関東大震災で1本も割れなかった魔法瓶の企業の使命感!災害時に役立つ電気&ガス不使用の「魔法のかまどごはん」が今話題
東京ウォーカー(全国版)
関東大震災から100年の節目にあたる2023年に発売された炊飯器「魔法のかまどごはん」。タイガー魔法瓶より100周年記念モデルとして発売された商品なのだが、電気がなくても新聞紙1部があればごはんが炊けることから、アウトドアはもちろんのこと、災害時に役立つと話題の商品だ。
人々がなぜ今、“電気を使わない”炊飯器に惹かれるのか。「魔法のかまどごはん」の魅力を紐解くとともに、同商品のプロジェクトリーダーにも話を聞いた。
「魔法のかまどごはん」の一体何がすごいのか
この商品の一番の特徴は、何といっても「新聞紙1部でごはんが炊ける」ということだろう。左右2カ所の投入口に新聞紙を順番に入れて火をつけることで、いつでもごはんが炊ける。電気やガスは必要ないというのが、災害時は特にありがたい。
そして、キャンプなどでは多少の工夫や経験でそれなりのごはんを炊くことはできるという人も多いと思うが、本商品のさらにすごいところは「おいしさ」にもこだわっているところだ。本物のかまどと同じように熱が伝わる構造にすることで、ごはんの甘みとハリを引き出す。なべ底から大火力を加えると同時に、あえてなべ上部を露出させることで、上下の温度差による対流を生み出し、ごはんをおいしく炊きあげるという仕組みだ。
「魔法のかまどごはん」便利な4つのポイント
もちろん、おいしさだけではない。とにかく便利で使い勝手がいい点も注目を集めている。前述と重なる点もあるが、4つにまとめてみた。
(1)燃料は新聞紙だけ
電気やガスを使わず、新聞紙一部(3合なら36ページ分)さえあれば「炊きたて」のごはんを炊くことができる。
(2)炊き方がとても簡単
かまど下部の2つの穴に交互に新聞紙を入れ、火をつける。その繰り返しによって、「はじめチョロチョロ、なかパッパ」のおいしい火加減を再現。慣れれば簡単に炊くことができる。
(3)片付けがラクラク
すすがついたなべは、水で濡らしたスポンジで拭くだけで汚れが落とせる。洗剤いらずで環境にもやさしいお手入れが可能。新聞紙の燃えかすは少量になるため、処理も簡単だ。
(4)コンパクトに収納できる
収納時は高さ約18cmと、コンパクトに収納できる。防災備蓄品の近くに置いておくのもおすすめ。
プロジェクトリーダーに話を聞いた
「魔法のかまどごはん」はどのような想いから生まれたのだろうか。同商品のプロジェクトリーダーを務める村田勝則さんに話を聞いた。
――「魔法のかまどごはん」は、関東大震災から100年の節目となる2023年に発売されましたが、その想いについてお聞かせください。
【村田勝則】当社には炊飯器ブランド「炊きたて」のネーミングにも通じますが、お客様に「いつでも温かいごはんを食べてほしい」という想いが常にあります。たとえば被災時などもしものとき、電気やガスが使えない状態であっても、温かくておいしいごはんを食べてもらいたいという想いから新聞紙一部でごはんの炊ける「魔法のかまどごはん」が生まれました。
【村田勝則】当社創業の年である1923年は、史上最大の地震災害として記録に残る関東大震災が発生した年であり、奇しくもその関東大震災で商店に保管されていた虎印魔法瓶100本すべてが無傷で残ったとして、当社製品が注目を集めた年でもあります。祖業である魔法瓶は、創業者の「母親が淹れてくれたような温かいお茶が飲みたい」という想いから生まれ、それ以後ご家庭に「温もり」と「幸せな団らん」を届けるべくさまざまな製品を世に送りだしてきました。創立100周年を迎えた昨年(2023年)、この先の100年を見据えた温もりあるアイデアで、食卓に新たな常識を作り続け、幸せな団らんをお届けしたいという想いから「魔法のかまどごはん」の発売となりました。
――新聞紙だけでご飯が炊けるとのことですが、どのくらいの量の新聞紙で何合まで炊けますか?また、どのような工程で新聞紙でごはんを炊くのでしょうか?
【村田勝則】白米は1合~5合まで炊いていただけます。新聞紙の枚数は炊く合数によって異なり、3合炊飯時で見開き9枚を使用(使用時に半分に割いて作る18個の新聞紙燃料をかまどに投入)、5合炊飯時で見開き11枚を使用します(使用時に半分に割いて作る22個の新聞紙燃料をかまどに投入)。
【村田勝則】炊飯時間ですが、3合炊飯時は吸水(夏場は約30分以上、冬場は約40分以上)+炊飯約20分+蒸らし15分で炊飯していただけます(炊飯時間は合数によって異なります)。炊飯の方法は、2つの穴に交互に新聞紙を入れ、火をつける繰り返しによって、“はじめチョロチョロ、なかパッパ”のおいしい火加減をつくります。最初は1分半間隔で新聞紙を左右交互に投入して着火ライターで火をつけ<はじめチョロチョロ・炊き始め>、その後1分間隔で新聞紙を左右交互に投入して火力をアップ<なかパッパ・炊きあげ>します。炊きあげから10分後に最後の新聞紙を投入。余分な水分を飛ばします。さらに5分蒸らして<蒸らし>、炊きあがりです。
――どのような層の方々が購入されていますか?また、購入者からの声が届いていましたら、教えてください。
【村田勝則】防災用品として使える点からご購入されている方の割合が多いですが、通常時はアウトドアで使用したいという方も多く見られました。購入層は40代以上の男性の割合が多いです。お声としては、以下のようなご意見をいただいております。
・防災用として購入しましたが、思っていたよりもずっとおいしく炊けて感動した
・子どもたちと新聞紙を割いて作るところから燃やすところまで楽しく使用できた
・炊きあがりが「食べられればよい」おいしさではなく、「おいしい炊きあがり」で、災害時においしく温かい食事が得られるのがよい
――今年(2024年)の能登半島地震をはじめ、近年災害が多発しています。電気やガスが止まって調理がままならない(温かいものが口にできない)避難所が多いかと思いますが、「魔法のかまどごはん」以外の商品で、そのあたりを意識して開発された商品はありますか?
【村田勝則】被災時の状況から開発した製品ではございませんが、軽量&コンパクトで防災バッグにもすっきり収まる真空断熱ボトル(MMZ-W035/W050/W060)は災害時にもお役立ていただけると考えております。
【村田勝則】当社が2022年度に実施した調査では、避難経験者の74%が「寒い時期、避難場所でお湯が必要だった」と回答されており、お湯の確保が課題となりやすい特に寒い時期では、避難時にお湯を保温できる魔法瓶製品のニーズは高いと考えております。
――最後に、ユーザーへメッセージをお願いします。
【村田勝則】私は今回の取り組みで、防災について調査を行い多くのことを学びました。そのなかで、被災を経験された方にとっては「食事が唯一の楽しみだった」というお声があったんです。
【村田勝則】「母さんの淹れたような、あたたかいお茶が飲みたい」という想いから始まった会社が、関東大震災でも1本も割れなかった魔法瓶を作り、それから100年の時を経て「いつでも温かく、おいしいごはん」を届けることは使命のように感じています。アウトドアでは楽しく、もしもの時の備えとしては、新聞紙を使って安心安全においしいごはんを提供できるこの「魔法のかまどごはん」を通じて、多くの方々に私たちの思いを知ってもらえたらと思います。
1台あれば、キャンプなどのアウトドアシーンだけでなく、もしもの災害時まで使える「魔法のかまどごはん」。防災グッズとして、準備しておくと安心できそうだ。
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