発売10カ月で国内外33万本、高価格帯なのにZ世代に大バズり!?「思考を止めない」シャープペンが爆発的人気で市場のトレンドに

東京ウォーカー(全国版)

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今話題となっている文具がある。それは、ぺんてるの「オレンズAT」。ペン先が紙から離れるたびに自動で芯が出る「自動芯出し機構」を備えたシャープペンで、芯折れを防ぐ「オレンズシステム」により、芯の保護も可能となっている。このシャープペンのコンセプトは、ずばり「思考を止めない」。勉強に励むZ世代の中高生を中心にヒットしており、特に1分1秒の“タイパ(タイムパフォーマンス)”を重視する受験生の強い味方となっている。中高生にとって、このシャープペンはどのような存在なのか?このシャープペンがどのような未来を切り開いていくのか?「ぺんてる」の商品企画グループ・大澤成さんと、マーケティング課の小中真哉さんに話を伺った。

ぺんてる 製品戦略部のおふたりにお話を伺った。商品企画グループの大澤成さん(左)と、マーケティング課の小中真哉さん(右)【撮影=オオノマコト】


トレンドのツボを押さえ、学生から支持される「オレンズAT」

ーーヒットさせるために難しかった部分はどんなところですか?
【大澤成】2000円(税別)という価格での売り出し方は、ちょっと頭を悩ませる部分がありましたね。どういう立ち位置で市場に出すかを考えるのは、思った以上に難しかったです。

【大澤成】マーケティングと商品企画、デザインや開発の部署も含めて「どんな価格帯で、どんなスペックの製品を出せばいいのか?」といろいろと話し合ったんですね。シャープペンは数百円でも手に入るモノですが、他社を含め、1000円台のシャープペンが現在のシャープペン市場のシェアにおいて重要な立ち位置になっているんです。安ければいい、書ければいい、というものではなく、毎日使うものだからこそ良いものを使いたいというニーズは中高生の間でもあって、比較的高価格帯のシャープペンも受け入れられやすい市場になってきています。

【大澤成】その中で、3000円の「オレンズネロ」よりもお手頃だけど、品質の良いものを提供するという方向で、2000円という価格が決まりました。今振り返ると、価格帯を決めることが、コンセプトを考えるうえで最も重要だったと思います。

自動芯出し機構をスタンダードにしたいという、ぺんてるの考えを明かしてくれた大澤さん【撮影=オオノマコト】


ーー受験生にとっては、ノックするのも煩わしいんでしょうね。
【大澤成】好きだって人もいるので、そこは難しいですよね。ただ、ノックをしなくてもいいよっていう、選択肢が増えたという感じですかね。実は、開発する際に一番イメージしたのが試験のシーンなんです。限られた時間の中で、たくさんの問題を解かなきゃいけない。数学なら、もう全集中じゃないですか。そういったときに、芯が折れたり、擦れて書きづらくなったり、「う〜ん」ってイラっとする事象をイメージしながら作りました。

ーー昔は、シャープペンを振ったり、グリップのボタンを指で押したりすると芯が出てくるギミックのようなものが、ちょっとしたステータスでした。自動芯出し機構は、今の学生にとってどう捉えらているのでしょうか?
【小中真哉】最近、自動芯出し機構を搭載したシャープペンは、他社も発売し始めているので、おそらく学生さんとしても注目しているひとつのポイントになっていると思います。機能のトレンドは時代ごとに進化しているんです。ひと昔前のシャープペンの世界は、本当にユニークなノック方式がいろいろと流行っていましたよね。そして同時に、さまざまな種類のグリップも登場していたことを覚えていますか?たとえば、パイロットのドクターグリップのようなプニプニしたタイプがありましたね。その後の流行りとして、三菱鉛筆から「クルトガ」という芯が回転して均一な書き心地を保つシャープペンが出たり、芯が折れないシャープペンとして、ゼブラから「デルガード」やパイロットから「モーグルエアー」などが次々と登場しました。きれいに書くことを目指して工夫されたこれらのシャープペンは、人々にとって非常に魅力的でしたよね。

これまで流行ったシャープペンのトレンドについても教えてくれた小中さん。シャープペン業界のトレンドも多種多様だ【撮影=オオノマコト】


ーー2000円という金額は中高生にとって、すごくプレミアム感がある気がしますが、ユーザーの反響はいかがですか?
【小中真哉】そうですね。2000円クラスのシャープペンを購入される方は、どちらかというと文具が好きな方が多い印象ですね。「オレンズネロ」だけでなく、他社さんからも1000円を超える商品が非常に多いので、いろいろと使用されて比べてどうだったという感想が非常に多く寄せられています。そんな市場の中で、学生さんにとっては、この価格でオレンズATのスペックは満足感があるようです。試験勉強にぴったりだっていう声は聞こえてきますね。

ーープレゼントにもちょうどいい感じの価格帯ですね
【小中真哉】プレゼントとして筆記具を選ぶとき、ちょっと前まではボールペンが主流だったんですが、最近ではシャープペンをギフトとして選ぶ方が増えているようですね。実際、販売店の方々からも、「ギフトボックスを作ってほしい」といううれしい要望をいただくことがあります。

【大澤成】中学生や高校生には、シャープペン好きがたくさんいるんです。小学生のときは、塾でシャープペンを使うこともありますが、一般的には鉛筆が主流ですよね。そこで、中学に上がって毎日シャープペンを使うようになると、機械や機構に興味を持つ生徒たちにとって、「オレンズAT」は「おっ!」と心をくすぐるアイテムになるんじゃないかと思います。自分だけのちょっと特別なもの、他の人と一味違うものを持ちたいという感覚が、彼らを惹きつけるのかもしれませんね。

落語家も愛用中!アーティストやクリエイターなど、没頭する仕事にもおすすめの1本!

ーー「オレンズAT」を使用するのに最適な方ってどんな方ですか?
【小中真哉】シャープペンは文具として広く使われていますが、弊社としてアート市場にもチャレンジしたいと考えています。ですから、単なる勉強道具としてシャープペンを使うのではなく、アーティストさんにも積極的に使用していただきたいですね。もしかしたら、芸術家の方々にとって、表現する際にノックすることが煩わしいかもしれません。その点、思考を止めずに書き続けられる「オレンズAT」なら、アートの世界にぴったりなのでは?と思います。このシャープペンを使って、芸術家のみなさんが自由に表現し、創造する作業をよりスムーズに行えるといいですよね。

ーー確かに、クリエイティブ系など没頭する作業に向いていそうですね。
【大澤成】はい。音符を書くとか、文章を作るとか。それこそ、「思考を止めない」というキャッチコピーが、それを表していますよね。いろいろと考えている方に、愛用してもらいたいですね。

“思考を止めない”という「オレンズAT」は、アーティストにも使ってもらいたいと話す2人【撮影=オオノマコト】


【小中真哉】落語家の柳亭小痴楽さんも、噺を覚えるときやネタやおもしろいことをメモするときに使っていただいています。「アイデアは一瞬で消えるもんだから、止まらずに書き続けられるのは脳みその助けになる!ありがたいです」と、おっしゃっていただきました。思考や思いに制限をかけず、湧き出たままを書き起こしていくスピード感が心地よいそうです。こちらの取材記事はコーポレートサイトのマガジンに掲載しています。

発売から10カ月で国内外33万本出荷した「オレンズAT」の爆発的人気に驚き!「スマッシュ」のようなベストセラーを目指し、今後の展開に期待

ーー評判や売り上げ的な感じではいかがですか?
【小中真哉】「オレンズAT」は発売から約10カ月が経ち、国内と海外でおよそ33万本を出荷しました。これは弊社の他の製品と比べても、とてもいいスタートを切っているんですよ。最近では、1000円以上の高機能シャープペンが市場にたくさん出てきています。さらに、3000円(税別)の「オレンズネロ」や、他社のもっと高価な製品も増えている状況です。そんななか、2000円(税別)という価格設定は、文具好きな方々にとって、手に取りやすい魅力的なポイントだと思います。加えて、このシャープペンには本格的な自動芯出し機構が搭載されており、使ってみるとその素晴らしさが実感できるんです。これが、多くの方から好評をいただいている理由のひとつですね。

【写真】ぺんてるの「オレンズ」シリーズ。手前から「オレンズAT」、「オレンズネロ」、「オレンズ」【撮影=オオノマコト】


ーーカラーは今のところ全4色で展開しているんですよね?
【大澤成】はい。実は、カラーリングの統一感が非常にウケているようで、シルバーが一番売れているんですよね。当初、色があるほうが売れるかな?と思っていたので、予想外でした。

ーー「オレンズAT」に、もっとこうなってほしいという願望を教えてください。
【小中真哉】そうですね。先ほどもあったとおり、自動芯出し機構に今後のスタンダードになってほしいので、「オレンズAT」を通して、自動芯出し機構をシャープペンのスタンダードにしていきたいなという気持ちがあります。そして、それが実現したときに「オレンズAT」が一番手にしっくりくる商品になっていることを願っています。

【小中真哉】弊社には「スマッシュ」という35年以上のロングセラーもあります。紆余曲折あり、一時期は廃番の危機もあったんですけど、その長い歴史のなかで、今が最も生産が増えて最盛期を迎えているんです。さらに、「スマッシュ」をきっかけに「文具が好きになった」という声も多く寄せられているので、「オレンズAT」が、今度はその役割を担うようになってくれるとうれしいですね。これをきっかけに「ちょっと文具が好きになったよ」とか、「文具沼にはまったよ」とか、そういう子が増えてくれるとうれしいなというふうに思います。

「ロングセラーとなっている「スマッシュ」のように「オレンズAT」にも、長く愛される製品になってほしい」と語る小中さん【撮影=オオノマコト】


ーーちょっと気になったのですが、なぜスマッシュは危機を迎え、復活したんですか?
【大澤成】「スマッシュ」は製図の仕事に使用する用のものを、もうちょっとカジュアルにした形のシャープペンです。ただ、時代の流れなのかなと思うのですが、昔は100円のシャープペンが主流だったじゃないですか。そんななか、「スマッシュ」は1000円だったので、その流れに逆行していたんですね。ところが、トレンドが変わり、今では、シャープペンの単価もどんどん上がって、いいものを長く使う傾向にあります。この流れに乗って、再び「スマッシュ」が脚光を浴びるようになりました。きっかけは、YouTuberのはじめしゃちょーさんが、紹介してくれたことに端を発しているんです。

【小中真哉】文具好きな方からは、プロ仕様みたいなディテールや、製品としての完成度に注目して、そこを再評価してもらえたんだと思います。品質面は当時から優れていたので、はじめしゃちょーさんもおそらくそういった流れで「スマッシュ」を見つけて、紹介してくれたのかなという気はしています。

【大澤成】ぺんてるの伝統で、シャープペンの各パーツが高精度で仕上げられて、よくできているんですよ。そういった基礎の部分が認められたのも理由だと思います。

ーースマッシュにも特別な機構が入っているんですか?
【小中真哉】機構としては、普通のノック式です。

【大澤成】ただ、おもしろいのはペン先とグリップが一体になっているんです。グリップの上から分割する仕組みなので、ペン先だけが緩むってことがないんです。

グリップとペン先が一体になっているのが「スマッシュ」の特徴【撮影=オオノマコト】


ーーそういえば、よくペンケースの中で緩んでいました(笑)。
【大澤成】金属とラバーを組み合わせたグリップで、フィット感もしっくりくるんです。さらに、ノック部分は、昔のバイクのサスペンションをイメージするようなデザインですし、製図用の名残りとして芯を表示する窓があったり、文具好きな人の心をくすぐるギミックが満載されているんです。

ーーそういうところが、逆に若い人にウケたんですかね?
【小中真哉】そう思いますね。珍しさもありますし。やっぱり同級生の中で、プロっぽいモノを持っているっていうのは少し自慢になるじゃないですか。“みんなが持っていないモノ”っていう特別感があると思いますね。

ーー次の製品開発を進めていくにあたり、そういう部分にも今後フォーカスを当てて、もっとブラッシュアップするのでしょうか?
【大澤成】そうですね。今後どういう方向になるかわかりませんけれども、こういう樹脂ボールチャックを使った製品群っていうのは出てくると思います。今後にもご期待ください!

文具は日々進化を遂げている。「思考を止めない」シャープペンは、中高生にとっては高価格帯ながらも、タイパを重視する世代の考え方に受け入れられヒットを飛ばし、今まさに受験を迎える学生の強い味方となっている。今後も時代にあわせた文具の発展に期待したい!

取材・文=北村康行、撮影=オオノマコト

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