できる場所=旗艦店として整えていきたいと考えているのだそう。

これまで1ブランド1プロダクトということにこだわってきたBAKE INC.。「今後は1ブランド1カテゴリーぐらいの形で進めていきたい」という 【撮影=三佐和隆士】

「そして、OMO戦略です。これまで得意としてきたオフラインを最大限に活用しながら、オンラインとの融合を目指していきます。オフライン限定商品や常設展、催事店舗の展開をしつつ、オンライン特有のパーソナライズされた商品を提供、ライブコマースの利用を進めていきます」

OMO戦略の要として考えているのはアプリの利用。ECサイトを開設する前からアプリはあったが、店頭購入者向けでECサイトでの利用はできなかった。従前のシステムではオンラインとオフラインのユーザー情報を統合できないという問題があったが、新しい会員プログラム「BAKE Membership Program」を立ち上げ、移行していくことでその問題をクリア。2021年12月にはアプリをリニューアルした。

「OMO戦略を進めるにあたって、大事なのはお客様とBAKE INC.がつながれるタッチポイントを最大化していくことです。リアルショップ、ECショップに加えて、オウンドメディアやコミュニティ活動も利用していこうと考えています」

BAKE INC.では「THE BAKE MAGAZINE」と「CAKE.TOKYO(ケーキドットトーキョー)」という2つのオウンドメディアを持っている。「THE BAKE MAGAZINE」は2015年に開設したメディアで、採用や広報の場で利用してきたBAKE INC.そのものを盛り上げるためのものだという。対して、「CAKE.TOKYO」はスイーツ業界全体を盛り上げたいということでスタートしたメディアだ。いわゆる競合他社のスイーツメーカーも紹介しているのが特徴だ。

2015年9月にローンチされた「CAKE.TOKYO(ケーキドットトーキョー)」。各スイーツメーカーのこだわりにスポットを当てた記事を配信することで、お菓子業界を盛り上げたいそう

「まだ構想段階ですが、CAKE.TOKYOとBAKE the ONLINEをつなげていきたいと思っています。CAKE.TOKYOで紹介したお菓子をBAKE the ONLINEでも販売する。ただのメディア、ただの購買サイトではなく、プラットフォームにしていきたいと考えています」

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