「都道府県魅力度ランキング」最下位の茨城県がバズった!?超異端のトレカ「いばらき女将カード」はなぜ話題になったのか?

東京ウォーカー(全国版)

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価格が急騰しているトレーディングカード、いわゆる「トレカ」に近年、注目が集まっている。そんななか、2023年秋にSNSでバズった「いばらき女将カード」をご存知だろうか。「都道府県魅力度ランキング」最下位の常連・茨城県で制作された、「いばらき女将の会」の女将さんたちが着物姿で写ったトレカである。「マイクポップコーン」1袋につきランダムに1枚入っており、総勢27名の女将さんぞれぞれのカードと、27名全員が写ったレアカードを含め、種類は計28枚。フリマアプリではレアカードが1枚8000円もの高値で販売・購入されるくらいの人気となっている。

【写真】「いばらき女将カード付きマイクポップコーン」が大バズり!【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】


それほどまでに人々を虜にする「いばらき女将カード」は、なぜ、どのような経緯で生まれたのだろうか…。謎すぎるその実態について、茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室の小林直人さんに話を聞いた。

茨城県デスティネーションキャンペーン推進室の小林直人さん【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】


「人」も大事な観光資源!

――いばらき女将カードの発案者は、茨城県デスティネーションキャンペーン推進室長の菊池克実さんなんですよね。最初にこの案をお聞きになったときは、どう思われましたか?

【小林直人】驚きました。けっこうなパワーワードではあったので(笑)。ただ、一方で茨城の観光の魅力として絶景や食、アクティビティなどいろいろありますが、「人」というのも大事な観光資源だという共通認識はあったんです。

【小林直人】これまで地域の方々と接してきて、観光業に従事されている方はプライドを持って仕事をされていますし、「茨城が好き」という熱い想いを持っていらっしゃると感じていました。また、直接的に観光業に従事されていなくても、たとえば定食店のおじちゃんやおばちゃんなど、みなさん方言なまりで温かみがあるんですよね。一時期「バーチャルツーリズム」が流行りましたが、“旅先で人と人とのコミュニケーションをとる”というのは、現地に来てもらわないとできないことなので、そういった点で共感できると思い、企画を進めました。

※デスティネーションキャンペーン(DC)…JR6社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州)と指定された自治体、地元の観光事業者などが共同で実施する国内最大級の観光キャンペーンのこと。主に3年間実施される。

――ちなみに、この案が出たのはいつごろだったのでしょうか?

【小林直人】2022年の4月です。茨城DCのなかで、旅行してくださる方々に楽しんでいただけることを…ということで、茨城プレDCでは地域と連携して100超の企画ができたのですが、そのひとつが「いばらき女将カード」でした。

――「いばらき女将の会」にお話を持っていかれたと思うのですが、そのときの反応はどうでしたか?

【小林直人】最初は戸惑いの様子が見られましたが、一方でいばらき女将の会は、これまでさまざまなことをやってこられた組織なので、みなさん大変パワフルで。常々「地域の観光について何かしたい」という想いも持たれていたので、「おもしろい企画だからぜひ」とすぐにお返事をいただけました。

――その後、いつごろ実現したのでしょうか。

【小林直人】最初は「茨城プレDC」の企画として2022年10月~12月に、各旅館やホテルなどの宿泊施設で無料配布しました。なので、2023年に発売した「いばらき女将カード付マイクポップコーン」は第2弾、ということになります。

【小林直人】いばらき女将カードを作る際に「プロ野球チップス」のようなものを目指そうということになったのですが、「(発案から時間がなかったので)まずはスモールスタートでもいいからやってみよう」と実施したのが第1弾でした。そのときのカードは、第2弾とは違って、表面はおかみさんの写真やホテルの紹介、裏面は民謡紹介…というものでした。また、カードを何枚か集めると抽選で景品(宿泊施設で使えるクーポン券など)をプレゼント…という企画も実施しました。

――第1弾で、けっこう手応えがあったのでしょうか。

【小林直人】思っていた以上にいろいろな方がもらいに訪れたそうです。そしてカードを実際にお渡しするのが女将さんや宿泊施設の方でしたので、みなさんがリアルに手応えを感じられたようです。

――景品目当てでもらいに来る方が多かったのでしょうか、それともカード自体が欲しくて来られた方が多かったのでしょうか。

【小林直人】実際は景品目当てというより、「旅行で訪れたので」ともらいに来る方や、「カードをコレクションしたいので」という方が多かったようです。ただ、もともと景品はプラスアルファのもので、企画時点ではカード自体が注目を集めるだろうとは考えていたので、そういった点では想定通りだったと思います。

妥協を許さない「こだわり」が魅力に

――その後に作られた第2弾のカードは第1弾よりだいぶ作りこまれていて、ユニークなものになっていますよね。

【小林直人】はい。第2弾は第1弾のカードとは変えて、バトル風のカードにしたいと思っていたので、ステータスのような数値があったり…という「こういう方向性にしたい」とかベースのデザインは、いばらき女将の会と制作会社にお伝えして制作していただきました。

「としまや月浜の湯」女将 渡辺十九夜さんのカード。「恋愛」「元気」などの項目は女将さんからのアンケートに基づいて個性を数値化【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】


【小林直人】今回のカードは、ポップコーンの売り上げを上げるというより、茨城に訪れてもらうきっかけとして、気になってポップコーンを買っていただければ観光消費にもつながり、さらに宿泊…という流れを作れたらという想いを込めていました。なので「バトル風」としつつも、あまりゲーム性を高めないようにという考えもあり、代わりに目を引くような個性的なキャッチフレーズを入れようということになりました。

――キャッチフレーズは、かなりインパクトがあるものばかりで驚いたのですが、どなたが作られたのでしょうか?

【小林直人】制作会社の方が考えてくれました。方向性をもとに、いばらき女将の会事務局の方が(それぞれの個性にあったキャッチフレーズにできるように)女将さんの趣味や特技などのアンケートを取ってくれ、その結果をもとに制作会社の方が一つひとつ作ってくれました。

その社交性からつけられた「五浦観光ホテル」女将 村田知世さんのキャッチフレーズは「コミュニケーションモンスター」!【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】

「ホテル日航つくば」葉梨優子さんのキャッチフレーズは「スマイリングチアリーダー」【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】

「大洗ホテル」國武インナさんのキャッチフレーズは「マルチリンガルオーキッド」【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】


――なるほど、キャッチフレーズは綿密なリサーチに基づいていたのですね!結果、SNSでバズったりメディアで取り上げられたりしましたが、これは想定されていたのでしょうか。

【小林直人】大なり小なり話題性が出るという自信はあったので当初は「想定通り」だったのですが、途中から茨城DCのキャッチコピーでもある「想像超え」になっていきました。ここまで話題になるとは…。最初は、2023年10月1日から12月末まで販売する予定だったのですが、発売から2~3週間でほとんどが売れてしまった…という状況です(現在は販売終了)。

――ここまで話題になった要因は、どんなところにあったと思われますか?

【小林直人】要因はいくつかあるかと思いますが、そもそもの“女将カード”というパワーワードですよね。ゲームやキャラクターやアイドルなどのカードではなく、「そこをカードにするの?」というぶっ飛び具合がウケた理由なのかなと思います。

【小林直人】あとは、こだわって作った点かなと思います。「もうこのくらいでいいんじゃないですか」と言われることもありましたが、妥協したくなくて細かいところまでかなりこだわりました。たとえば、(カードを包装する)銀のフィルムについてはトレカっぽくしたいというこだわりがあったのですが、2022、2023年はトレカがものすごく人気だったということもあり、(いばらき女将カードの制作数)4万3000袋という少数だと、受注してもらえない会社が多くて。紙の袋はどうか、(袋の端の)ギザギザも印刷もナシなら銀のフィルムにできるけど…などいろいろ代替案もいただいたのですが、それはちょっと目指すものと違うなと思いまして。全国で受けてもらえる会社を探して、実現しました。

――なぜ、そこまでこだわられたのでしょうか?

【小林直人】茨城県は観光でいうと先進県ではなかったと思うので、中途半端なことをしてもほかの有名な観光地に勝てないと思って。やるなら「100点」を目指さないと勝負できないなと思ったんです。カードデザインも、最初に制作会社から複数案をいただいたのですが、すぐにOKとはなりませんでした。いばらき女将の会と制作会社、茨城県デスティネーションキャンペーン推進室の三者で議論を重ねていき、完成するまでにはけっこう時間がかかりましたね。

【小林直人】どこかで妥協していると注目を浴びなかったかもしれませんが、SNSでは「ここまでするか!」「これ考えた人すごい」という反応や、バトルポイントのようなステータスがついている点について「女将でバトルできるのか!?」というような反応もあり、こだわった部分について評価していただいているのかなと感じています。

――これだけ話題になったので、第3弾の「いばらき女将カード」も企画されているのでしょうか。

【小林直人】今のところ、予定はありません。ただ、今年(2024年)“アフターDC”としてこれからいろいろな企画をしていきますので、もしかしたらそのなかでまた「いばらき女将カード」が企画されることもあるかもしれませんが…。

【小林直人】アフターDCについても、自分たちがワクワクすること、おもしろいと思うことを大切に企画をしていきたいと考えています。ただ、「おもしろい」だけでなく、いかに戦略的に形にするのか、ということも同時に考えなければいけません。そして、戦略的にやるためには「熱い想い」も必要だと思います。今回の「いばらき女将カード」のように、おもしろいアイデア、戦略、茨城の観光を盛り上げたいという想い…の3つがそろうことが、成功へのカギかなと思います。

――最後に、これからの時季の茨城でイチオシの観光スポットを教えてください!

【小林直人】まず、ひとつめは2024年2月10日(土)から開催される「水戸の梅まつり」です。会場となる偕楽園は金沢の兼六園・岡山の後楽園とともに日本三名園のひとつに数えられており、園内には約100品種3000本もの梅が、春の訪れを告げるかのように咲き競います。さまざまな品種があるため、「早咲き」「中咲き」「遅咲き」と長期間にわたり観梅を楽しむことができるのも魅力です。120年以上の歴史ある祭りなので、ぜひお越しいただけたらと思います。

「偕楽園」の美しい梅【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】


【小林直人】もうひとつおすすめしたいのは、「竜神ダム湖アイスクラッシュ体験ツアー」です。竜神ダム湖の湖面が冬期に凍る2月に、カヌーまたは大型カヌーで水面の氷雪を砕きながら湖面を移動し、凍てつく奇岩や苔の洞門の渓谷美を巡るというアウトドアアクティビティです。この時季だけの圧巻の体験をぜひお楽しみください。

「竜神ダム湖アイスクラッシュ体験ツアー」の様子【画像提供=茨城県営業戦略部観光物産課デスティネーションキャンペーン推進室】



インタビューの中で「DCを通して、“思った以上に来場者が訪れた”という成功体験を積めた施設も多く、観光業の方々の自信につながっていると思うので、その意識の高まりを継続させていきたい」とも語っていた小林さん。さまざまな観光資源を優れた企画力と実行力でアピールしていくその手腕と熱い想いがあれば、「都道府県魅力度ランキング」上位へ浮上するのも夢じゃない!?

この記事のひときわ #やくにたつ
・「妥協しないこだわり」が人の心を掴み成功へ導く
・「おもしろい」を実現するためには戦略性と情熱も必要

取材・文=矢野 凪紗

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