世界で1秒あたり6000杯も飲まれる「ネスカフェ」!“コーヒーが飲めなくなる未来”を変えるために世界的コーヒーブランドが掲げた新コンセプトとは!?

東京ウォーカー(全国版)

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“違いがわかる男”というキャッチフレーズを聞けば、脳裏に某CMが思い浮かぶ人も多いのではないだろうか?『ネスカフェ』は日本で一番多く飲まれ、愛され続けているコーヒーブランドであり、世界でも1秒あたり6000杯も飲まれているコーヒー業界を牽引するブランドである。そんな『ネスカフェ』は2022年にコーヒー農家を支援する“ネスカフェ プラン2030”を発表。さらに今年(2023年)10月に、新コンセプト“Make your world”を発表した。『ネスカフェ』が掲げているコンセプトとは一体何なのか?ネスレ日本 飲料事業本部 マーケティングスペシャリストの中西弘明さんに、『ネスカフェ』の歴史と、“近い将来、コーヒーが飲めなくなるかもしれない”というコーヒーを取り巻く環境問題についても話を伺ってみた。

ネスレ日本 飲料事業本部 レギュラーソリュブルコーヒー&システム&ギフティングビジネス部 マーケティングスペシャリスト 中西弘明さん【撮影=阿部昌也】


おいしさとサステナビリティを追求する『ネスカフェ』の軌跡

ーーまず、あらためて教えてください。『ネスカフェ』とは、どういったブランドになりますか?
【中西弘明】『ネスカフェ』は1938年に誕生しました。現在、世界で1秒あたりに6000杯も飲まれているんですよ。家庭用製品だけでなくコンビニエンスストアのコーヒーなども含め、日本で飲まれているコーヒーのなかで、およそ5杯に1杯は『ネスカフェ』が選ばれています。日本でも一番多く飲まれていて、本当に多くの方に愛され育てられてきたブランドになります。

ーー毎秒6000杯!すごいシェアですね。実際、市場全体は拡大傾向にあるのですか?
【中西弘明】コロナ禍の巣ごもり期間をきっかけに、やはり家で飲まれる方がグッと増加し、それ以降ずっと右肩上がりが継続されているという形になっています。特にスティックコーヒーや、ボトルコーヒーなどのRTD(Ready-To-Drink:容器入り飲料)コーヒーが今どんどん伸びています。

ーー世界中で愛されている『ネスカフェ』は、実際誕生してからどういった歴史をたどってきたのですか?日本での展開について教えてください。
【中西弘明】実は、『ネスカフェ』は社会課題解決のために生まれたという経緯があります。どんな課題があったのかというと、1930年代の初頭に、大豊作によりブラジルでコーヒー豆の価格が大暴落して、当時、豆の海洋投棄や焼却が社会問題になっていました。頭を抱えたブラジル政府が、ネスレに「何とかならないか?」と相談してきたわけです。ちょうどそのころに開発が進んでいたインスタントコーヒーに加工する技術によってこの問題を解決することができ、1938年にスイスで『ネスカフェ』が誕生しました。こういった経緯で、コーヒーが保存できるようになり、フードロス問題を解決することにつながりました。これが世界中に広がるきっかけになったとも言われていて、1960年には日本でも『ネスカフェ』(現在の『ネスカフェ エクセラ』)が発売されるようになりました。その後、1967年に『ネスカフェ ゴールドブレンド』が発売され、1970年から「ダバダ」のテーマでおなじみの“違いがわかる男”シリーズのコミュニケーションがスタートしました。

社会課題解決のために誕生した『ネスカフェ』は、全世界で毎秒6000杯も飲まれている世界的コーヒーブランド【撮影=阿部昌也】


ーーあのテーマはすごく印象に残っています。
【中西弘明】多くの日本人に浸透しているコミュニケーションのひとつかなと自負しています。ちょうどカラーテレビが普及してきたころと相まって、「ダバダ」のテーマとともに『ネスカフェ ゴールドブレンド』も一気に浸透しました。1975年からは“新聞・トースト・ネスカフェ”というコミュニケーションも展開しまして、トーストにコーヒーという欧風の朝食スタイルを広めていったのも『ネスカフェ』だったんです。近年では、2008年に『ネスカフェ エコ&システムパック』(発売当時の製品名は『ネスカフェ チャージ』)という紙パッケージの製品を発売しました。こちらは、現在までにプラスチックの削減やアルミ箔の不使用など改良を重ね、よりエコなパッケージを実現しています。さらに、2009年には、家庭で淹れたてのコーヒーが楽しめるコーヒーメーカー『ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ』の販売を開始し、オフィスや家庭に向け累計約600万台が出荷されています。おかげさまで、世帯浸透率も年々上がっていまして、日本人のライフスタイルにとってより身近な存在となりました。

「誰もが家庭でコーヒーを楽しめるようにした、『ネスカフェ』の功績は大きい」と語る中西さん。誕生から85年、環境問題にも配慮しながら『ネスカフェ』は進化し続けている【撮影=阿部昌也】


ーーコーヒーを家庭で楽しむ文化がまだそれほど浸透していなかったタイミングでスタートされたんですね。
【中西弘明】今で言うファーストウェーブの当時は、純喫茶で味わうのが主流でした。それを家で誰でもおいしく飲めるようにしたところが、『ネスカフェ』の大きな功績のひとつだと思います。

未来につながるサステナブルな一杯。“そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする。”『ネスカフェ』の取り組みとは?

ーーブランドの中心テーマにサステナビリティがありますが、コーヒーブランドを展開するにあたり、なぜここを大事にされているのですか?
【中西弘明】サステナブルと聞くと、どうしても今の世界的な風潮に合わせてきたと思われがちですが、先ほどもお伝えしたとおり、『ネスカフェ』は、サステナビリティが発祥のコーヒーブランドです。そして、サステナビリティの部分に真剣に取り組まなければ、将来的においしいコーヒーが飲めなくなるという現実があるんです。多くの方に愛飲していただいている『ネスカフェ』として、そのことを伝えていく意義があると考ています。

ーーおいしいコーヒーが飲めなくなる未来、そんな未来が来るかもしれないことを知らない人は確かに多いかもしれませんね。
【中西弘明】ですよね。気温上昇により、2050年にはコーヒーを栽培できる土地が現在の50%まで減ってしまうと言われています。そしてそこには、単純にコーヒーの生産量が減るだけでなく、約1億2500万人いるコーヒー農家の方の生活が危険にさらされるという、より深刻な問題があるんです。こうしたコーヒー栽培を取り巻く課題に立ち向かうため、コーヒーの長期的な持続可能性を確保するアプローチとして、“ネスカフェ プラン”という形で弊社は活動しています。

「将来、コーヒーが飲めなくなるかもしれない」という危機に向けて、それを伝えていく義務があると『ネスカフェ』は考えているという【撮影=阿部昌也】


ーー“ネスカフェ プラン”とはどういった取り組みですか?
【中西弘明】“ネスカフェ プラン”は、2010年に始まった、『ネスカフェ』として将来に向けて継続的に取り組んでいくことを掲げたプランです。これまでに、農家から豆を直接購入するだけでなく、技術支援や良質な苗木を配布したり、さらに、環境にやさしい製品とパッケージ開発、製造工程の見直しや物流の効率化などに取り組んできました。

【中西弘明】こうした過去10年間にわたって行ってきた取り組みを加速させ、コーヒー栽培をさらに持続可能なものとする包括的な計画として、2022年10月に発表したのが“ネスカフェ プラン2030”です。まずは、2025年までにグローバルレベルで責任ある調達の100%達成と、再生農業を通じたコーヒー豆の調達を20%達成することを目指します。さらに2030年までに、再生農業を通じたコーヒー豆の調達を50%達成、温室効果ガス排出量の50%削減を目指すことを掲げ、10億スイスフラン(およそ1700億円)を投資します。

コーヒーの生産者を支援するプログラムである“ネスカフェ プラン”を、2030年に向けてさらに取り組みを加速。コーヒー栽培を持続可能なものにするため“ネスカフェ プラン2030”として、新たに昨年(2022年)発表した【撮影=阿部昌也】


【中西弘明】“ネスカフェ プラン”と“ネスカフェ プラン2030”の一番の違いは、全く違うことをするのではなく、それをより加速させる意味合いが強くなったということです。例えば、再生農業の取り組みをもっと進めましょうとか、生産者の生活を支える支援をもっとスピードアップして、ギアを上げて取り組むといった感じです。やっぱり単なる寄付ではなく、どうしたら収益がより向上するのか教育をしたり、病害、気候変動に強い苗木を提供して、おいしいコーヒーを未来でも飲み続けるための投資のような重要な取り組みだと考えています。

【中西弘明】これは、ネスレが世界的に大切にしているCSV(共通価値の創造:事業を通じて社会課題を解決すること)の考えに近いですかね。今、投資することによって生産者の生活が守れ、おいしいコーヒーが作り続けられるので、あくまでもCSR(企業活動において、営利を追求するだけでなく社会的責任を求める概念)的に寄付をして云々ではなく、責任ある調達を持続するために投資を行っています。一時的なパフォーマンスのような寄付活動ではなく、ビジネスのコアとしてサステナブルを重視して投資しているのが最大の特徴です。

ーープランの発表以降、具体的にはどんな活動が実施され、どういった成果がありますか?
【中西弘明】現在の主な取り組み例としては、森林農業を活用して温室効果ガス排出量を削減。再生農業を推進し、コーヒー生産者の生活向上を支援しています。
成果としては、2023年12月現在、ネスレのコーヒー豆の87%が「責任ある調達」と呼ばれる生産者や環境に配慮した豆が調達されています。ただし日本では、すでに100%達成しています。そして、3885件の農場評価を実施し、再生農業の導入レベルやカーボンフットプリント算出値などの主要業績指標を測定しました。2022年は12万5000人のコーヒー農家を対象に再生農業研修を実施。2010年から配布したコーヒーの苗木は2億7000万本にのぼりました。さらに、大気中の二酸化炭素を回収・除去するため、コーヒー農園とその周辺に140万本の植樹を実施しています。
2018年と比較して、契約農家のコーヒーによる現金収入が増加。アジア地域では、再生農業の導入が徐々に増加傾向にあり、農家の満足度も向上しているというデータもあります。こうした活動を世界規模でできるのもネスレの強みです。

“ネスカフェ プラン2030”を実施して、すでに大きな効果が見られていると語る中西さん。アジア地域では再生農業の導入が増加し、農家の満足度も向上しているという【撮影=阿部昌也】


ーー新コンセプトの“Make your world”を掲げた経緯と、新コンセプトにどういった想いが込められているのか教えてください。
【中西弘明】世界規模での気候変動や2050年という身近な問題が、どんどん迫ってきているなか、『ネスカフェ』としてできることはないか?という考えから、サステナビリティをコアにフォーカスする“Make your world”というコミュニケーションを、今年(2023年)の10月から実施しています。いつも楽しんでいる一杯のコーヒーを『ネスカフェ』に変えていただくと、それがサステナブルな未来につながることとお伝えしています。なぜなら、100%責任ある調達で仕入れたコーヒーを飲むと生産者や環境に還元され、サステナブルな活動に貢献できるからです。そして、より理解しやすいように“そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする。”という、コミュニケーションメッセージも一緒に展開しています。

10月からスタートした“Make your world”は、『ネスカフェ』のコーヒーを飲むたびにコーヒー生産者や環境に還元されるという取り組み。一杯のコーヒーがサステナブルな活動につながっている


ーー確かに、「サステナブルなアクション」と言われると、“意識高め”といった揶揄的な印象も生まれてしまうかもしれないですね。
【中西弘明】そうなんです。「意識高いな」って敬遠されがちなんです。実際に、グローバル観点で見ると、日本のサステナブル意識がそれほど高くないことは調査でも明らかになっています。でも、日本人って、サッカーの試合でゴミ拾いをしたり、もともと親切な国民性があると思うんです。そこを少しだけ後押しするような感じで、例えばエコバックを使ったり、マイボトルを持ったりという感覚と同じように、『ネスカフェ』を飲んで、手軽に“Make your world”に取り組んでいただきたいと考えています。

ーー気軽さ、手軽さが大切ということですね。これまで、サステナブルな取り組みに関するコミュニケーションにそこまでフォーカスしていなかった印象もありますが、その理由は?
【中西弘明】コミュニケーションはもちろんしていましたが、やっぱり弊社としては、コーヒーの味わいや香りという製品本来の楽しみや、情緒的な価値の部分を優先的に伝えてきたので、今回、サステナブルに対するスポットライトの当て方を変えたというイメージです。カテゴリーを成長させるという観点では、新規ユーザーを取り込み続けることがナンバーワンブランドとしての役割だと考えています。特に若年層の間でサステナブルの意識が高まっているので、そこに擦り寄るわけではないですが、あらためてスポットライトを当てる角度を変えて、きちんと情緒的な結びつきを消費者と作っていきたいという想いがあります。

サステナブルの意識が高まっている若年層にも届くように“Make your world”を展開し、情緒的な結びつきを強化していくそう【撮影=阿部昌也】


ーーZ世代は“意味を求める世代”とも言われていますし、そういう観点からも、SDGsへの関心度が高いと思います。消費者と一緒に活動を深めるためにここにフォーカスを当て、さらに企業として新しい世代を獲得するためのテーマとしてあらためて打ち出したという形ですか?
【中西弘明】そうですね。今回、サステナビリティをコアにコミュニケーションをしていますが、サステナブルなことだけを伝えるのではなく、コーヒーの味わいのよさ、香りのよさというコーヒーの魅力を伝えることももちろん必要だと思います。

ーーコーヒーを飲む、飲まないという点で年代的な違いはありますか?
【中西弘明】それこそ、“違いがわかる男”の時代である1970年代、80年代に大きく浸透した経緯があるので、人口の高齢化に伴い、中心の飲用者世代も高齢化しているという事実はあります。ただ、若い世代もコーヒー専門店でこだわりのコーヒーを楽しんだり、サードウェーブが浸透しているので、『ネスカフェ』としてはあらためてより若い世代にアプローチをしていきたいと考えています。

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