累計出荷枚数9億超の朝用マスク「サボリーノ」がリニューアル。発売から10年「ユーザーと一緒に成長を」

東京ウォーカー(全国版)

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女性誌や美容メディアなど120冠のベストコスメを受賞し、シリーズ累計出荷枚数は9億枚を突破したシートマスク「サボリーノ 目ざまシート(以下、サボリーノ)」。洗顔からスキンケア、保湿、化粧下地まで1分で完了する“時短コスメ”として、朝用マスク市場を牽引してきた。

2024年4月に発売から10年目を迎えるのを前に、初の大幅リニューアルを行った。ブランドステイトメントは「忙しい女性を応援する」から、時代の変化や環境の移り変わりを見つめ、さらなる拡大を目指し「がんばらなくても いいジブン」へ。株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー マーケティング本部 宣伝販促部 プロモーション室室長 PRマネージャー・御殿谷(みどのや)りえさんに、リニューアルのポイントやヒットの理由を聞いた。

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー マーケティング本部 宣伝販促部 プロモーション室 室長 PRマネージャーの御殿谷(みどのや)りえさん【撮影=山本晴菜】


メインターゲットを20代から30代へ

――発売から10年を迎えられるお気持ちを教えてください。
【御殿谷りえ】2013年8月に女性5人が集まった「女子開発ラボ」という社長直下のプロジェクトからサボリーノが生まれ、私もプロジェクトメンバーのひとりでした。当時20代後半〜30代前半の女性社員が集結し、“日々業務に取り組むなかで自分たちが欲しいものをつくる”というコンセプトを掲げてつくった商品です。メンバー然り、私もこの10年間に結婚や出産を経てライフスタイルが変わっても、サボリーノを使い続けられるのは生活に密着したアイテムだからだと実感しています。

【御殿谷りえ】発売当時20代だったお客様に今でも使っていただいているので、現在のユーザーは30代の方が多いです。今回のリニューアルでは水分力が120%アップ、エイジングケア成分も配合しました。30代をメインターゲットに、さらにマス化を目指しています。もともと宣伝費ゼロから始まったプロジェクトですが、今では会社の売り上げの多くを占めるブランドに成長したことはすごく感慨深いですね。

発売当時を振り返る御殿谷さん【撮影=山本晴菜】


――リニューアルのポイントと実施を決めた背景について教えてください。
【御殿谷りえ】バラエティコスメ市場は、変化が激しい市場です。商品の鮮度が、どの棚に置いていただけるのかにも関わってきます。発売から5年目となる2019年には、サボリーノの大人ラインを発売し、発表会を開きました。次のステップとして10年という節目に、メディアや流通のみなさまに商品の鮮度をあらためて伝えたいということもあり、リニューアルにいたりました。

ファンとともにサボリーノも成長を

――リニューアルのポイントを教えてください。
【御殿谷りえ】パワーアップリニューアルとしまして、うるおいを角層までまっすぐ届けながら、肌の表面に膜を張るようにうるおいの層を作る「水密ヴェール処方」を採用しました。また「22AG」という、肌の弾力をフォローしながら水分力と皮脂バランスへと導く複合成分を配合したことで、1分でエイジングケアがかなうことも大きな特徴です。さらに環境への配慮ということで、保湿成分であるスクワランはサメ由来から再生可能な植物資源であるサトウキビ由来に。パッケージは4層構造から3層構造に変更しました。

時短コスメブランド「サボリーノ」はシートマスクのほか、過去には導入化粧水+美容液の2in1ミストスプレーなども販売【撮影=山本晴菜】


――人気商品の大幅リニューアルに、不安はありませんでしたか?
【御殿谷りえ】20代のお客様をずっとメインターゲットとしていて、一定のお客様もついてくださっていました。しかし発売から10年経つと、年齢を重ねるにつれて少しずつ離れていってしまう傾向がありました。そこでサボリーノも一緒に成長していきたいという気持ちも込めまして、リニューアルを決めました。

【御殿谷りえ】サボリーノはドラッグストアなど幅広い流通様にお取り扱いをいただきまして、たとえばお母さんがおむつと一緒に「ついで買い」してくださることも多い商品です。20代のお客様はじめ、世代を超えてご利用いただいていることに感謝の想いと、メインターゲットの30代のお客様にフッと力を抜いて美容を楽しんでいただけるよう、身近な存在でいられる商品でありたいと考えております。男女兼用をお使いいただくこともあり、一家にひとつ朝の美容が顔に貼るだけの簡単美容として生活の支えになるよう商品バリュー向上を目指していきたいと思います。

――「洗顔いらず」の仕組みについて教えてください。
【御殿谷りえ】サボリーノには肌表面の角層を柔らかくする成分が入っています。寝起きの肌にマスクを貼り、1分経ったら折りたたんで顔を拭き取ることで、不要な角質を取り去ることができます。今回のリニューアルではリンゴ酸、マンデル酸、グリシルグリシンの3成分を採用し、洗顔効果もパワーアップしています。

不織布を使ったシートマスクは伸縮性が高く、顔に密着するという【撮影=山本晴菜】


――1分で洗顔から化粧下地までできると、かなりの時短になりますね。
【御殿谷りえ】シートマスクの使用時間は5分、10分、それ以上のものもあります。時間があればできますが、そんなに長く貼っていなくてもいいのではないかと考え、1分で肌に浸透させられるよう処方してもらいました。

――洗顔不要のシートマスクは今までなかったのでは。企画の段階で「いける」と確信はありましたか?
【御殿谷りえ】化粧品の会社なので、洗顔料を使って顔を洗い、その後に化粧水、乳液などを順に使うステップ美容を推奨してきました。「洗顔しなくていいよ」ということは、会社の方針からステップアップするような発想でしたので、大きな挑戦でした。「本当に大丈夫なの?」と社内からのさまざまな意見もありましチアが、メンバーの一致団結の揺るがない商品コンセプトを徹底し、当時の社長に適宜進捗確認を行いながら進めていきました。

コロナ禍にはリモート生活に合わせた使い方を提案

――5人でスタートしたプロジェクト。今はどれぐらいの方が関わっていますか?
【御殿谷りえ】会社の中核を担うブランドなので、今では“みんなのサボリーノ”になりました。現在はマレーシア、シンガポール、アジア圏を中心に40の国と地域で海外展開もしています。朝にフェイスマスクを使うというのが新しくて、海外では水質が肌に合わないという方もいるので、洗顔不要のシートマスクはすごく受けました。インバウンド需要もあって2018年ごろに売り上げが急増し、コロナ禍で一度は下がったものの、現在はまた戻りつつあります。

――国内の売り上げは?
【御殿谷りえ】弊社は店舗販売を中心に展開しているので、コロナ禍の影響はありました。

一番人気の「サボリーノ 目ざまシート N」を手にする御殿谷さん【撮影=山本晴菜】


――シートマスクもコロナ禍で売り上げが変化するのですね。
【御殿谷りえ】当時は「忙しい女性を応援するシートマスク」として売っていたので、通勤することを前提としていました。でもリモートワークが増えて、ライフスタイルが急に変わりましたよね。「リモート前の目覚めの1枚」「60秒で気持ちを切り替える」など、リモート生活でサボリーノをどう使ってもらうのか、提案を変える必要がありました。

――朝用マスクのほか、夜用の「お疲れさマスク」シリーズや、医薬部外品の「薬用 ひたっとマスク」シリーズなども展開されていますが、やはり一番人気なのは朝用マスクですか?
【御殿谷りえ】そうですね。他社様からも同じようなカテゴリーの商品が発売され、市場としても成長してまいりましたのでサボリーノも一層注力してブランド価値の創出に努めております。

夜用マスク「サボリーノ お疲れさマスク ビタットRC」【撮影=山本晴菜】


――他社との差別化はどのように?
【御殿谷りえ】私たちが持っている強みを、もっと前に出さないといけないと、あらためて話し合いました。黄色いパッケージという印象づけや、シズル感を出したデザインで、店頭で接客しなくてもお客様にどうやって目にとめていただくかなど話し合い、手にとりやすいように工夫しています。

【御殿谷りえ】また「朝用マスク市場第1位」「累計出荷枚数が9億枚突破」(メーカー出荷ベース)「ベストコスメ120冠受賞」など数字として見せられるものはどんどん出し、少なくとも2年に1回は更新しています。数字にはこだわっていて、今回のリニューアルでも、これまで「60秒」とうたっていたのを「1分」と変えるなど、そういった細かい積み重ねを大切にしています。

「共感力」から生まれた商品

――朝用マスク市場を牽引してきたサボリーノ。ヒットの理由は何でしょうか。
【御殿谷りえ】プロジェクトが発足されて発売を迎えるまでの過程がすごく大事だったと思っています。それまでは縦割りで仕事をしていましたが、当時の社長が横断的な仕事をしようと考え、商品開発、販売促進、宣伝から各1名、営業から2名の計5人が集められました。

【写真】朝のバラエティー番組「ラヴィット!」(TBS)公式キャラクターのラッピー(©️TBS)とコラボしたサボリーノ。同番組のMCを務める田村真子アナも一緒に香りや成分を選んだ【撮影=山本晴菜】


【御殿谷りえ】そのメンバーの共感力が高く、価値観や悩みごとも似ていて、話していると頷けることが多かった。今でこそ共感のコミュニティが大事と言われていますが、私たちは当時から共感を大事にしながら商品を作ってきました。プロジェクトメンバーは当時20代後半から30代前半で「残業が多くても飲みにも行きたい、でも朝起きるのがつらいよね」という話から始まった、とにかく楽をするための化粧品です。センスも似ていたので、デザインやブランドもスムーズに決まり、社内での企画が通るかどうかが気がかりで、みんなで団結できたこともよかったと思います。

――最後に、今後の展開や展望を教えてください。
【御殿谷りえ】発売当時から「一家に1個あるようなブランドになってほしい」と言い続けてきました。テレビCMや、ラジオ番組「Saborino presents ケンジとカリナのがんばらなくてもいいライフ」(TBSラジオ)など、マス化に向けていろいろと取り組んでいるところです。次のステージでは、世代を超えて多くの方に使っていただき、あると安心するような存在になってもらいたいですね。

この記事のひときわ #やくにたつ
・ユーザーの変化に合わせたリニューアルで長く愛される商品に
・パッケージデザインは売場の状況も意識する
・ターゲットの生活の変化に合わせ商品もアップデートしていく

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