掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信 〜Vol.3〜後編

九州ウォーカー

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日本のサブカル界で異彩を放ち続ける掟ポルシェの月一連載!ブログやツイッターでは知ることができない、“掟ポルシェの今”を赤裸々に語り尽くす居酒屋フリートーク企画「掟ポルシェのしゃれとんしゃあ通信」。あなたの知らない“もう一つの世界”はこんなにもおもしろい!

まあ、儲かるんだったらいいかなって


ロマンポルシェ。 『男の22周年ハンパしちゃってごめんツアーTOU・MEI・HAN』掟ポルシェ公式ツイッター @okiteporsche より


——ロマンポルシェ。のツアーが11月に決まりました。今回のツアーが決まったきっかけは何だったんですか?

掟「2年くらい前に20周年記念ライブをやってチケットが全然売れなかったんですよ。会場の下北沢のシェルターってキャパが250人くらいなのかな。もうね、鼻血が出るほど売れなくて。1週間前でキャパの半分くらい?(ロマンポルシェ。のライブは)お金になるんだったらやろうってことでもあるし、お金にならないんだったら今すぐやめたいくらいに思ってるんですよ。準備するのにそれなりに手間もかかってるから、それなりの対価がもらえないならやってられないって意味で。オファーが来た時に最低これくらいの金額でってのを設定して、金にならないんだったらやりませんっていうことにしてるんですけど今は。で、その時に、これ今回客が入らなかったら今後ロマンポルシェ。のライブすんのやめるからみたいな話で。実際正直なこと言ってたんですけど。そのくらいのつもりなんで、最後になるかもしれないんでみんな観に来てくださいって言ったら、そこで同情票が集まったのか、みんなめちゃめちゃチケット買ってくれて。ライブ前日の23:57にチケット売り切れたんですよ」

——へえ!すごいですね!

掟「そこで恐ろしいことが判明したんですけど、結構インビテーション(招待券)を出してて、招待客を入れたらキャパちょい超えくらいになってしまって。いやダメでしょ、消防法違反でしょって(笑)。さらに当日券の客が20人来たんですよ。そしたらスタッフが『20人だったんで全部入れちゃいました!』って(笑)。いや、ダメだからそんな入れたら(笑)。下北沢シェルターって地下にあるんですけど、案の定ステージが観れないというか、階段のところから顔半分出してすごい姿勢で観てる人とかがいて。そんな状態でやったんでまぁちょっといい感じに儲かったんですよ(正直すぎる発言)。小さい会場にギッチギチに入れたから。そしたらその主催をやってくれた人が『またやりましょう!』みたいな話をしてくれて。まあ1年に1本くらいはライブやるのも別にいいんじゃないかなと思ってましたんで。ちゃんとそれなりの儲けが出るんだったらってことで」

——なるほど!

掟「1年に1本くらいはなんだかんだやってるんですよ。一昨年は夏の魔物に出たりとか。今年は森、道、市場に出て。なんかちょこちょこ1年に2~3本はやってる感じなんですよね。まあ、フェスとかそういうのはやってて楽しいし、新しいお客さんが観てくれるかもしれないから出たいみたいなのもありますし。自分のところのお客さんも一応地味にいるので、本当に期待してくれている奇特な方々のために、たまにはみっちりやらないと申し訳ないなって気持ちもありまして。いや、こんなちっちゃいおじさん二人のやることを些少なりとも求めてくれる方々、本気でありがたいので。だから、たまにはね、普通にライブやろうと」

——今回は東京、大阪以外に名古屋も回りますね。

掟「大阪は前回やって全然入らなかったんですよ。ちょっと大きいところでやったらキャパ半分くらいで。でも物販の売上とか含めれば地味に形にはなったから、じゃあ今回もやりましょうかみたいな。……地味な話が続くな(笑)。で、どうせやるんだったら名古屋もってことになって。以前、この連載でも言いましたけど、名古屋というか東海地方は俺とても相性が良くて、何かやるたびに予想以上にお客さんが入ってくれる場所なんで、それでやることにしたんですよ。福岡は……無理でしょ。サブカルが絶対にウケない土地だということは痛いほどわかってますし。熱心なお客さん30人は絶対来てくれるんですけど、それ以上の集客が見込めなくて。さすがに赤字が怖くてやれなかったです。来年1月くらいには札幌とかもやろうかなと思ってるんですけど。福岡だけはないっていう。マジで地元が一番アウェイですからね……」

【写真を見る】ロマンポルシェ。2年ぶりのワンマンLIVEツアーは東名阪で開催掟ポルシェ公式ツイッター @okiteporsche より


——ちなみに、出演者はロマンポルシェ。単独ですか?

掟「名古屋は地元のZONO PANSYさんっていう、ポジティブパンク界隈の超有名DJの女の子がいるんですけど、彼女が最近メチャメチャカッコイイニュー・ウェイブみたいな音の打ち込みユニットを始めて、ZIGUEZOYって名前で。それがすごくライブが面白いから出てもらおうと思って。名古屋だけサポートがついてるっていう奇妙な感じになってます」

——チケットの売れ行きはどんな感じですか?

掟「東京と大阪は手持ちのチケットがバリバリ残ってるくらい余裕で買えますね(10月中旬時の状況)。名古屋はプレイガイドやライブハウス店頭販売分はまだチケット残ってるんですけど、イベント限定販売していた手持ちの先行チケットが一瞬で売り切れたりとか。『ああ、名古屋はもっとチケット持ってくればよかったな』って。名古屋はやっぱり調子がいいなと」

——手売り以外にチケットを購入する方法はありますか?

掟「手売りの次はそれぞれの会場の店頭販売が整理番号が早くて、その後にe+(イープラス)のチケットがある感じですね。e+(イープラス)だと整理番号が100何番とかなので一瞬でそんなに売れたんだって思われますけど、何の事は無い、手売りと店頭販売の分が丸々残っているだけっていう(笑)。今回も厳しいぞ!って感じですね(笑)。前回のライブであまりにも狭い場所に人を入れすぎてしまって、二度と行きたくないってお客様がいるようでして。『俺ある程度ファンだけど、あんなギチギチだったら無理だ』って前回そんなライブやっちゃったんで。今回はそんなことないから、ギチギチにしないから、頼むから来てくれって。『チケット売れてない詐欺』と言われてます(笑)。でも現時点ではまたしても本気で売れてない!」

——内容は三会場とも同じですか?

掟「説教(MCでしゃべってる内容)ですか? あ、全く変わらないです。全部一緒です。一字一句」

——ちょっとセットリスト変えてみたりとかも?

掟「曲は全日多少変えますけど、しゃべってることは一緒です。全部。まだ何の準備もしてないですけど(笑)」

——構成とかリハとかもこれから用意していく感じですか?

掟「リハもね、大体いつも一回しかやらないですからね(笑)。昔の曲思い出すだけだから。新曲ないから(笑)。そこが楽器演奏しないバンドの強みです!」

——じゃあ、説教(MC)目当てで来られる方はどこか一箇所来ればOKって感じですか?

掟「まあまあ、もうそんな感じですね。曲が好きで聴きに来たいという人は何箇所来ても別に止めはしませんけど(笑)。『やってること一緒だから!打ち込みだから!曲は毎回アレンジ一緒!』って(笑)。説教も大体いつも前日の夜中とかにできるんですよね。なんか小劇団みたいな感じです。脚本家が全然脚本あげないみたいな。しゃべるのは自分だし。ロマンはディレイやってもらうだけだし。自分が覚えればいいだけにしてあるんですよね。以前はロマンも参加するコーナーとかもあったんですけど、ちょっと前に台本あげないと悪いじゃないですか。だから徐々になくなっていって(笑)」

この人はしょうがないな枠に一応入れてもらってると思う


ロマンポルシェ。2年ぶりのワンマンLIVEツアーは東名阪で開催@okiteporsche


——今回の大阪の会場(ソーコアファクトリー)は比較的新しい会場ですよね。初めて名前を聞きました。

掟「俺も初めてですね。どんなところか分からないですけど、いいところらしいですよ。大阪で元々よくやってた十三ファンダンゴもなくなって(2019年7月に営業終了)、今は堺に移転したみたいです。会場選びは結構悩みどころで。ライブハウスってどこも音がかなり違うので、自分の理想とする音が作りにくい会場は避けるようにしてます。チープなすごく音域の狭い音楽をやってるんですけど、こう鳴っててほしい、こう聞こえててほしいってこだわりが結構自分の中で山ほどあって」

——どんな音の鳴り方が苦手なんですか?

掟「会場の床が反響しすぎるところとまったく反響しないところは困りますね。床のコンクリの硬さのせいなのか、音が広がっていかない会場があって。以前やった会場で、スピーカーの向いてる方向にしか音が聞こえなくて、真ん中(ステージ前)に音がない。だから最前列にいると音が聞こえない。前の方で熱心に観たい人が音楽聞こえないのは嫌だなと思って、その時はモニタースピーカーを真ん中に2つ配置して、そこをスピーカー代わりにして無理矢理対処したり」

——前の方で音が聞こえないって結構ありえないですよね。

掟「俺が極端に気にしすぎてるんだと思います、多分。バンドだったらメインスピーカー以外にも楽器個別のアンプがあって、前の人はそのアンプで聞こえるわけでしょ。300人キャパの会場だと。俺たち楽器がなくてラインでメインスピーカーに音送るだけだから、前方だと聞こえる楽器がなくなってしまう。楽器を持たないバンドの意外な弱点ですね(笑)」

——珍しいですね。初めて聞きました。そんなことあるんですね。

掟「あとは打ち込みの音楽を鳴らすのに適さないと自分が思ってるスピーカーがあるところも避けてます。世間的にはいい音だとされてるけどファンクションワンとかはコーンが金属なので、その時点で自分的にはアウトですね。結構音質が気になるので、もう自分の問題なんでほんとごめんなさいって感じで。そんなに難しい音楽をやってるわけじゃないんで余計に『あの音楽で音質気にするか?』とナメられがちなんですけど、こればかりはしょうがない。大阪は結構難しいというかオリジナリティが強すぎて大変な街なんですけど、スピーカー1つとってもそんな感じですね。結構音作るの大変だなっていつも大阪でライブやるときそう思います。十三のファンダンゴはその点すごくよかったんですけどね。…なんか盛り上がりに欠ける話で申し訳ないです(笑)」

——いやいや、貴重なお話です(笑)。ツアーグッズは作られるんですか?

掟「新しく作りますよ。Tシャツは毎回作ってます一応。ツアー限定ってわけじゃないですけど、通販とかはやってないですから。面倒くさいんで。誰が発送すんのって(笑)」

ロマンポルシェ。2年ぶりのワンマンLIVEツアーは東名阪で開催掟ポルシェ公式ツイッター @okiteporsche より


——初めて来る人もたくさんいるかもしれないですね。

掟「どうですかね。分かんないですけどね。前回の下北沢のワンマンみたいに人入ってると最前列以外の人は何してるか分かんないんですよ。なんか生まれたままの姿の人が出刃包丁とキャベツ持ってやってきてるけどほぼ見えない。でもまあ、現代では『この人は脱いでてもしょうがないな枠』に入れてもらってると思うので、フェスみたいな色々な方が出演される場所は別として、ワンマンの時にはちゃんとこう、できるだけファンのみなさんの要望にお答えしようと。猥褻と思われない環境が整っているところではがんばってます。で、いま我々全裸業界では、あのDJ後藤まりこさんがすごくがんばっていて。フェスでも全裸っていう」

——ええ、そうなんですか!?

掟「客にドカーッ!とダイブしてきて客の上で服脱ぎ始めて、素っ裸で唾吐きながら『F○○K!』って中指立てるっていう(笑)。お客さんが慌てて後藤さんに服を着せてあげるんだけど、それをどんどん脱いでいく(笑)。すごいかっこいいなって。後藤さん、昔から知ってますけど、ずっとやってきた音楽活動をある日全部やめて。で、DJ後藤まりこっていう名前で復活して。DJだったら自分で歌うわけじゃないから音楽活動復活ってことでもないのか、と思ったらDJと言っておきながらDJじゃないっていう。自分の曲をバックトラックでかけてその曲に合わせて歌う。普通にライブですよね。DJはディスクジョッキーのDJじゃないんですって。『大丈夫後藤まりこ』の略ですって(笑)。裸になるということを切羽詰まった表現の一環としてやってるっていうのは、女性じゃ本当に難しいし、脱いでもエロではなくアナーキーを感じさせるって最高に素晴らしいと思いますよね。それをこうお客さんも『後藤さんだからしょうがない』って感じになってるのが美しいなというか」

——やばいですね、それは。

掟「そうなんですよ。だからね、負けてられないなぁと。俺の場合は『フェスの時は竿まで』とルールを決めてます。亀頭は出さない。亀頭は性器ですから。竿は違うのかって話ですけど(笑)。今後も杜撰なアキラ100%としてがんばっていきたいと思います!」

※Vol.4は11月配信予定

掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)


掟ポルシェ


1968年生。男気啓蒙ニューウェイヴバンド『ロマンポルシェ。』&ひとり打ち込みデスメタル『ド・ロドロシテル』での音楽活動、ピッチを一切合わせないアイドル曲オンリーDJ、読後一切頭と心に残らない酷いコラム著述業、アイドルイベント司会を手がける他、頼まれれば法に触れない範囲で大体のことはやる。2015年より福岡市西区に在住。2019年8月29日(木)に新著『豪傑っぽいの好き』(ガイドワークス)を発売。

田崎紀之

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