タイガー魔法瓶100周年記念モデルが好調!レトロ柄復刻シリーズがZ世代にも受け入れられる理由と知られざる開発秘話
東京ウォーカー(全国版)
「おばあちゃんの家にもあった」「かわいい!」と発売後にSNSで大反響を呼んだ商品があった。それが、タイガー魔法瓶100周年記念モデル「レトロ柄復刻シリーズ」だ。「花柄」や「ストライプ柄」の入った家電製品…といえばピンとくるだろうか?ピンとくる当時を知る人たちからは、「よくぞこのようなプロジェクトを立ち上げてくれた」と感謝や当時を懐かしむ声が届き、ピンとこない世代からも、昨今のレトロブームに乗っかり、かえって新鮮な印象を持って話題となるなど、まさに世代を超えた人気商品となった。
タイガー魔法瓶株式会社は大阪府門真(かどま)市に本社を置き、かつて1970年~1980年代にレトロ柄の入った家電の製造・販売を行っていた。そして2023年6月21日、タイガー魔法瓶株式会社創立100周年を記念して「レトロ柄復刻シリーズ」を発売。しかし生産の際、当時とは製造環境が大きく変化していたことにより、数々の苦労があったそうだ。
今回は、タイガー魔法瓶株式会社(以下、タイガー魔法瓶)ソリューショングループ 商品企画第1チーム主事の竹内知子さんに、レトロ柄復刻シリーズの誕生秘話や開発の裏側などについて聞いた。
レトロ柄の発売は、タイガー魔法瓶のターニングポイントだった
レトロ柄復刻シリーズの基礎となる花柄やストライプ柄のデザインは、1970年代〜1980年代にタイガー魔法瓶から発売された、電子ジャーやハンディポットなどから取り入れられている。そして当時、高度経済成長の影響により商品の多角化を進め、売り上げ拡大を図っていたタイガー魔法瓶にとって、これらの発売は大きなターニングポイントとなった。
「当時、ハンディポットに鮮やかな花柄を取り入れたことで売り上げが大幅に上昇しました。その成功を受けて、電子ジャーにも花柄が導入され、こちらも大ヒットしました。これらはタイガーの歴史においてとても重要であり、創立100周年を語るうえでは外せないということで、レトロ柄復刻シリーズとして発売することになりました」
この時代は家電が一般的になりつつあり、花柄のデザインがキッチンや食卓を明るく彩り、家族団らんの時をより楽しませていた。「家族みんなで食卓を囲むのが主流だったので、多くの人々に受け入れられたのでしょう」と語る竹内さん。また、復刻された花柄の模様は、当時の原画を利用し、忠実に再現しているが、現代のニーズに合わせていくつかの改良も施されている。
「当時の花柄はかなり大きく目立っていましたが、レトロ柄復刻シリーズでは、より現代の食卓に溶け込むよう、製品に合わせて花柄を少し小さくして配置するなど、デザインを洗練させています。見た目はレトロですが、機能面では一部を除き、最新技術が採用されているので、懐かしさと最新の機能性の両方を楽しんでいただけます」
SNSでも話題!当時を知る人たちから“感謝の声”が続出!?
レトロ柄復刻シリーズは、当時を過ごした人だけでなく、昨今のレトロブームにより20〜30代も含む多くの世代に支持されている。発売後はSNSでも大きな話題を呼び、さまざまな声が寄せられるなど世代を超えて人気の商品だが、開発にあたって何かこだわりはあったのだろうか。
「1970年代〜1980年代、多種多様な花柄デザインが見受けられました。柄のバリエーションは、売り上げに直結する重要なファクターでした。復刻シリーズでは、当時とても人気のあった『ポピー柄(花柄)』と、温かみのある『ストライプ柄』も採用しました。また発売後には、当時を知る人たちから『かつての雰囲気や風景を蘇らせてくれてありがとう』『このようなプロジェクトを立ち上げてくれて感謝しています』など、予想を超える感謝のお声に私たちも驚かされましたね」
一方、若者たちからは「おばあちゃんの家にもあった」「かわいい!」といった声が寄せられていることを受け、竹内さんは「Z世代にもレトロブームが到来しているんだなぁと実感しました」と話す。なかでも「真空断熱ステンレスポット」(ハンディポット)は、ガラス製魔法瓶からステンレス製となり、落としても割れなくなったりと利便性が大幅に向上。昔の商品を使用していたユーザーほど商品の進化を実感しているようだ。
レトロ柄はすべて手作業で貼り付け!?地道な商品開発の裏側とは
レトロデザインと最新機能が融合した復刻シリーズだが、実現の過程で数々の課題があった。まず「ジャー炊飯器」(炊飯器)は、液晶のある最新型にレトロ柄をあしらったものの、デザインが合わず没になった。だが、日本では1980年代に販売され、現在はアメリカで販売されている炊飯器に、同様のデザインを適用したところ、想像以上にぴったりだったため現在の形で採用となった。
「ご飯はしっかりおいしく炊けるので、シンプルな機能でも自信を持って商品化できると確信しました」と竹内さんは話す。ただ、タイガー魔法瓶の現行の商品ラインナップには柄入りのものが少ないため、通常とは異なる作業工程を組む必要があった。それゆえ、レトロ柄の開発はひと筋縄ではいかなかった。
「花柄は原画を途中で切るなどのアレンジが一切できず、ストライプ柄もまっすぐ正確に取り巻くように配置し、かつ寸法も完璧に合わさなければならないので苦労しましたね。こうしてとても手間が掛かることから、1日に限られた数量しか生産できない厳しい状況でしたが、それぞれの生産工場の協力を得て、何とか発売までこぎつけることができました」
また、かつては商品の大半が日本製だったが、今では海外でも製造している。そのため、商品の色を指定しても国や工場によって発色が異なり、色を統一するのに苦労したそう。加えて、商品ごとに異なる担当者が割り当てられているので、統括にも苦戦したという。
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